データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 送金分野に係るハイレベル・ステートメント

[場所] アンタルヤ
[年月日] 2015年11月16日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文]

1.我々,G20のリーダーは,送金フローが開発途上国における経済成長と繁栄にとっての重要な原動力であることを認識する。送金は,低所得世帯に対して,金融資産以外にも消費と人的・社会的資本への投資を増加させる機会を提供する。送金は,貧困からの保護,金融包摂への道筋を提供する。2015年,開発途上国への公的送金は,4400億ドルと推計されており,政府開発援助や海外直接投資を大きく上回っている。

2.我々は,世界平均の送金費用を削減し,送金サービスの利用可能性を向上するための実際的な措置をとることにコミットしている。国際送金の半分以上が我々の国から生じている中,G20諸国による強力なアクションが重要である。2011年,我々は,送金の平均費用を10パーセントから5パーセントへ削減するよう取り組むことにコミットした。我々のアクションは,国際送金費用の単純平均を最も低くすることに今まで貢献してきた(7.7パーセント,2015年第2四半期)。世界銀行グループ(WBG)は,それ以降送金費用の削減により,追加で300億ドルが,G20諸国における移民から開発途上国に送られる結果がもたらされたと推計している。

3.2015年,我々は,更に費用を削減し,持続可能で開かれた送金市場を推進するために,国別送金計画を作成した。これらの計画を通じて,我々は国家主導のアクションを実行している。それは,市場競争と効率的なリスクベース規制を発展させること,金融システムインフラを改善すること,新興のテクノロジーの利用に資する政策を追求すること,そして送金の透明性や金融リテラシー,消費者保護を向上させることである。我々は,送金費用を削減するとのコミットメントを達成するために,これらの計画の実施のレビューを年に一度行っていく。我々のアクションは,目標化され,持続可能な開発のための2030アジェンダを含む,送金費用の削減のためのグローバルな取組を支援する。

4.我々は,一部の金融機関が送金ビジネスとの顧客関係を打ち切っているという懸念を認識している。これらの打ち切りの規模と根底にある原因は,まだ完全には分かっていないが,予備的分析によれば,これらは多数の要因によるものであり,成長と金融包摂に対して否定的な影響をもたらした可能性がある。送金ビジネスへの金融サービスの提供は,規制下にある金融システムを通じた送金を促進し,マネーロンダリング対策とテロ資金供与対策の目標を支援する。我々は,金融機関と規制主体に,金融活動作業部会(FATF)勧告によって特定され,勧告と整合的な、リスクに見合ったリスクベース・アプローチを適用するように奨励し続けていく。我々は,この問題についてより理解を深め,個人や中小企業による送金と金融サービスへのアクセスを向上させるために,FATF,金融安定化理事会(FSB),WBG等と連携して取り組み続けていく。

5.我々は,新興のテクノロジーと,金融システムインフラを改善することの重要性を認識している。我々は,適切な方法で,銀行システム,革新的な決済プラットフォーム,ノンバンク金融機関などを通じて,安全で,費用効率が高く,より信頼できる送金を促進し続けていく。我々はまた,金融包摂や消費者保護,金融リテラシーを高め,送金セクターと、送金からの利益を最大化するための重要な送金経路についての理解を深めるための分析に着手していく。