データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] G20ロスカボス・サミット首脳宣言

[場所] ロスカボス
[年月日] 2012年6月19日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

1.我々,G20首脳は,2012年6月18日及び19日にロスカボスで会合した。

2.我々は,成長と雇用を促進するための決意の下,団結する。

3.我々の前回の会合以降,世界経済の回復は,数々の課題に直面し続けている。金融市場の緊張は高まっている。対外的,財政的及び金融上の不均衡は引き続き蔓延しており,成長と雇用の見通し及び信認に対して大きな影響を与えている。明らかに,世界経済は引き続き脆弱であり,世界中の人々の日々の生活への悪影響を及ぼし,雇用,貿易,開発及び環境に影響を与え続けている。

4.我々は,回復を強化し金融市場の緊張に対処するために共に行動する。

5.我々は,我々のすべての市民のための質の高い雇用及び機会を創出するために,成長を支え,金融の安定を促進することを目的として,需要を強化し,信認を回復するために共同して行動する。我々は本日,これらの目標を達成するための,協調したロスカボス成長と雇用のアクションプランに合意した。

6.G20のうちユーロ圏のメンバー国は,地域の一体性及び安定性を守り,金融市場の機能を改善し,国家と銀行の間のフィードバックのつながりを断ち切るためのすべての必要な政策措置を採る。我々は,ギリシャがユーロ圏内において引き続き改革と持続可能性の道筋に留まることを確保するために,ユーロ圏が次期ギリシャ政府と連携して取り組むことを期待する。

7.我々は,中期的な成長の見通しを高め,より強じんな金融システムを構築するための構造及び規制改革アジェンダを実施している。我々は,変化する経済状況を考慮した健全かつ持続可能な政策によって赤字国の財政を強化するとともに,大幅な経常黒字国においては内需を強化しより柔軟な為替レートに移行することにより,不均衡を縮小させることに引き続きコミットしている。

8.我々全員が国内的に直面する諸課題にもかかわらず,我々は,多国間主義が現下の環境においてより一層重要であり,世界経済の諸困難を解決する上で我々の最大の資産であり続けていることに合意した。

9.途上国,とりわけ低所得国に対する継続する危機の影響を認識し,我々は,インフラ投資の支援を含め,開発をより促す環境を創り出すため取組を強化する。我々の政策行動は,世界中の生活環境を改善し,最も脆弱な人々を保護する。特に,世界の市場を安定化させ,より強固な成長を促進することにより,我々は,世界中の開発及び貧困削減に大幅な正の効果を生み出す。

経済安定と世界の景気回復の支援

10.強固で持続可能かつ均衡ある成長は,より多くの雇用創出につながり,世界中の人々の福祉を増大させるため,G20の最優先事項であり続けている。我々は,「ロスカボス成長と雇用のアクションプラン」(別添参照)に反映されている通り,需要を強化し,世界の成長を支え,信認を回復し,短期及び中期的なリスクに対処し,雇用創出を促進し,失業を減少させるためのすべての必要な政策措置を採用することにコミットする。我々は,適時にすべての我々のコミットメントを実施し,その実施を厳格に監視する。

11.新たな市場の緊張を背景に,G20のうちユーロ圏のメンバー国は,ユーロ圏の一体性及び安定性を守り,金融市場の機能を改善し,国家と銀行の間のフィードバックのつながりを断ち切るためのすべての必要な措置を採る。我々は,前回のサミット以降にユーロ圏によって採られた,強固で持続可能かつ均衡ある成長のためのG20のフレームワークへの貢献としての,成長を支え,金融の安定性を確保し,財政責任を促進するための重要な行動を歓迎する。この文脈において,我々は,スペインによる銀行システムの資本強化の計画及びスペインの金融再編当局を支援するとのユーログループの発表を歓迎する。財政協定の採択及びその継続的な実施は,成長促進政策,構造改革及び金融の安定措置とともに,維持可能な借入コストをもたらす財政及び経済の更なる統合に向けた重要なステップである。欧州安定メカニズムを早急に確立することは,欧州のファイアーウォールの相当な強化となる。我々は,経済及び通貨統合の完成に向かって前進するユーロ圏の行動を完全に支持する。この目的に向けて,我々は,銀行の監督,破綻処理及び資本強化並びに預金保険を含む,より統合された金融アーキテクチャーに向けた具体的なステップを検討するとの意向を支持する。ユーロ圏のメンバー国は,赤字国においては競争力を強化するための構造改革,黒字国においては需要と成長を促進するための構造改革を通じて,ユーロ圏内の域内調整を促進する。G20のうちの欧州連合のメンバー国は,構造的な基準に基づいて評価されることとなる財政再建を実施するとの堅固なコミットメントを維持しつつ,欧州単一市場の完成や,欧州投資銀行(EIB),試験的なプロジェクト債,構造基金・結束基金といった欧州の金融手段のより的を絞った投資,雇用,成長及び競争力のためのより良い活用を通じたものを含め,成長を支えるための措置を迅速に前進させることを決意する。我々は,ギリシャがユーロ圏内において引き続き改革と持続可能性への道筋に留まることを確保するために,ユーロ圏が次期ギリシャ政府と連携して取り組むことを期待する。

12.すべてのG20メンバー国は,世界の成長を強化し,信認を回復するための必要な行動をとる。先進国は,各国の個別の状況を考慮しつつ,財政再建のペースが回復を支えるために適切であることを確保し,また,トロントでのコミットメントと整合的に,中期的な財政の持続可能性への懸念に対処する。財政的余力のある先進国及び新興諸国は,各国の状況及び現在の需要状況を考慮しつつ,財政の自動安定化機能を作動させる。経済条件が更に著しく悪化した場合には,これらの十分に財政的余力がある国は,適切な場合に,内需を支えるための裁量的財政措置を調整及び実施する用意がある。多くの国において,教育,イノベーション及びインフラに対するより高度な投資は,生産性と将来の成長見通しを引き上げつつ,現時点での雇用創出を支えることができる。需要と回復を支える成長志向の政策を追求する必要性を認識しつつ, 米国は,財政が持続可能な長期的軌道に乗っていることを確保することによって財政健全化のペースを測り,これにより,2013年の急激な財政収縮が避けられる。

13.金融政策は,引き続き景気回復を支援しつつ,中期的な物価の安定を維持する。我々は,信用チャネル並びに世界的な支払及び決済システムの健全性を保護するために適切な行動を採る一方で,中期にわたり我々の金融システムを保護するために必要とされる金融セクター改革のモメンタムを維持しつつ,我々の銀行への信認を強化する。融資能力を備えた健全な銀行は,世界経済の回復にとって不可欠である。

14.G20メンバーは,石油価格の変化への警戒を続け,需要に見合う適切なレベルの供給を引き続き確保することに対する産油国のコミットメントを含め,必要な場合に追加的行動を実施する用意がある。我々は,サウジアラビアが,必要な場合に,十分な供給を確保するために,現在の余剰生産能力を動員する用意があることを歓迎する。我々はまた,他の一次産品価格に引き続き警戒する。

15.多くの新興市場はまた,現在,成長の減速を経験している。これに対応して,これらの国は,安定を確保し,場合によっては,特に外需の弱まりを背景とした内需の強化を通じて自国経済を押し上げるための新たな措置を導入しながら,成長を支えるため適切に金融及び財政政策を運営している。

16.我々は,大幅な経常黒字国による内需拡大の進ちょく及び大幅な経常赤字国による国内貯蓄拡大のための行動を歓迎する。新興黒字国は,物価及び税の歪みの除去及び社会的セーフティネットの強化を含め,国内消費を増加させるための更なる行動を実行し,先進黒字国又は民間需要が相対的に弱い国は,非効率性の排除によるものを含め,特に,サービス部門の自由化及び投資の促進を通じて,内需を促進する。経常赤字国におけるより高い国民貯蓄は,世界的な不均衡の継続的な減少に貢献する。我々は,現在の経常黒字に関して,一次産品の大規模な輸出国が置かれた特別な状況を認識する。我々は,根底にあるファンダメンタルズを反映するため,市場で決定される為替レートシステムにより迅速に移行し,為替レートの柔軟性を向上させるとともに,為替レートの継続したファンダメンタルズからの乖離を避け,通貨の競争的な切り下げを回避することへの我々のコミットメントを再確認する。我々はまた,人民元の動きの決定において市場の力がより重要な役割を果たすことを許容し,引き続き為替レート制度を改革し,為替政策の透明性を向上させるとの中国によるコミットメントを歓迎する。

17.すべてのG20メンバーは,世界的な需要を強化及び維持し,雇用創出を促進し,世界的なリバランスに貢献し,潜在成長力を増大させるための構造改革のコミットメントを提唱した。これらには,競争を増加させる製品市場改革,住宅セクターを安定させる措置,競争力及び投資を強化する労働市場改革並びに,財政的に責任ある方法で社会的セーフティネットを強化し,生産性を上昇させるための税制改革を進め,インフラへの投資を増加させ,各国の状況に適した形で包摂的なグリーン成長及び持続可能な開発を促進させるための措置が含まれる。我々は,財務大臣及び中央銀行総裁に対し,G20がインフラ投資を促進し,多国間開発銀行(MDBs)の資金供与及び技術支援を含め,インフラ・プロジェクトのための十分な資金の利用可能性を確保できるような手法を検討するよう求める。

18.すべての政策分野において,我々は,国内の目的のために実施された政策が他国に対して有する負の波及効果を最小化することにコミットする。我々は,強固で安定した国際金融システムが我々の共有する利益であることを再確認する。資本フローはその受け入れ国の利益となり得る一方で,我々は,資金フローの過度の変動及び為替レートの無秩序な動きは経済及び金融の安定に対して悪影響を与えることを再確認する。

19.信頼性及び信認を強化する上での透明性及び説明責任の重要性を認識しつつ,我々は,成長と雇用のアクションプランに付属するロスカボス説明責任評価の枠組みに同意した。この枠組みは,我々の政策コミットメントの実施の進ちょくを報告するために我々が従うこととなる手続きを定める。我々は,この新たな枠組みの下での最初の説明責任報告書を歓迎する。我々は,財務大臣及び中央銀行総裁に対し,第二次説明責任報告書を2013年のサンクトペテルブルグにおける首脳会合に提出するよう指示する。

雇用と社会的保護

20.質の高い雇用は,我々のマクロ経済政策の核心である。労働上の権利,社会保障の適用及びより人間らしい働きがいのある所得を伴う仕事は,より安定的な成長に寄与し,社会的包摂を増進し,貧困を削減する。したがって,我々は,特に経済危機によって深刻な打撃を受けている若年者や他の脆弱なグループを対象として,適切な労働市場措置並びに人間らしい働きがいのある仕事及び質の高い雇用創出の促進を通じて早急に失業と闘うとの雇用労働大臣の提言を承認する。我々は,人生の展望を後押しするような質の高い仕事へのアクセスを容易にするという若年者に対するコミットメントを再確認する。我々は,G20雇用作業部会の作業を歓迎するとともに,雇用労働大臣によって提案されたとおり,そのマンデートを更に1年延長する。ロスカボス成長と雇用のアクションプランと整合的に,我々は,構造改革が,労働における基本的な原則及び権利を完全に尊重しつつ,労働市場の機会,流動性及び雇用を創出する経済成長を押し上げる上で重要な役割を果たすことができると考える。我々はまた,学校から職場への成功裡の移行を支援するような,インターンシップや実地訓練を含む,教育,技能開発及び訓練に係る施策における協力を強化するための我々の取組を強化することにコミットする。

21.特に,若年層や危機により最も影響を受けた者において,雇用を創出し失業を削減することは,我々すべての国にとっての中心課題である。我々は,G20各国における雇用及び生活水準の向上に関する国際労働機関(ILO),経済協力開発機構(OECD),国際通貨基金(IMF)及び世界銀行による報告を歓迎する。我々は引き続き,雇用の回復及び失業の削減のペースを加速化させる措置に焦点を当てる。

22.我々は,各国において決定された社会的保護の床を確立することの重要性を認識する。我々は引き続き,各国で決定される社会的保護の床を実施するための低所得国の能力構築を支援するために,機関間及び国際的な政策の一貫性,協調,協力及び知識の共有を促進する。我々は国際機関に対し,効果的で持続可能な保護の床をいかに発展させるかについて,低所得国とともに政策の選択肢を特定するよう求める。

23.我々は,女性の完全な経済的及び社会的参加を妨げる障壁を乗り越え,G20諸国の女性に対する経済的な機会を拡大するための具体的な行動を採ることにコミットする。我々はまた,技能訓練,賃金や給与,職場における待遇及び介護における責任を含むすべての分野においてジェンダーの平等を前進させるための我々の確固たるコミットメントを表明する。

24.我々は,我々の労働大臣に対し,この議題の進ちょくをレビューすることを求め,また,社会的パートナーとの協議を歓迎する。この点について,我々は,議長国メキシコの下で行われたビジネス20やレイバー20によるG20プロセスへの貢献に感謝する。

25.我々は,雇用創出,経済成長及び開発の手段として,旅行及び観光の役割を認識し,外国人の入国を管理する国家主権を認識しつつ,雇用創出,質の高い仕事,貧困削減及び世界の成長を支援する渡航円滑化イニシアティブの発展に向けて作業を行う。

貿易

26.我々は,持続的な世界経済の回復,雇用及び発展にとって必要条件である,開かれた貿易及び投資,市場の拡大並びにあらゆる形態の保護主義の抑止に強くコミットする。我々は,開かれた,予測可能な,ルールに基づいた,透明性のある多角的貿易体制の重要性を強調し,世界貿易機関(WTO)がその中心であることを確保することにコミットする。

27.経済成長の促進のための投資の重要性を認識しつつ,我々は,投資家の支えとなるビジネス環境を維持することにコミットする。

28.我々は,世界中で増加している保護主義の事例を深く憂慮している。カンヌにおいて成された我々のコミットメントをフォローアップしつつ,我々は,貿易及び投資に影響する措置に関するスタンドスティルのコミットメントを2014年末まで再確認するとともに,新たな輸出規制及び輸出を刺激するためのWTO 非整合的な措置を含め,既に採られた可能性があるいかなる新たな保護主義的措置も是正するとの我々のプレッジを再確認する。我々はまた,貿易制限措置及び投資制限措置の時宜に適った通報を約束する。我々は,WTO,OECD及び国連貿易開発会議(UNCTAD)による貿易及び投資措置に関するインベントリー及び監視活動を支持し,これらの国際機関に対し,それぞれのマンデートに沿って作業を強化し,深化させるよう奨励する。

29.我々は,経済成長,雇用及び開発の促進における地域的及び世界的なバリューチェーンの役割を認識し,かかるバリューチェーンへの途上国の参加を向上させる必要性を強調しつつ,プエルト・バジャルタにおいて我々の貿易大臣により行われた国際貿易に対する地域的及び世界的なバリューチェーンの関連性についての議論を評価する。我々は,WTO,UNCTAD及びOECDにおいて,それぞれのマンデートの範囲内で,これらの議論の深化を奨励するとともに,これらの国際機関に対し,我々の活動が我々各国及び他の国々にいかなる影響を与えるかにつきよりよく理解できるように,世界的なバリューチェーンの機能及び,それらのバリューチェーンと貿易及び投資のフロー,発展,雇用との関係,更には貿易のフローの計測方法を分析する作業を加速化させ,議長国ロシアの下で,進ちょくを報告するよう求める。

30.カンヌ・コミュニケと整合的に,我々は,ドーハ開発アジェンダのマンデートを支援し,横断的に貿易交渉を進展させるために斬新で信頼性のあるアプローチを追求するとの我々のコミットメントを再確認する。我々は,貿易円滑化及びその他の後発開発途上国にとっての関心事項といった,進展が可能な特定の分野における成果も含めて,ドーハ・ラウンド交渉の妥結に向け作業を継続する。我々は,世界の最貧国に対するWTO加盟手続の円滑化が進展するよう促す。

31.我々は,紛争解決制度を含め,WTOが定例の業務を行う方法を改善することを通じてWTOを強化すること支持する。我々はまた,我々の貿易担当代表に対し,グローバル化した経済における多角的貿易体制の課題と機会について更なる議論を行うよう指示する。

国際金融アーキテクチャーの強化

32.我々は,効果的な世界的及び地域的セーフティネットの重要性を認識する。我々は,IMFの利用可能資金を増加させるとの確実なコミットメントを歓迎する。これは,多数の国々を含む,幅広い国際協調の努力の成果である。このコミットメントは4500 億ドルを上回っており,2010 年改革における増資に加わるものである。この資金はIMF のすべての加盟国に利用可能であり,いかなる特定の地域にも限定されるものではない。これらの資金は,外貨準備資産とみなされ,バイ融資や債券購入契約といった投資を通じて,IMF理事会によって承認されたモダリティの下で,IMF の一般資金勘定に提供されるであろう。この取組みは,国際金融の安定を守り,危機の予防と解決におけるIMFの役割を強化するために必要な措置を採るというG20及び国際社会のコミットメントを示すものである。

33.我々は,2012年のIMF/世銀年次総会という合意された日までに2010年IMFクォータ・ガバナンス改革を完全に実施するとのコミットメントを再確認する。これらの改革は,IMFの正当性,有用性及び有効性を向上させるために不可欠であり,また,IMFのサーベイランスを更に強化し,IMFがシステム上の役割を果たすために十分な資金を得られるよう確保するための努力を支援する。これらの改革の一部として,我々は,現在のクォータ計算式における欠点及び不十分な点に対処するために2013年1月までにクォータ計算式の包括的見直しを完了し,2014年1月までに次期クォータ一般見直しを完了することにコミットする。我々は,計算式が,簡素で透明性が高く,クォータの複数の役割に整合的であり,加盟国に概ね受入れ可能な計算シェアをもたらし,かつ,適時で,質が高く,広く利用可能なデータに基づいて実施可能であるべきことに合意する。我々は,計算式に基づくクォータ配分が,ダイナミックな新興市場及び途上国の力強いGDPの成長によって大きく変化している,IMF加盟国が世界経済に占める相対的な地位をより良く反映すべきことを再確認する。我々は,IMFに加盟している最貧国の声及び代表性を擁護し続けることの重要性を再認識する。我々は,我々の財務大臣及び中央銀行総裁に対し,11月に会合を行う際にこの問題に関する進ちょくをレビューするよう要請する。

34.我々は,現在のサーベイランスの枠組みが,各国の政策からの波及効果を含む,世界的安定,国内的安定及び金融の安定に焦点を当てた,バイ及びマルチのサーベイランスのより良い統合等を通じて,大幅に強化されるべきことに合意した。我々は,提案されている統合されたサーベイランス決定の検討を前進させるためのIMFの作業を歓迎し,その決定のためのプロセスを支持することにコミットする。我々は,為替政策についての厳格なサーベイランスの重要性を強調するととともに,適切な場合には,対外的な安定に影響を与え得る世界的な流動性,資本フロー,資本勘定に関する措置,外貨準備,財政政策,金融政策,金融セクター政策を含め,サーベイランス活動の対象を更に拡大することを支持する。我々は,対外セクター報告書を作成するためのIMFの進行中の作業を歓迎する。この報告書は,マルチラテラルな分析を強化し,サーベイランスの透明性を向上させるだろう。我々はまた,効果的なサーベイランスには,政治的なオーナーシップ及び実効性が重要であることを認識するとともに,IMFC がすべてのIMF 加盟国による積極的な参加を促進する役割を有していることを認識する。我々は,次回のIMF/世銀年次総会までに実質的な進ちょくを期待する。

35.我々は,世界銀行,地域開発銀行,IMF,OECD及び国際決済銀行(BIS)によって準備される,現地通貨建て債券市場の発展を支援するための中間進ちょく報告書を歓迎し,共同年次進ちょく報告を期待する。この詳細な報告は,11月のG20財務大臣・中央銀行総裁会議に提出される。この問題は,これらの市場の流動性,効率性及び運用が現在のグローバルな金融状況により困難を抱えていることを認識すれば,新興国及び途上国にとって非常に重要である。

金融セクターの改革と金融包摂の促進

36.我々は,金融の安定を強化するためのG20のコミットメントの前進に関する金融安定理事会(FSB)の進ちょく報告書,及び各国レベルでの実施に係るFSBの強化されたモニタリングを歓迎する。我々は,安定的で統合されたグローバルな金融システムを支え,将来の危機を予防するために,合意された政策の時宜を得た,完全かつ整合的な実施にコミットする。

37.我々は,我々の金融改革に関するすべての提言の実施における進ちょくを補捉する信号表スコアボードの公表を歓迎し,政策の策定又は実施における困難が判明した分野での進ちょくのために必要なすべての行動をとることを誓う。

38.特に,我々は,FSBの実施モニタリングのための協調枠組み(CFIM)において特定された優先改革分野,即ち,バーゼル自己資本・流動性枠組み,グローバルなシステム上重要な金融機関(G-SIFIs)の枠組み,破綻処理の枠組み,店頭デリバティブ改革,シャドーバンキング,及び報酬慣行における,現在までの著しい進展を認識する。我々は,改革の完全な実施を達成するために,これらの重要分野における作業を完遂することにコミットする。

39.我々は,2012年末までに,標準化されたすべての店頭デリバティブ契約は,適当な場合には,取引所又は電子取引基盤を通じて取引され,中央清算機関を通じて決済されるべきであり,店頭デリバティブ契約は取引情報蓄積機関に報告されるべきであり,中央清算されない契約はより高い自己資本賦課の対象とされるべきである,との我々のコミットメントを再確認する。我々は,改革の実施に関するFSBの進ちょく報告書を歓迎する。中央清算のための強靭で実効的なグローバル枠組みに関する4つのセーフガードについて著しい進展が達成された今,各国・地域は,中央清算に関するG20のコミットメントを満たすために迅速に最終的な意思決定を行い,必要とされる法令や規制を導入するべきである。我々は,中央清算されないデリバティブの証拠金に関する国際的に整合性のある最低基準を促進するための主要な原則の策定に向けた進ちょくを認識し,国際基準設定主体に対し,その他の店頭デリバティブ改革及びバーゼル自己資本枠組みの実施期限に間に合うように,提案されたグローバルな証拠金基準を本年末までに最終化させるよう奨励する。

40.我々は,バーゼルII,II.5及びIIIの実施における進ちょくを歓迎し,各国・地域に対し,合意されたタイムラインに従いこれらの基準を完全に実施するよう促す。我々は,市場リスクの枠組みの抜本的見直しに関するバーゼル委員会の市中協議提案を歓迎する。我々は,健全な報酬慣行に係る原則及び基準の実施に関するFSBの進ちょく報告書を歓迎し,これらが守られることを確保するというコミットメントを再確認し,FSBに対し,継続的なモニタリングを続けるよう求める。

41.我々は,いかなる銀行又はその他の金融機関も「大きすぎて潰せない」ことがないよう,我々の国内の破綻処理枠組みを,FSBの「実効的な破綻処理枠組みの主要な特性」と整合的なものとするとの我々のコミットメントを再確認する。この目的のため,我々はまた,すべてのG-SIFIsについて現在進められている再建・処理計画並びに各金融機関毎のクロスボーダー協力取極めの策定を支持する。我々は,システム上重要な金融機関(SIFIs) に対する監督の密度と実効性を強化するとの我々のコミットメントを再確認し,FSBに対し,この分野における更なる進ちょくについて2012年11月のG20財務大臣・中央銀行総裁会合に報告するよう求める。

42.我々は,国内のシステム上重要な銀行(D-SIBs)の特定及びそれらに関連する政策措置に係る共通の枠組みとしての一連の原則の策定に関する進ちょくを歓迎し,我々の財務大臣及び中央銀行総裁に対し,彼らの11月の会合においてこれらの分野における提言をレビューするよう求める。我々は,シャドー・バンキング・システムの監視及び規制の強化に向けた継続中の作業を支持し,我々の財務大臣及び中央銀行総裁が彼らの11月の会合においてこれらの分野における提言をレビューすることを期待する。我々は,FSBに対し,保険監督者国際機構(IAIS)と協議の上,グローバルなシステム上重要な保険会社の特定及び政策措置に関する作業を2013年4月までに完成させるよう求める。システミック・リスクの軽減に向け,我々は,FSBが証券監督者国際機構(IOSCO) と協議の上,2012年末までに,その他のシステム上重要なノンバンク金融主体を特定するための手法を用意することを期待し,支払決済システム委員会(CPSS)及びIOSCOに対し,システム上重要な市場インフラに関する作業を継続するよう求める。我々はまた,IAISに対し,国際的に活動する保険グループの監督のための共通枠組みを2013年末までに策定する作業を継続するよう求める。

43.我々は,各国当局及び基準設定主体が信用格付への機械的な依存の終了について進ちょくを加速するよう求め,信用格付機関の透明性と互いの競争を高める措置を奨励する。我々は,質の高い単一の会計基準への収れんを達成するための継続中の作業を支持する。我々は,クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場の機能に関するIOSCOの報告書を歓迎し,IOSCOに対し,2012年11月の財務大臣・中央銀行総裁会合までに次のステップについて報告するよう求める。

44.我々は,公共の利益を代表するグローバルなガバナンスの枠組みを伴う,金融取引当事者のためのグローバルな取引主体識別子(LEI)システムの整備のための枠組みに関するFSBの提言を承認する。LEIシステムは2013年3月までに立ち上げられ,我々は,FSBに対し,2012年11月の財務大臣・中央銀行総裁会合までに実施の進ちょくを報告するよう求める。我々は,当局と市場参加者が金融上のリスクを特定し管理することを支えるため,LEIのグローバルな採用を奨励する。

45.我々は,FSBがIMF及び世界銀行との協調により準備した,合意された金融規制改革が新興市場・発展途上経済(EMDEs)にもたらす潜在的な意図せざる結果を特定するための研究を歓迎する。我々は,合意された改革を実施するという我々のコミットメントを損なうことなく,適切に重大な意図せざる結果に対処するために,FSBによる継続的なモニタリング分析及び報告並びにFSB,基準設定主体,国際金融機関及びEMDEs各国当局の間の対話を奨励する。

46.我々は,国際決済銀行(BIS)との強固なつながりを維持しながら,法人格,強化されたガバナンス,より大きな財政上の自律性並びに金融規制政策の策定及び実施を調整するための強化された能力を伴う永続的な組織基盤をFSBに与えるための提言及び改訂されたFSB憲章を承認する。我々は,我々の次回会合までの提言の完全な実施と,2012年11月の財務大臣・中央銀行総裁会合までの実質的な進ちょくを求める。我々は,FSBに対し,その代表の構造をレビューし続けるよう求める。

47.我々は,FSBによる,監督・規制上の情報交換及び協力の基準の遵守に関する継続中の作業を歓迎し,2012年11月の財務大臣・中央銀行総裁会合に先立ち,このイニシアティブの下での進ちょくに関する更なる声明が公表されることを期待する。

48.租税分野では,我々は,透明性及び包括的な情報交換を強化するとの我々のコミットメントを再確認する。我々は,グローバル・フォーラムにより報告された進ちょくを賞賛し,すべての国,特に,枠組みが整っておらず,現時点ではフェーズ2への資格を有していない13の国・地域に対し,完全に基準を遵守しレビューの過程において特定された提言を実施するよう促す。我々は,グローバル・フォーラムが情報交換の実践の有効性の審査を早急に開始し,我々及び我々の財務大臣に対し報告することを期待する。我々は,我々がその実施において模範を示し続ける,自動的な情報交換の実践に関するOECDの報告書を歓迎する。我々は,各国に対し,適切な場合に,この普及しつつある実践に参加するよう求め,すべての国・地域が多国間執行共助条約に署名するよう強く奨励する。我々はまた,オスロ対話のローマ会合の結果を含め,不法な資金の流れへの対処に係る省庁間の協力を向上させる努力を歓迎する。我々は,所得侵食と利益移転を防ぐ必要性を再確認し,この分野におけるOECDの継続中の作業を関心をもってフォローする。

49.我々は,金融活動作業部会(FATF)のマンデートの更新を支持し,これを通じて,マネーロンダリング,テロリズムへの資金供与及び大量破壊兵器の拡散への資金供与と闘うグローバルな努力を維持する。G20メンバーはまた,改訂されたFATF基準の採択を歓迎し,その履行を期待する。我々は,戦略的なマネーロンダリング・テロ資金供与対策(AML/CFT)上の不備を有する高リスク国・地域の特定と監視,腐敗対策におけるAML/CFTのツールの活用,法人格を有する事業体の透明性の向上と租税犯罪に対する協力の増進,租税回避地によってもたらされるリスクへの対処,そして金融包摂の努力も考慮したAML/CFT措置の対象及び実効性の増大に係る,FATFによる進ちょくを歓迎する。我々は,次回の相互評価のためのFATF評価プロセスのアップデートが2013年に完了することを期待する。

50.我々は,金融包摂に関するグローバル・パートナーシップ(GPFI)の2011年の報告書で示された5つの提言の実施に関する進ちょくを歓迎し,GPFIに対し,彼らの提言の完全な実施に向けた作業を継続するよう求める。我々は,GPFIにより策定された,G20金融包摂基本指標集を承認する。経済発展及び貧困削減において中小企業(SMEs)が果たす主要な役割を認識しつつ,我々は,途上国が中小企業金融に関し直面している金融アクセス上の特有の課題及び制約に対処するための革新的モデル及びアプローチの策定を支援するための中小企業金融協定の立上げを歓迎する。我々は,金融包摂を可能にする規制環境の創出を助ける手段としての基準設定主体及び金融包摂に関する来たるGPFI会議を歓迎し,GPFIに対し,11月に我々の財務大臣及び中央銀行総裁に進ちょくを報告するよう求める。最後に,我々は,消費者保護及び金融リテラシー問題に焦点を当てる, GPFI第4サブグループの創設に向けた進行中の努力を支持する。

51.我々は,「金融包摂に関するG20ピア・ラーニング・プログラム」の下で金融包摂のための国内調整プラットフォーム及び戦略にコミットしたG20及び非G20の国々による努力を認識し,世界銀行グループ及び金融包摂のための同盟,国際連合を含むその他の利害関係者及び二国間援助ドナーによる金融包摂を促進するための進行中の努力及び支援を認識しつつ,マヤ宣言の下で途上国及び新興国によってなされた金融包摂を促進するための具体的行動に対するコミットメントといった,「革新的金融包摂のためのG20原則」の効果的な実施を進めるための類似の努力を奨励する。

52.金融教育に関し,我々は,金融教育のための国家戦略に関するOECD/金融教育に関する国際ネットワーク(INFE)ハイレベル原則を承認し,OECD/INFE及び世界銀行に対し,GPFIと協力して,金融教育を推進するための更なるツールを提供し,次回のサミットに進ちょく報告書を提出するよう求める。金融消費者保護のアジェンダを前進させるために,我々は,国際金融消費者保護ネットワーク(FinCoNet)の定款に関する議論と,ベスト・プラクティスの交換を確保するための公的形態や財政上の支援の問題に関する議論に留意する。我々はまた,金融消費者保護に関するG20/OECD作業部会によって提示された,金融消費者保護に関するハイレベル原則の実施を支援するための効果的なアプローチを策定するための行動計画を承認し,2013年のサンクトペテルブルクにおける首脳サミットまでのアップデート報告を期待する。

53.我々は,女性及び若者が金融サービス及び金融教育へのアクセスを得る必要性を認識し,GPFI,OECD/INFE及び世界銀行に対し,彼らが直面し得る障壁を特定するよう求め,次回のサミットまでに進ちょく報告書を提出するよう求める。

54.我々は,有益,手頃,安全かつ包括的な金融サービスの創設を通じて金融包摂への障壁に対処するためのイノベーションを募集する,「メキシコ金融包摂の挑戦:アクセス開放のための革新的解決策」の立上げを歓迎する。

食料安全保障の強化及び一次産品の価格変動への対処

55.2011年に農業大臣によって採択された食料価格乱高下及び農業に関する行動計画は,2050年までに93億人を超えると見込まれる世界の人口を養うためには,農業生産が50%から70%増加しなければならず,途上国においては100%近くまで増加しなければならないことを強調した。我々は,農業状況の多様性を考慮しつつ,生産及び生産性を持続可能な方式で増加させることは,今日世界が直面している最も重要な課題の一つであると認識する。サヘル地域及びアフリカの角地域における危機はまた,食料不安に対する緊急及び長期的対応の強化が依然として喫緊の課題であることを強調している。我々はまた,慢性的な栄養不良が,各国の財政資源及び人的資源の甚大な流失であることにも留意し,それゆえ,我々は,栄養スケールアップ運動を支持し,G20諸国がより広範に関与するよう奨励する。

56.我々は,食料価格乱高下及び農業に関する行動計画及び開発に関するソウル複数年行動計画の食料安全保障部分の実施において成し遂げられた目覚ましい進ちょくを歓迎する。我々は,ビジネス20及び市民社会からの他の提言に加え,従来のコミットメントの進ちょく及び国連食糧農業機関(FAO)及びOECDによって調整されたいくつかの国際機関からのインプットを含む,持続可能な農業生産性の向上に関する主要な提言に関する,この宣言に添付されている「G20農業次官報告書」を支持する。

57.飢餓と闘うために,我々は,熱帯農業プラットフォーム,農業リスク管理プラットフォーム,GEO世界農業モニタリング,小麦,コメ及びとうもろこしに関する研究イニシアティブ,迅速対応フォーラム(RRF),地域的な緊急食料備蓄,世界農業食料安全保障プログラム(GAFSP),並びに責任ある農業投資原則(PRAI)を含む,我々のイニシアティブに対する我々の取組を継続することにコミットする。透明性の向上の食料価格乱高下の減少に対する重要な貢献を認識しつつ,我々は,農業市場情報システム(AMIS)の実施において達成された進ちょくを歓迎する。我々は,農業に関するものを含め,より安定的,予測可能で歪曲のない,開かれた透明性のある貿易システムが,食料安全保障を促進する上で重要な役割を有していることを認識する。

58.我々は,世界食糧計画(WFP)が非商業的な人道目的で購入した食料に対する輸出規制又は例外的な課税を撤廃するとのコミットメントを再確認する。我々は,国家の食料安全保障の文脈における土地所有,漁業,森林の責任あるガバナンスのための任意ガイドラインの実施を奨励する。

59.我々は,農業における市場の失敗によって制約されている,新たな農産品及び農業システムの民間部門におけるイノベーションを奨励することにより,貧困層及び脆弱な人々のための食料安全保障を改善することを目的とする,「アグリザルツ(AgResults)」イニシアティブの立ち上げを大いに歓迎する。我々は,サブサハラ・アフリカにおける栄養強化作物,収穫後の廃棄を削減する貯蔵法及び作物の品質技術における改良に焦点を当てたパイロット事業の立ち上げに期待する。我々は,このイニシアティブに対する資金拠出を行うことを既にコミットし,又はコミットする意図を示した人々を賞賛し,より広範な参加を奨励する。

60.我々は,気候変動に農業を適応させる必要性を認識し,水及び土壌の利用の効率性を持続可能な形で改善することの重要性を認識する。この目的のために,我々は土壌肥沃度の強化,簡易耕起,森林農業といった,利用可能な技術,よく知られた実践や手法の発展及び更なる活用を支持し,国際機関に対し,特に小規模農場に適した手法のものを含め,農業における水利用の効率性を向上させるための科学的根拠に基づく選択肢に関する報告書を提供するよう求める。

61.我々は,国際一次産品市場の安定を維持することが世界経済の回復にとって重要であることを認識する。我々は,食料安全保障及び持続可能かつ包摂的である強固な成長を実現するために,よく機能し,透明性のある現物及び金融の一次産品市場並びに過度の価格変動の低減の重要性を強調する。我々は,一次産品価格の過度の変動が,経済の主体にとっての不確実性を増加させ,予算の安定性,及び経済計画の予測可能性を潜在的に妨げるなど,すべての国に対して重大な影響をもたらすことを認識する。我々は,一次産品価格変動による最も脆弱な人々に対する負の影響を緩和することが,貧困削減及び経済成長の加速における重要な構成要素であると認識する。したがって,我々は,一次産品価格の過度な変動が成長に与えるマクロ経済的影響に関するG20の報告書,及び各国がそのような効果を緩和するために国情を考慮しつつ検討し得る政策の選択肢を同報告書が特定したことを承認する。我々はまた,IMF,世界銀行及びUNCTADの参画及び有益なインプットを認識し評価する。我々は,我々の財務大臣に対し,報告に規定された更なる作業の可能性のある分野に留意しつつ,これらの現物市場の更なる機能向上を促進するためのG20の貢献の進ちょくに関して,2013年に報告するよう要請する。我々は,市場規制機関及び当局の実効的な介入権限並びに適切な規制・監督の枠組みをもって,店頭を含めた金融の一次産品市場において透明性を高め濫用を防ぐとの我々のコミットメントを再確認する。この関連で,我々は,IOSCOが,2012年11月までに,商品デリバティブ市場に係るIOSCO提言の実施について報告することを期待する。

62.我々は,エネルギー商品の過度な価格変動もまた,経済の不安定性の重要な要素であることを認識する。我々は,よく機能し,透明性のあるエネルギー市場にコミットし続ける。我々は引き続き,共同機関データ・イニシアティブ(JODI)石油の適時性,完全性及び信頼性の改善に向けて作業を行い,来年の進ちょく報告に期待する。我々は同じ原則に基づきJODIガス・データベースに関する作業を行う。我々は,JODI石油データベースの信頼性向上に関する国際エネルギー・フォーラム(IEF)による報告書並びに国際エネルギー機関(IEA),IEF及び石油輸出国機構(OPEC)によって提出されたガス及び石炭の国際市場の透明性に関する報告書が,11月に我々の財務大臣によって議論されることを期待する。我々はまた,2012年11月に,他の委任された機関(IEF,IEA及びOPEC)との協働の下に作成される,IOSCOによる価格報告機関の機能及び監視の改善のための提言に期待し,財務大臣に対し,この分野に関する具体的な措置を必要に応じて講じるよう任務を課す。

開発課題への対処

63.貧困を撲滅し,強固で,包括的,持続可能かつ均衡ある成長を達成することは,依然としてG20開発アジェンダの核心的な目標である。我々は,途上国,特に低所得国と共働し,彼らが国際的に合意された開発目標,特にミレニアム開発目標及びその先の目標を達成するために必要な国家主導の政策及び優先課題を実施することを支援するとのコミットメントを再確認する。

64.我々は,これまでのG20議長国による作業に立脚する開発作業部会のイニシアティブ及び,同部会が,メキシコが議長国の間,食料安全保障,インフラ及び包摂的なグリーン成長という三つの優先事項に焦点を当てたことを歓迎する。我々は,ソウル複数年行動計画における我々のコミットメントに対して達成された進ちょくを賞賛し,この宣言に添付された2012年開発作業部会進ちょく報告書を支持する。我々は,開発作業部会に対し,次のサミットまでに,G20の開発行動の評価及び説明責任を確保するプロセスの実施を探求するよう求める。

65.インフラへの投資は,持続可能な経済成長,貧困削減及び雇用創出にとって極めて重要である。それゆえ,我々は,国際開発金融機関(MDBs)の行動計画及びインフラに関するハイレベル・パネルからの提言の実施を含む,複数年行動計画の下に達成された確固たる進展を歓迎する。

66.公的資金が途上国におけるインフラ開発プロジェクトにとって依然として不可欠であることを認識しつつ,我々はそれが,民間部門投資によって補完されるべきであると考える。我々は,国際開発金融機関に対し,引き続き行動計画の下で進ちょくを図るよう奨励し,低所得国におけるリスク及び収益に関する誤った認識への対処に関する報告書を歓迎する。この報告書は,低所得国への長期的なインフラ投資がもたらすリスクについて,それが提供する機会と同様に,適切に認識することに関する重要なメッセージを含んでいる。急速な都市化がもたらす課題及び都市をより持続可能なものにする必要性を認識しつつ,我々は,「途上国における大・中規模都市における大量輸送インフラ・プロジェクトに係るベスト・プラクティス」に関する報告書を歓迎し,開発作業部会の報告書で示されたフォローアップの行動を支持する。

67.我々は,ミレニアム開発目標において示された開発のためのグローバル・パートナーシップへのコミットメントを再確認し,韓国の釜山で開催された第4回援助効果向上に関するハイレベル・フォーラムによって達成された広範なコンセンサスの下,自発的な参加によって立ち上げられる効果的な開発援助のためのグローバル・パートナーシップを含め,この目的に貢献する取組を歓迎する。

68.我々は,災害をより良く予防し,人々及び財産を守り,経済上の影響を金融面で管理するための災害リスク管理(DRM)の手法及び戦略の有用性を認識する。我々は,災害リスク管理についての議論にインプット及び広範な参加を提供することを目的として,世界銀行及びOECDが国連の支援を受けて行っている共同作業に感謝する。我々は,世界銀行及びメキシコがG20メンバー国の支援を受けて行っている,この分野における各国の経験に関する共同出版を歓迎し,11月までに完成予定の,災害リスク管理戦略の実施の円滑化に向けたOECDの自発的な枠組みに期待する。

包摂的なグリーン成長を通じたより長期的な繁栄の促進

69.現在及び将来の世代の長期的な発展と繁栄は,我々に,喫緊の経済危機を超えた先を見ることを要求する。我々は,経済成長,環境保護及び社会的包摂がお互いを補完し,補強し得る方策を探ることの重要性を認識する。持続可能な開発及び貧困削減の文脈における包摂的なグリーン成長は,環境を保護し,我々の将来が依拠する社会福祉を向上させながら,我々の発展と経済目標を実現することを助ける。包摂的なグリーン成長は,保護主義的措置を導入するために利用されるべきではない。

70.我々は引き続き,途上国が,包摂的なグリーン成長を奨励するものを含む適切な措置を通じて発展を維持し,強化することを支援することにコミットする。我々は,2012年国連持続可能な開発会議(リオ+20)において,持続可能な開発へのコミットメントを再確認する。我々は,G20の議題の一部として,またリオ+20において得られた合意及び国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の観点から,包摂的なグリーン成長に焦点を置き続けることにコミットする。

71.気候変動は引き続き世界経済に対し重大な影響を及ぼし,我々の追加的な行動が遅れるほど,コストは高くなる。我々は,気候変動への対処に関するコミットメントを改めて表明し,一連の国連気候変動会議に対する,第17回締結国会議の成果を歓迎する。我々は,カンクン及びダーバンにおける成果の完全な実施にコミットし,COP18における成功裡でバランスのとれた成果の達成に向けて次期議長国であるカタールと協働する。我々は,中期的に,気候に配慮した道程に向けて経済を構造的に変革する必要性を強調する。我々は,カンクン合意と一致したUNFCCCの目標,条件及び原則を考慮しつつ,効果的に資金を動員する方法を検討するため,気候変動資金に関するG20研究グループの創設を歓迎し,11月に財務大臣に,進ちょく報告を提出するよう求める。我々は,緑の気候基金の立ち上げを支援する。

72.開発作業部会は,各国がそれぞれの国の状況及び優先事項に基づく持続可能な開発に向けた道程を定めることを助ける潜在性を有する,広範な一連の実効的かつ自発的な措置及び行動について議論した。我々は,途上国が,包摂的なグリーン成長に関する戦略及び政策を策定し,実施するために,知見の共有,資源動員及び技術的,制度的な能力構築を促進し得る機関及びメカニズムへのアクセスを有するべきであると信じる。我々は,グリーン成長ナレッジプラットフォームを立ち上げるための国際的な取組を歓迎し,関心を有する途上国に適切な支援を提供する選択肢を引き続き探求する。我々は,包摂的なグリーン成長のための政策選択肢に関する非規範的,自発的なツールキットの提供を歓迎し,その実施を促進するための取組を奨励する。我々は,包摂的なグリーン投資に関する官民対話プラットフォームを通じたものを含む,途上国における包摂的なグリーン成長投資のための公的及び民間の資金を動員する効果的なメカニズムの更なる探求を奨励する。我々は,B20におけるグリーン成長行動アライアンスを歓迎する。

73.我々は,グリーン成長及び持続可能な開発が長期的な繁栄及び幸福を促進するための強い潜在力を有していることを強調する。我々は,OECD,世界銀行及び国連により準備された,個別の国の状況及び発展段階に即したグリーン成長及び持続可能な開発政策の構造改革アジェンダへの組入れに関する報告を歓迎する。我々はまた,グリーン成長及び持続可能な開発を構造改革のアジェンダに統合するために採られた現行の取組に関し自発的に自己報告を行うとのG20による取組を認識する。我々は,2013年に再び自発的に自己報告を行い,適切な事務方に対し,構造改革アジェンダ及び持続可能な開発を促進する関連の国家計画にグリーン成長政策を組み入れることに関する各国の取組及び進ちょくについて報告するよう求める。

74.我々は,化石燃料補助金に関する進ちょく報告を歓迎し,最貧困層への的を絞った支援を提供しつつ,中期的に無駄な消費を助長する非効率な化石燃料補助金を合理化し段階的に廃止するという我々のコミットメントを再確認する。我々は,財務大臣に対し,次回のサミットまでに進ちょくを報告するとともに,説明責任及び透明性の関連性を認識しつつ,次回の財務大臣会合までに,G20メンバーの自発的なピア・レビュー・プロセスのための選択肢を探求するよう要請する。我々はまた,この作業に既に関与している他のグループとの間の化石燃料補助金に関する対話を歓迎する。

75.カンヌにおいて,我々は,我々の国々及びその他の国々において,グリーン成長の潜在力を最大限活用し,持続可能な開発を確保するために,低炭素開発戦略を推進することにコミットした。我々はそれゆえ,クリーン・エネルギー及びエネルギー効率技術に関する報告を歓迎し,技術展開に向けた課題に関する各国の経験を共有することを通じて,これらの技術への投資を促進するためのG20諸国の取組を認識する。

76.我々は,地球海洋環境保護ベスト・プラクティス共有メカニズムに係るウェブサイトの設立を歓迎し,カンヌのマンデートに従ったその立ち上げを期待する。

腐敗との闘いの強化

77.腐敗は,経済成長を妨げ,市場の一体性を脅かし,公平な競争を弱め,資源の分配を歪め,公衆の信頼を損ない,法の支配を弱める。我々は,すべての関連する利害関係者に対し,腐敗との闘いにおいて積極的な役割を果たすよう求める。

78.実施と執行のギャップを縮小させることは依然として重要な優先事項であり,我々は引き続き,G20ソウル・サミット腐敗対策行動計画及びカンヌ監視報告書でなされたコミットメントの完全な実施に向けて意義ある進展を図る。我々は,国連腐敗防止条約(UNCAC)の批准及び完全な実施並びにOECD贈賄作業部会への自発的でより積極的な参加への我々のコミットメントを改めて表明する。我々は,腐敗との闘いにおけるB20の継続的な参加を歓迎し,また,レビュー・メカニズムの付託事項にしたがい,UNCACレビュー・プロセスに民間部門及び市民社会を自発的に関与させる。我々は本日,腐敗した公務員や彼らを腐敗させた者の自国への入国拒否に係るG20腐敗対策作業部会の原則を承認し,引き続き,協力に係る枠組みを策定する。我々はまた,利益相反を避け, 特定し,そして適切に管理するため,関連する公務員に対する金融及び資産情報の開示システムに係る同作業部会の原則を承認する。

79.我々は,腐敗防止に係る法令の執行にコミットし,また,我々は,賄賂を受け取りまた賄賂を要求する者を,それらを支払う者と同様に各国の法令に従って追及する。G20及びG20以外の政府間における腐敗の捜査及び訴追に係る国際協力の促進に資するよう,我々はG20諸国からの法律上の相互援助に関する指針及びG20各国における財産追跡に関する情報を公表する。我々は,腐敗による収益の安全な逃避先の否定及び奪われた財産の回復及び返還に対する我々のコミットメントを再確認する。

80.我々は,腐敗対策作業部会のマンデートを2014年末までの2年間延長するとともに,同作業部会に対し,包括的な行動計画及び作業部会の第2回作業部会監視報告を,いずれも2012年末までにシェルパによる検討及び採択の上で発表できるよう,準備することを要請する。

その他のパラグラフ

81.世界経済の相互連関性の観点から,G20は,現在及び将来の課題と効果的に取り組むために必要な多国間協力の新たなパラダイムに至った。G20の非公式かつ柔軟な性質は,G20が国際的な経済及び金融協力を行うことを容易にし,かつ世界経済が直面している諸課題に対処することを可能としている。我々が引き続きG20の透明性及び実効性を改善し,G20が喫緊のニーズに対応できるよう確保することが重要である。これへの貢献として,カンヌでなされたコミットメントと整合的に,シェルパは,一連の進行しつつあるG20のワーキング・プラクティスを発展させてきた。

82.G20非公式外相会合が2月にロスカボスにて開催され,同会合は,G20メンバー国がグローバル・ガバナンスにおいて鍵となる課題への対処により効果的に貢献し得る方法につき探求した。

83.G20の意思決定の広範な影響を認識しつつ,我々は,ビジネス20,レイバー20,ユース20及びシンク20といった会合を含め,議長国メキシコによって着手された広範なアウトリーチの取組を歓迎する。我々は引き続き,非メンバー国,国際連合及びその他の主体を含む地域及び国際機関との取組を発展させる。カンヌのマンデートに整合的に,我々のアウトリーチが一貫しかつ効果的であり続けることを確保するために,我々は,シェルパによって開発された,この分野における一連の原則を歓迎する。

84.我々は,国連,IMF,世界銀行,WTO,FSB,ILO,FAO及びOECDを含む国際機関及び市民社会に対し,G20プロセスへのインプットに感謝する。これらの機関等の報告及び提言は,持続可能な開発から金融規制に及ぶ諸分野におけるG20の議論に対する有益なインプットを提供した。

結び

85.我々は,メキシコが議長国である11月30日までの間に行われる残りの作業に期待する。2012年12月1日より,ロシアがG20議長を開始する。我々は,議長国ロシアの下で,サンクトベテルブルグにおいて会合する。我々は,成功裡にロスカボス・サミットを開催したメキシコに感謝する。