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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 20カ国財務大臣・中央銀行総裁会議声明(2011年9月22日)

[場所] ワシントンD.C.
[年月日] 2011年9月22日
[出典] 財務省
[備考] 仮訳
[全文]

 我々、G20の財務大臣と中央銀行総裁は、世界経済が直面している新たな課題、特にソブリンへのストレス、金融システムの脆弱性、市場の混乱、弱い経済成長、および受け入れ難いほど高い失業率により高まっている下方リスクに対処するため、力強く協調のとれた国際的対応にコミットしている。

 我々は、金融の安定性を維持し、信認を回復し、成長を支えるため、強固な行動を取りつつある。ユーロ圏諸国は、財政の持続可能性を確保するための主要な手段を採ってきており、ユーロ圏の首脳が2011年7月21日に行った決定を履行しつつある。具体的には、ユーロ圏は我々の次回の会合時までに、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の柔軟性を増し、危機の伝播を抑えるためにその影響力を最大化させるための行動を実施しているであろう。米国は、中期的な財政の持続可能性を回復するために計画された財政改革と併せた、公共投資、税制上のインセンティブ、及び焦点を絞った雇用対策を通じた、成長と雇用を強化するための相当な規模のパッケージを打ち出した。日本は、中期的な財政健全化のコミットメントを維持しつつ、震災復興のための本格的な財政措置を実施しつつある。下方リスクの高まりは、新興市場国と途上国が直面する経済環境についてもより困難にしており、これらの国は、安定性と持続的な成長を維持するために、マクロ経済政策を状況に応じて調整している。新興市場国の経済が構造改革や経済ファンダメンタルズを反映する為替レートの一層の柔軟性を通じることを含めて、全体としてさらに内需主導の成長に向うことで、グローバルな成長に対するこれらの国々の貢献は増加するであろう。我々は、為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済および金融の安定に対して悪影響を与えることを再確認する。

 我々は、成長を支え、信頼に足る財政健全化計画を実施し、強固で持続可能かつ均衡ある成長を確保することにコミットしている。このためには、全ての国が各々の役割を果たす、集合的で大胆な行動計画が必要となるであろう。我々は、カンヌ・サミットに向けて、短期的な決定と中長期的な視点を含む、協調的な政策についてのアクションプランを策定するため、協働していく。

 我々は、必要な場合に銀行システムと金融市場の安定を保つために必要な全ての行動を採ることにコミットする。我々は、銀行が現在のリスクに対応するために充分な資本および資金へのアクセスを有し、合意されたスケジュールに沿ってバーゼルⅢを完全に実施することを確保する。中央銀行は引き続き、必要な場合に銀行に流動性を供給する準備がある。金融政策は、物価の安定を維持し、引き続き経済回復を支える。

 我々は、次回の会合において、本日のコミットメントの実施にかかる進展をレビューする。