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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 20か国財務大臣・中央銀行総裁会議声明(2009年9月5日)

[場所] ロンドン
[年月日] 2009年9月5日
[出典] 財務省
[備考] 仮訳
[全文]

1. 我々G20の財務大臣・中央銀行総裁は、ピッツバーグ・サミットに先立ち、「回復と改革のためのグローバル・プラン」実施の進捗状況を評価するとともに、持続可能な成長を確保し、より強固な国際金融システムを構築するための更なる行動について合意するため、会合した。我々はワシントン・サミット及びロンドン・サミットでなされた全てのコミットメントの迅速かつ十分な実施の必要性を再確認し、別添の宣言において金融システムを強化するための更に必要な措置について合意した。

2. 我々の先例のない、断固たる、協調した政策措置は景気後退を止め、世界需要を喚起するのに役立った。金融市場は安定化してきており世界経済は改善しているが、成長と雇用の見通しについては引き続き慎重であり、特に、多くの低所得国への影響について懸念している。我々は、景気回復が確実になるまで、物価の安定と長期的な財政の持続可能性と整合的に、必要な金融支援措置及び拡張的金融・財政政策の断固たる実施を継続する。

3. 我々は、既に達成してきたことを基礎とし、眼前の重大な課題に取り組まなければならない。必要に応じ、不良資産を処理し、厳格なストレステストを実施することを含め、貸出を支援するために行動することは成長のために死活的に重要である。我々は構造政策、積極的な労働市場政策及び訓練・教育を通じ雇用を促進しなければならない。我々は、実物及び金融市場の機能及び透明性を改善し、生産国と消費国の間のより緊密な対話を促進することにより、過度な一次産品価格の変動に対処する。我々は2500億ドルの貿易金融イニシアティブの迅速な実施を歓迎し、あらゆる形の保護主義と闘い、ドーハ開発ラウンドの野心的でバランスのとれた妥結に至るというコミットメントを改めて確認する。

4. 我々は、景気回復がしっかりと確保されていくにつれて、財政政策、金融政策及び金融セクター政策での例外的な支援を戻すための透明で信頼性あるプロセスの必要性について合意した。我々はIMF及びFSBと協働し、行動の規模、時期及び順序が国及び政策手段の種類によって異なることを認識しつつ、協力的で調和した出口戦略を作成する。

5. 我々は、世界需要の秩序あるリバランス、国内障壁の除去及び世界的な市場の効率的な機能発揮の促進を必要とする、安定した、持続可能な高成長を達成することに取り組む。気候変動に対抗する必要性は緊急であり、我々は、コペンハーゲンでの成功に向けて作業する。

6. 我々は、国際金融機関強化において重要な進歩を遂げたが、より多くがなされる必要がある。拡大された、より柔軟な新規借入取極を含む、4月に合意された8500億ドルの追加的資金の供給、及び、低所得国における社会的保護及びセーフティネットを支援するとともに、貿易を増加し開発を保護するための500億ドルの資金の供給は、完了が近い。我々はIMFの融資制度の全面的見直しを歓迎する。我々は、国際開発金融機関(MDBs)が1000億ドルの追加的融資の供給に十分オン・トラックであることを認識しつつ、MDBsがそのバランスシートを最大限活用することを促すとともに、MDBsが適切な資本を確保するためのコミットメントを改めて確認する。当面、我々は、構造改革とインフラ整備を支援するために低所得国へ資金を提供することに集中する必要がある。

7. 我々は、2008年の国際金融機関のガバナンス改革の即時の実施を期待する。また、2010年春までに世界銀行の改革を、2011年1月までにIMFの次期クォータ見直しを完了する。我々は、IMFは引き続きクォータに基づく組織であるべきであり、改革の一部として、新興国及び最貧国を含む途上国の発言権と代表権は、世界経済の変化を反映して大きく増加されなければならないことを認識する。これを達成するため、ピッツバーグにおける実質的な進展を期待する。我々はまた、説明責任を向上させ、戦略的な監督におけるIMF総務の関与を強化するという我々のコミットメントを改めて確認し、開かれた、透明で実力本位の国際金融機関マネジメントの選任の方向へ動くことに合意した。より強固な協力を支援し、より持続可能な世界経済と国際金融システムを確保するにあたってのIMFの役割と有効性を向上するために、率直、公平かつ独立のサーベイランスが死活的に重要である。我々はIMFに対し、他の国際機関と協働しつつ、持続可能な回復を確実なものとするための我々の行動の評価を継続することを求める。