データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本側とコスタリカ側との間の低炭素成長に関する協力覚書

[場所] 東京
[年月日] 2013年12月9日
[出典] 外務省仮訳
[備考] 
[全文]

日本側及びコスタリカ側(以下「双方」という。)は、気候変動に関する国際連合枠組条約 (以下「条約」という。)第2条に言及される条約の究極的な目的、及び持続可能な開発の 達成と気候変動に取り組むための2013年以降の継続した協力を追求し、次の項目にし たがって、低炭素成長のイニシアティブを推進する。

1.双方は、地域的及び二国間の枠組みでの低炭素成長に焦点を合わせた協力の様々なレ ベルで、緊密に政策協議を推進する。

2.双方は、コスタリカにおける低炭素成長を実現するための投資並びに低炭素技術、製 品、システム、サービス及び社会基盤の普及を促進するため、二国間クレジット制度(以 下「JCM」という。)を創設し、条約の原則及びこの主題に関するそれぞれの国にお ける国の法令に従って、JCMを実施する。

3.双方は、JCMを運営するため、双方からの代表者から構成される合同委員会を設置 する。

(1)合同委員会運営規則は、双方の協議を通じて定められる。

(2)合同委員会は、規則及びガイドライン類、温室効果ガスの排出削減又は吸収量を定 量化するための方法論、第三者機関の指定に関する要件、及び必要なJCMの実施及 び管理に関するその他の事項を策定する。

(3)合同委員会は、JCMの実施状況を評価するために、定期的に会合を招集する。

4.双方は、JCMの下での緩和事業における認証された排出削減又は吸収量を、国際的 に表明したそれぞれの温室効果ガス緩和努力の一部として使用できることを相互に認 める。

5.双方は、世界的な温室効果ガスの排出削減又は吸収に向けた具体的行動を推進するた めに、JCMの堅固な方法論、透明性及び環境十全性を確保するとともに、JCMを簡 素で実用的なものとする。

6.いずれの側も、温室効果ガスの排出削減又は吸収量の二重計算を回避するため、JC Mの下で登録された緩和事業を、他の国際的な気候緩和制度の目的のために使用しない。

7.双方は、JCMを実施していくために必要な資金、技術及び能力向上の支援の円滑化 のため、それぞれの国の能力に従って、緊密に協力する。

8.JCMは取引を行わないクレジット制度としてその運用を開始する。双方は、取引可 能なクレジット制度への移行のための協議を継続し、JCMの実施を踏まえつつ、可能 な限り早い段階で当該協議の結論を得る。

9.双方は、JCMが取引可能なクレジット制度になった場合、JCMを通じ、途上国の 適応努力に具体的に貢献することを目指す。

10.双方は、双方間の相互の書面による同意によって、この文書を修正し得る。

11.この文書の期間は、条約の下での新たな国際的な枠組みが効力を生じ得るまでの期 間を対象とする。双方は、とりわけ気候変動に関する国際連合の交渉における進展を踏 まえつつ、前述の期間の前に、この文書の延長もしくは終了を検討する。

東京において2013年12月9日に、英語による本書2通に署名された。日本語及びス ペイン語の2つの本書2通が署名される。これらの文書は等しく価値を有する。解釈に相 違がある場合には、英語が参照される。

石原 伸晃

環境大臣 日本国

レネ・カストロ・サラサール

環境エネルギー大臣 コスタリカ共和国