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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第9回気候変動に対する更なる行動に関する非公式会合 共同議長サマリー

[場所] 東京
[年月日] 2011年3月4日
[出典] 外務省
[備考]
[全文]

 2011年3月3日及び4日,第9回気候変動に対する更なる行動に関する非公式会合が東京で開催された。26の国連気候変動枠組条約締約国の政府関係者,国連機関及び世界銀行に加え,気候変動枠組条約の下での長期的協力の行動のための特別作業部会(AWG-LCA)及び京都議定書の下での附属書I国の更なる約束に関する特別作業部会(AWG-KP)の両議長が出席した。本会合では,平松外務省地球規模課題審議官とマシャード・ブラジル外務省環境特別問題局長が共同議長を務めた。

 出席者は,気候変動交渉に関し,自由で率直な意見交換を行った。出席者は,気候変動問題は国際社会が取り組むべき最も喫緊の課題の一つであり,建設的かつ協力的な方法で交渉を加速させることが重要であるとの見解を共有した。

 本会合は,本年の議論を開始し,本年中に扱われるべき主要な論点に関して意見交換を行う良い機会となった。

 出席者は,本年末に南アフリカのダーバンで開催される国連気候変動枠組条約第17回締約国会議(COP17)に向け,気候変動交渉のモメンタムを維持するために最大限の努力をすることで一致した。

 出席者は,国連気候変動枠組条約第16回締約国会議(COP16)においてカンクン合意が採択され,緩和,資金,適応及び技術等の分野で重要な成果が得られたことを歓迎した。出席者は,COP16に向けた,及び,その期間中のプロセスにおける,透明性と包含性が,カンクン合意という具体的な成果に貢献したとの見解を共有した。

 出席者は,COP16におけるメキシコの役割を一致して賞賛した後,本年の交渉の効率と効果を向上させ,透明性と包含性を確保するために,カンクンで残された課題を列挙し,それらの課題間の優先度について協議した。また,COP17で期待される成果についても意見交換を行った。

 出席者は,緩和,測定・報告・検証(MRV)/国際的な協議及び分析(ICA)/排出及び除去に対する国際的な評価(IAER),適応,技術,資金,途上国における森林の減少及び劣化に由来する排出の削減等(REDD+)及び市場メカニズムといった気候変動交渉における主要な論点について議論した。また,途上国と先進国間の協力や,二国間及び地域の協力と国連の下の枠組みとの調整についても意見交換を行った。

 緩和については,長期及び中期の世界全体の削減目標,排出削減約束の登録方法,排出削減約束の履行を促進し緩和に関する野心度を引き上げるための方法を含め,幅広い論点について議論が行われた。

 MRV/ICA/IAERに関しては,先進国と途上国のMRVのガイドラインに含まれうる要素をどう洗い出すか,ICAのためにどのようなメカニズムが設立されるべきか,MRVを行うにあたって必要なキャパシティ・ビルディングをどのように実施するか,及びレジストリのメカニズムはどのように設立されるべきかについて議論が行われた。

 適応,資金,技術及びREDD+については,カンクン合意をいかに実施するかに議論の焦点が当てられた。出席者は,適応委員会を含むカンクン適応枠組み,緑の気候基金,技術執行委員会及び気候技術センター・ネットワークを含む技術メカニズム並びにREDD+メカニズムについて意見交換を行った。また,市場メカニズムの継続を確保する方法を含む,市場メカニズムに関する問題についても議論が行われた。途上国への協力については,多くの出席者が先進国と途上国の間の協力を改善する必要があることを強調した。

 出席者は,本非公式会合が関係国・機関の間で意見交換を行う貴重な機会を提供し,COP17に向けた国際交渉の促進に貢献するものであることを指摘した。