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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 「気候と森林に関するオスロ会議」福山外務副大臣ステートメント

[場所] オスロ
[年月日] 2010年5月27日
[出典] 外務省仮訳
[備考] 
[全文]

(冒頭)

 本会議主催を始め、気候変動問題への取組におけるストルテンベルグ首相及びノルウェー政府のリーダーシップに深く敬意を表します。森林保全(REDD+)は最も効果的な気候変動緩和策の一つであり、緊急に取り組む必要のある分野です。その実施には、今次パートナーシップの下での支援や議論の促進とUNFCCCの下での交渉を通じた合意形成の双方が不可欠です。日本としても積極的に貢献していく決意です。

(REDD+に係る日本の実績)

 我が国はCOP15で表明した150億ドルの鳩山イニシアティブの短期資金(fast start financing)の一環として、約5億ドルをコミットし、5月までに既に約1.6億ドルのバイの支援を決定しました。国家森林計画の策定やMRVの確立のためには、まず森林モニタリングが不可欠であり、途上国のオーナーシップを尊重し、現場主義という日本の援助方針を活かしながら、引き続き支援を行っていく所存です。

(新たなパートナーシップの意義)

 REDD+は10年、20年のスパンで継続的に取り組むべき分野です。また、森林保有地域の持続可能な開発、生物多様性の保護、伝統的生活を営む原住民の生活支援等とも密接に関連することに十分配慮しながら、きめ細かく取組を進めなくてはなりません。

(森林保全と気候変動に関する閣僚級会合)

 今回のパートナーシップは、REDD+において国際社会が連携して取り組むための重要な第一歩であり、これを基礎として、多くの途上国において行動が着実に具体化されることが重要です。実績を踏まえて、次期枠組みの下でのREDD+のあり方を議論し、合意を目指すべきです。その観点から、本会議の結果をフォローアップしつつ、カンクンでのCOP16に向けた国際交渉を後押しするため、我が国は10月の生物多様性条約COP10開催の機会を捉え、森林保全と気候変動に関する閣僚級会合を主催します。特に、途上国の参加国から、REDD+への取組強化に向けた力強い声をお聞かせ願いたいと思います。

(コペンハーゲン合意への賛同)

 一方で、次期枠組の合意なくしては、REDD+の取組も本格稼働できません。すべての主要国が参加する公平かつ実効的な国際的枠組みを構築する新しい一つの包括的な法的文書の速やかな採択を目指すべきです。「コペンハーゲン合意」の中で、REDD+のメカニズムの構築に合意出来たことは意義深く、コペンハーゲン合意の未賛同国には、出来る限り速やかな表明を期待します。

 この関係で、5月初旬にタンザニアで行われたアフリカ42か国と我が国の間の外相会合において、REDD+の支援の強化に一致し、新たな一つの法的文書の可能な限り速やかな採択を目指すべきとの共同コミュニケが発出できたことをご紹介しておきます。

(結び)

 改めて、本会合でのパートナーシップ立ち上げに最大の尽力のあったノルウェーに感謝を表し、関係者に敬意を表します。10月の会合に向け、REDD+パートナーシップ共同議長国の1つとして、各国政府及び他のパートナーと緊密に連携・協力しながら準備を進める所存です。是非ご協力をお願いします。