データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 中国の武装力の多様な運用

[場所] 北京
[年月日] 2013年4月
[出典] 中華人民共和国国務院報道弁公室,人民網日本語版
[備考] 
[全文]

目次

前書き

一、新たな形勢、新たな挑戦、新たな使命

二、武装力の建設と発展

三、国の主権、安全、領土保全を守る

四、国の経済社会の発展を保障する

五、世界の平和と地域の安定を守る

結びの言葉

付録

付録1 2011-2012年に中国の軍隊と外国の軍隊が行った合同演習・訓練の状況

付録2 2011-2012年の中国の軍隊による国際災害救援活動への参加状況

付録3 中国の軍隊の国連平和維持活動への参加状況(2012年12月31日現在)



前書き

 今の時代、平和と発展は新たなチャンスと挑戦に直面している。チャンスをしっかり捉え、ともに挑戦に立ち向かい、協力して安全を守り、手を携えて発展を実現することは、時代が各国人民に与えた歴史的使命である。

 平和的発展の道を歩むことは、中国の確固たる国家意志であり、戦略的選択である。中国は終始変わることなく独立自主の平和外交政策と防御的国防政策を励行し、さまざまな形の覇権主義と強権政治に反対し、他国の内政に干渉せず、永遠に覇権を争わず、永遠に覇をとなえず、永遠に軍事拡張を行わない。中国は、相互信頼・互恵・平等・協力の新たな安全保障観を提唱し、総合的な安全保障、共同の安全保障、協力による安全保障の実現を追求する。

 中国の国際的地位にふさわしく、国の安全と発展の利益に適う国防強化と強大な軍隊の建設は、中国の現代化建設の戦略的任務であるとともに、中国が平和的発展を実現するための強固な保障でもある。中国の武装力は国の発展戦略や安全保障戦略の新たな要請にこたえ、科学的発展観の指導思想としての地位を堅持し、戦闘力生成モデルの転換を加速し、中国の特色ある現代的軍事力の体系を構築し、時代の変化に即応して軍事戦略指導を強化し、武装力の運用方式を広げ、国の発展のために安全保障と戦略的サポートを提供し、世界平和と地域の安定を守るためにしかるべき貢献を行っていく。


一、新たな形勢、新たな挑戦、新たな使命

 21世紀に入り、世界には深刻かつ複雑な変化が生じているが、平和と発展が時代のテーマであることに変わりはない。経済のグローバル化、世界の多極化がすみずみまで広がり、文化の多様化、社会の情報化がさらに進み、国際的なパワーバランスは世界の平和維持に有利な方向に向かい、国際情勢は総体として平和、安定という基本的な態勢を保っている。と同時に、世界は依然として不安定でもあり、覇権主義、強権政治、新たな干渉主義などが台頭しており、局地的な情勢不安やホットスポットをめぐる衝突が絶えない。伝統的脅威、および非伝統的脅威が混在して相互に作用しあい、国際軍事分野での競争はさらに激化してきており、国際安全保障問題における突発性、相互関連性、総合性が顕在化してきた。アジア太平洋地域がますます世界の経済発展と大国の戦略ゲームの重要な舞台となり、米国がアジア太平洋地域の安全保障戦略を調整することにより、地域的枠組みが大きく変化している。

 中国は発展の貴重な戦略的チャンスの時期をしっかりとらえて活かし、現代化建設でめざましい成果をあげ、総合国力が大幅に躍進し、人民の生活は明らかに改善し、社会の大局は安定を保ち、両岸関係は引き続き平和的発展の勢いを呈し、国際競争力と影響力は絶えず向上している。とはいえ、中国は依然として多元的で複雑な安全上の脅威と挑戦に直面しており、生存のための安全保障と発展のための安全保障、伝統的脅威と非伝統的脅威が相互にからまりあう中で、国家の統一を守り、領土を保全し、発展の利益を守ることはきわめて困難で重い任務である。一部の国はアジア太平洋地域での軍事同盟を深化し、軍事プレゼンスを拡大し、しばしば地域の緊張状態をつくり出している。一部の隣国は中国の領土主権や海洋権益にかかわる問題で、それを複雑化、拡大化する動きに出ており、日本は釣魚島問題で紛争を引き起こしている。テロリズム、分裂主義、過激主義の「3つの勢力」の脅威が高まっている。「台湾独立」の分裂勢力およびその分裂活動は依然として両岸関係の平和的発展にとって最大の脅威となっている。また、重大な自然災害や事故、公共衛生事件の頻発など、社会の調和と安定を妨げる要素が増え、国の海外利益の安全リスクが高まっている。機械化戦争の形態から情報化戦争の形態へと速やかに移行しており、主要国は、宇宙空間やサイバー空間といった国際競争における戦略的キーポイントを抑えるため、軍事ハイテク技術の発展に力を注いでいる。

 複雑に変化する安全保障環境に立ち向かい、人民解放軍は断固として新世紀の新たな段階における歴史的使命を果たしていく。国家の安全保障戦略と軍事戦略の視野を広げ、情報化の条件下における局地戦争に勝利することを立脚点とし、積極的に平和時の武装力の運用をはかり、さまざまな安全保障上の脅威に効果的に対応し、多様化した軍事任務を完成させる。

 中国の武装力の多様な運用には、以下の基本政策と原則を堅持する。

 ‐国家の主権と安全を守り、領土を保全し、国の平和的発展を保障する。これは中国が国防建設を強化する目的であり、また憲法と法律が中国の武装力に与えた神聖な職責でもある。積極防御の軍事戦略を揺るぎなく実行し、侵略への備えと反撃の態勢を固め、分裂主義勢力を抑え込み、国境防衛、領海防衛、領空防衛を固め、国家の海洋権益と宇宙空間、サイバー空間の安全と利益を守る。「人われを侵さずんば、われ人を侵さず、人もしわれを侵さば、われ必ず人を侵す」との原則を貫き、国家主権の護持と領土保全のために、断固としてあらゆる必要な措置をとる。

 ‐情報化の条件下における局地戦争に勝利することを立脚点とし、軍事闘争の備えを拡張し深化させる。軍事闘争に備える基準をあくまで情報化の条件下における局地戦争に勝利することに置き、全体計画の中で各戦略方向の軍事闘争の準備を推し進め、軍種・兵種の統合的な運用を強化し、情報システムに基づく体系的作戦能力を向上させる。人民戦争の戦略戦術を創意発展させ、軍民融合方式の発展を推進し、国防動員と予備役兵力構築の質を高める。日常戦備のレベルを全面的に高め、特定目標に対する軍事演習を強化し、国境や領海、領空防衛戦備のパトロール勤務を綿密に組織化し、各種の危機や重大な突発事件に対応できるようにしておく。

 ‐総合的安全保障観を確立し、非戦争軍事行動の任務を効果的に遂行する。安全上の脅威の新たな変化に応じて、平和時の武装力の運用を重視する。国の経済社会建設に積極的に参加、支援し、災害救援などの緊急・困難・危険・重要任務を断固完遂する。法律の定めに基づいて国の安全と安定を守る役割を果たし、敵対勢力の転覆破壊活動や各種のテロ活動に対して断固打撃を加え、保安警戒任務を遂行する。緊急救援、海上航行の護衛、海外公民引き揚げなどの海外での行動能力育成を強化し、国の海外利益の保護に信頼できる安全保障を提供する。

 ‐安全保障協力を深化させ、国際的義務を履行する。中国の武装力は国際安全保障協力の提唱者、推進者、参与者である。平和共存五原則を堅持し、全方位の対外軍事交流を展開し、非同盟、非対抗、第三者に矛先を向けることのない軍事協力関係を発展させ、公平で有効な集団安全メカニズムと軍事相互信頼メカニズムの構築を推し進める。オープンで実務的かつ協力的な理念を堅持し、各国軍隊との交流・協力を深め、国境地域での信頼確立措置における協力を強化し、海上安全についての対話と協力を推進し、国連の平和維持活動や国際反テロ協力、国際船舶護衛、災害救援活動に参加し、他国との合同訓練を実施する。国際的な責任と義務を真剣に履行し、世界の平和、安全、安定を守るために積極的な役割を果たす。

 ‐厳格に法に基づいて行動し、政策と規律を厳守する。中国の武装力は憲法と法律を遵守し、『国連憲章』の主旨と原則を遵守し、あくまで法に基づいて兵を用い、法に基づいて行動する。法律法規と政策規定を厳格に執行し、大衆の規律を厳守し、法に基づいて災害救援や突発事件対処、保安警戒などの任務を完遂する。『国連憲章』や公認された国際関係の準則に則り、あくまで二国間・多国間条約の法的枠組み内で行動し、海外軍事行動の合法性を確実に保障する。法律法規や政策制度を制定、整備し、厳格に法令規則に則って部隊を管理し、武装力の多様な運用のために法的な保障を与える。


二、武装力の建設と発展

 中国の武装力は人民解放軍、人民武装警察部隊、民兵によって構成され、国の安全と発展戦略全体の中で重要な地位と役割を占めており、国家の主権、安全、発展の利益を守るという光栄な使命、神聖な職責を担っている。

 近年来、人民解放軍はその使命遂行と情報化建設発展の要請に照らして、積極的かつ着実に部隊の改革を進めてきた。中央軍事委員会の戦略管理機能を強化し、人民解放軍戦略計画部を新設し、総参謀部通信部を情報化部に改編し、総参謀部軍訓部と兵種部を軍訓部に改編した。また、新しいタイプの作戦力構築を推し進め、各軍種・兵種の規模・構造を調整かつ最適化し、部隊の編成モデルを改革し、作戦力の編成を高精度、統合、多機能、高効率の方向に発展させるようにし、新しいタイプの軍事人材の育成システムを整備し、軍の人的資源と後勤政策制度の調整と改革を深化し、ハイテク武器装備の建設を強化し、中国の特色ある現代的な軍事力体系を構築するよう努力している。

 陸軍は主として陸地での作戦任務を担い、機動作戦部隊、国境警備・海上防衛部隊、警衛警備部隊などを含む。機動作戦、立体攻防の戦略的要請に基づき、陸軍は地域防衛型から全域機動型への転換を積極的に推し進め、陸軍航空兵、軽機械化部隊、特殊作戦部隊の発展を加速し、デジタル化部隊の構築に力を入れ、徐々に部隊編成の小型化、モジュール化、多機能化を実現し、空・地一体、遠隔機動、迅速突撃、特殊作戦の能力を向上させている。陸軍機動作戦部隊は18の集団軍と一部の独立合成作戦師団(旅団)を含み、現在85万人を擁する。集団軍は師団、旅団で編成され、それぞれ7軍区の管轄下にある。瀋陽軍区には第16、39、40集団軍、北京軍区には第27、38、65集団軍、蘭州軍区には第21、47集団軍、済南軍区には第20、26、54集団軍、南京軍区には第1、12、31集団軍、広州軍区には第41、42集団軍、成都軍区には第13、14集団軍が管下に置かれている。

 海軍は海上作戦行動の主力で、国の海上方面の安全と、領海主権、海洋権益維持を防衛する任務を担い、主として潜水艦部隊、水上艦艇部隊、航空兵、陸戦隊、海岸防衛部隊などの兵種で構成されている。近海防御の戦略的要請に照らして、海軍は近海総合作戦力の現代化レベルの向上に力を入れ、先進的な潜水艦、駆逐艦、護衛艦などの装備を発展させ、総合電子情報システムの装備体系を整備し、遠洋での機動作戦能力と、遠洋で非伝統的脅威に協力して対応する能力を向上させ、戦略的抑止と反撃の能力を強めている。海軍は現在23万5000人を擁し、北海、東海、南海の3艦隊を管轄し、各艦隊の管下に艦隊航空兵、保障基地、艦艇支隊、水上警備区、航空兵師団、陸戦旅団などの部隊が置かれている。2012年9月、中国初の航空母艦「遼寧号」が引き渡しを終えて就役した。中国が空母を発展させることは、強大な海軍の建設および海洋安全保障の上で深遠な意義を有する。

 空軍は空中作戦行動の主力であり、国の領空の安全を守り、全国の防空の安定を維持する任務を担っており、主として航空兵、地上防空兵、レーダー兵、空挺兵、電子対抗部隊などの兵種から構成されている。攻防兼備の戦略的要請に照らし、空軍は偵察早期警戒、空中攻撃、防空ミサイル防衛、戦略的投下輸送を重点とする作戦力体系の構築に力を入れ、新世代作戦機、新型地対空ミサイル、新型レーダーなどの先進的兵器装備を発展させ、早期警戒、指揮、通信のネットワークを整備し、戦略的早期警戒、抑止、遠隔空中攻撃能力を向上させている。空軍は現在39万8000人を擁し、瀋陽、北京、蘭州、済南、南京、広州、成都の7軍区と1空挺軍団を管下に置いている。各軍区の管下には空軍基地、航空兵師団(旅団)、地対空ミサイル師団(旅団)、レーダー旅団などが置かれている。

 第二砲兵は中国の戦略的抑止力の中核であり、主として他国の中国に対する核兵器使用を抑止し、核反撃と通常ミサイルによるピンポイント攻撃を遂行する任務を担っており、核ミサイル部隊、通常ミサイル部隊、作戦保障部隊などで構成されている。精確かつ有効の原則に基づき、第二砲兵は情報化へのモデル転換を加速し、テクノロジーの進歩に依拠して兵器装備の自主的なイノベーションを進め、成熟技術を利用して重点的、選択的に現有装備を改善し、ミサイル兵器の安全性、信頼性、有効性を高め、核兵器・通常兵器を兼ね備えた戦力体系を整え、迅速な反応、効果的な防御突破、ピンポイント攻撃、総合的な破壊と生存防衛の能力を強化し、戦略的抑止と核反撃の能力、通常兵器によるピンポイント攻撃能力は着実に向上している。第二砲兵の管下にはミサイル基地、訓練基地、専門保障部隊、大学・研究所などがあり、目下、「東風」シリーズの弾道ミサイルと「長剣」巡航ミサイルが装備されている。

 武装警察部隊は、平時には主として通常職務執行、突発事件処理、テロ対策、国の経済建設への参加や支援などの任務を担っており、戦時には人民解放軍に協力して防衛作戦を行う。武装警察部隊は国の情報インフラに依拠して、武装警察総部から末端の中隊にいたる3段階の総合情報ネットワークシステムを確立整備し、部隊の任務遂行に急ぎ必要な武器装備を発展させ、目標性の高い訓練を展開し、職務執行や突発事件処理、テロ対策の能力を向上させている。武装警察部隊は内衛部隊と警種部隊から成り、内衛部隊は省(自治区・直轄市)総隊と機動師団を含み、警種部隊は金鉱、森林、水道・電気、交通の各部隊を含み、公安・国境警備や消防、警衛部隊は武装警察の系列に組み込まれている。

 民兵は職場に在籍したままの大衆武装組織であり、人民解放軍の助っ人かつ予備戦力である。民兵は社会主義現代化建設に参加し、戦備勤務につき、防衛作戦に参加し、治安維持や緊急救援への協力などの任務を担っている。民兵の建設においては規模・構造の調整を重視し、武器装備の改善や軍事訓練の改革を進め、情報化の条件下における局地戦争に勝利することを支援保障する能力を中心とする多様な軍事任務の遂行能力を向上させている。民兵組織は基幹民兵組織と普通民兵組織に分かれる。基幹民兵組織は応急部隊、連合防空・情報偵察・通信保障・土木工事・交通運輸・装備補修などの支援部隊、および作戦保障・後方保障・装備保障などの備蓄部隊で編成されている。


三、国の主権、安全、領土保全を守る

 中国の武装力の根本的任務は、国防を強固にし、侵略に反撃し、祖国を防衛することである。中国の武装力の多様な運用は、あくまで国の中核的安全のニーズを導きとし、平和維持や危機抑制、戦争で勝利することに着目し、国境警備、海上防衛、防空面の安全を守り、戦争への備えと実戦形式の演習・訓練に力を入れ、国の主権、安全、領土保全に危害を加えるすべての挑発行為に随時対応し、断固として食い止め、国の核心的利益を断固として守る。

 ■国境警備と海上防衛の安全を守る

 中国の陸地の国境線は2万2000余キロ、大陸の海岸線は1万8000余キロで、世界で隣国の数が最も多く、陸地の国境線が最も長い国の一つである。中国の500平方メートル以上の島しょは6500余りあり、島しょの海岸線の総延長は1万4000余キロである。中国の武装力は陸地の国境線と管轄下の海域に対して防衛や管轄を実施しており、国境警備と海上防衛の安全を守る任務は複雑で重いものである。

 陸軍の国境警備・海上防衛部隊は国境、沿海地域および海上の島しょに駐屯し、国境や沿岸、島しょを守り、外敵の侵入、蚕食、挑発を食い止め、防御し、テロ組織による破壊活動、国境を越えた犯罪の取り締まりで協力するなどの防衛・管理任務を担っている。国境警備・海上防衛部隊はパトロール、戦備勤務を中心とし、国境・沿海地域の重要な方向と情報焦点地域、水路、海域の防衛・警戒に力を入れ、さまざまな侵入、蚕食、越境潜入・破壊活動を厳しく防ぎ、国境警備・海上防衛に関する政策や法規に違反する行為と国境線の現状を変えようとする行為をただちに阻止し、軍隊と地方との合同管理・コントロール、突発事件の緊急処理などを適時に行い、国境や沿海地域の安全・安定を効果的に確保している。中国はすでに7つの国と国境警備協力の取り決めを締結し、12カ国と国境警備に関する会談・会合の仕組みを確立した。人民解放軍国境警備部隊は、ロシアやカザフスタン、モンゴル、ベトナムなどの国の国境警備部門と合同パトロールの実施、合同訓練の管理・コントロールなどの友好的な協力活動を行っている。毎年、カザフスタン、キルギス、ロシア、タジキスタンなどの国と相互に視察活動を行い、国境地域での信頼醸成措置の実施状況を監督し、調査している。

 海軍は海域に対するコントロールと管理を強化し、パトロールを体系化する仕組みを確立、整備し、周辺海域の状況を効果的に把握し、海域をかき乱す活動や潜入・破壊活動を厳しく防ぎ、海や空での突発事件をただちに処理している。海上の安全協力を推し進め、海洋の平和と安定、海上の航行の自由と安全を守っている。中米海上軍事安全協議メカニズムの枠組みの下で、海上の情報交流を定期的に行い、海上でのアクシデントの発生を防いでいる。中国とベトナムが締結した北部湾(トンキン湾)海域合同パトロール協議に基づき、両国の海軍は2006年から年2回の合同パトロールを行っている。

 公安国境警備部隊は、国が国境・沿海地域と開放された国境通関所に配置した武装法執行力であり、国の主権を守り、国境・沿海地域と海上の安全や安定、国境通関所の出入国の秩序を維持するなどの重要な職責を担い、国境地帯の安定維持、犯罪の取り締まり、緊急救援、国境警備・保安など多様な任務を遂行している。公安国境警備部隊は国境最前線で国境警備管理区を画定し、沿海地域で海上防衛執務区を画定し、香港、澳門(マカオ)に隣接する陸地の境界地帯と沿岸地域の海岸線の縦深20-50メートルは国境警備警戒区に画定し、国の開放された国境通関所に国境警備検査所を設置し、沿海地域に海上警察部隊を配置している。ここ数年来、国境地域と国境通関所に対して常態化した厳しい検査、管理、統制を実施し、テロリズム、分裂主義、過激主義の「3つの勢力」や敵対分子の分裂破壊活動や暴力テロ活動を警戒し、取り締まっている。海の境界を越える漁業活動にメスを入れ、海上の治安を保つためのパトロールや法執行を強化し、海上の違法犯罪活動を厳しく取り締まっている。2011年以来、4万7445件にのぼるさまざまな案件を摘発し、麻薬1万2357キロ、不法銃器12万5115丁を押収し、密航者延べ5607人を逮捕した。

 民兵は戦争に備えるための職務執行、国境警備・海上防衛地域の軍隊・警察・民間による合同防衛、歩哨所での勤務、国境の防衛・警備などに積極的に参加し、年間を通じて国境線や海上境界線でパトロール勤務をしている。

 ■防空面の安全を守る

 空軍は国の防空安全を守る主力であり、陸軍、海軍、武装警察部隊は中央軍事委員会の指示に従い、防空任務の一部を担っている。平時、国の防空は空軍-軍区空軍-防空部隊の指揮体制を実行し、空軍は中央軍事委員会の意思に基づいて防空任務を担当するさまざまな防空力に対して統一的指揮を行っている。中国の防空体系は偵察・監視、指揮・コントロール、空中防御、地上防空、総合保障、人民防空という6つの系統からなる。中国はすでに偵察・早期警戒、撃退、反撃、防護を一体化した防空力の体系を構築し、さまざまな対空探測レーダー、早期警戒機を主体とし、技術偵察、電子対抗偵察を補いとする空中情報取得手段をそなえ、戦闘機、戦闘爆撃機、地対空ミサイル、高射砲部隊を主体とし、陸軍防空兵、民兵予備役の防空力、人民の防空力を補いとする撃退手段をそなえ、さまざまな防護プロジェクトと防護力を主体とし、専門技術の防護力を補いとする総合的防護手段をそなえている。

 空軍の日常の基本的防空活動は、主に偵察・早期警戒力を組織して、国の領空および周辺地域の空中動態を監視し、空のさまざまな安全上の脅威を随時把握すること、各レベルの指揮機関を組織して、首都を中心とし、国境・沿海最前線に重点を置く常態化した戦備当直を維持し、各種の防空力の行動を随時指揮すること、日常の防空作戦の当直兵力を組織して、海上空域のパトロール、国境地帯での対偵察と領空内の異常・不明事態を調査し処理すること、航空管制系統を組織して、飛行活動をモニタリングし、空の秩序を保ち、飛行の安全を確保することである。

 ■常に怠りなく戦闘準備状態を維持する

 戦闘準備は、軍隊が作戦や戦争以外の軍事作戦の任務を遂行するために行う準備活動、警戒活動であり、軍隊の全局的、総合的、経常的な業務である。戦闘準備の水準を向上し、常に戦闘準備を怠らない状態を維持することは、さまざまな安全脅威に効果的に対応し、多様な軍事任務を完遂するための重要な保障である。人民解放軍は正規の戦闘準備の秩序を確立し、戦争に備えるインフラの整備に力を入れ、的を絞った戦闘準備訓練をりっぱに行い、戦闘準備当直と国境警備・海上防衛・防空面のパトロール勤務を綿密に計画、実施し、作戦と戦争以外の軍事作戦の任務遂行に常に備えている。部隊は任務遂行の必要に応じて戦闘準備に入り、戦闘準備のレベルは警戒の程度によって低いほうから3級戦闘準備、2級戦闘準備、1級戦闘準備となっている。

 陸軍部隊の日常の戦闘準備は、国境地帯の正常な秩序を保ち、国の建設成果を固めることに重点を置き、作戦指揮機関と指揮情報システムに依拠し、戦闘準備当直にかかわる各要素の統合に取り組み、作戦区域の合同当直のモデルを模索し、連隊以上の作戦部隊の戦闘準備当直システムの総合的整備を推し進め、常態化した体制や仕組みによって戦闘準備の着実な実施を保障し、さまざまな戦略的方向を結び、多種類の兵種が連合し、作戦保障が一体化した戦闘準備体系の配置ができあがり、即刻出動し効果的に対応できる良好な状態を終始保っている。海軍部隊の日常戦闘準備は、国の領土主権と海洋権益を守ることに重点を置き、効率的な用兵、体系的パトロール、全域に及ぶモニタリングという原則を踏まえて、常態化した戦備パトロールを組織、実施し、関連海域での軍事的プレゼンスを保つ。各艦隊は年間を通じて必要な数の艦艇を出し管轄区域内をパトロールさせ、航空兵の偵察・パトロールを強化し、さらに必要に応じて機動兵力に関連海域をパトロール、警戒させる。

 空軍部隊の日常の戦闘準備は、国土の防空に重点を置き、平時と戦時の一体化、全域反応、国土全域到達という原則を貫き、鋭敏かつ高効率な戦闘準備状態を保つ。常態化した空中警戒パトロールを組織し、空の異常・不明事態を速やかに調査し、確かめる。空軍指揮警戒当直システムは、空軍指揮所を中心とし、部隊指揮所を基礎とし、航空兵、地上防空兵などの作戦当直兵力によって支えられている。

 第二砲兵は平時に適度な警戒状態を保ち、平時と戦時の結合、常に準備を怠らず、随時作戦可能という原則を踏まえて、戦争に備えた関連施設の建設に力を入れ、要素が統合され、機能がそろい、鋭敏かつ高効率な作戦当直体系を構築し、緊急時の部隊の迅速な対応を確保し、戦争の脅威と突発事件に効果的に対応する。国が核の脅威を受けた際は、核ミサイル部隊は中央軍事委員会の命令によって、警戒レベルを高め、核による反撃の準備を整え、敵を威嚇し中国に対する核兵器の使用を抑止する。国が核攻撃を受けたときは、ミサイル核兵器を使用し、単独あるいは他の軍種の核戦力と共同して、敵に対し断固たる反撃を加える。通常ミサイル部隊は平時と戦時の転換を速やかに完成し、通常の中長距離ピンポイント攻撃の任務を遂行することができる。

 ■実戦的な演習・訓練を行う

 人民解放軍は、実戦的な演習・訓練を、軍事訓練の変換を推し進め、部隊の実戦力を向上させるための重要な手がかりとしており、情報主導、システム対抗、ピンポイント作戦、インテグレーション、共同で勝ちを制するといった情報化条件下での作戦理念を訓練の実践に融け込ませることを重視し、実戦の要求や戦時の編成、作戦プロセスに基づいて演習を行い、とくに指揮対抗訓練、実兵の自主的対抗訓練、複雑な戦場環境下での訓練を際立たせ、情報システムに基づく部隊の体系的作戦能力を全面的に向上させている。

 地区にまたがる訓練を行う。部隊の迅速な反応力と見知らぬ環境や複雑な条件下での合同作戦能力の向上を目指して、合同戦術訓練基地を拠点とし、任務が近く、タイプが同じで、将来の作戦環境が似た師団・旅団を組織して、実兵の検証訓練の形で地区にまたがる一連の機動演習・訓練を行っている。2009年、瀋陽、蘭州、済南、広州軍区の各1個師団を組織して遠隔機動訓練と対抗的訓練を行った。2010年からは、「使命行動」というシリーズの、戦役レベルで地区にまたがる演習・訓練を行った。そのうち、2010年には、北京、蘭州、成都軍区の各1集団軍の高級指揮機関が1個師団(旅団)および空軍の一部兵力を率いて訓練に参加し、2011年には成都、済南軍区が関連部隊を率いて高原地区で訓練を行い、2012年には成都、済南、蘭州軍区と空軍の関連部隊が西南地区で訓練を行った。

 対抗訓練を際立たせる。各軍種・兵種は対抗的な検証的演習・訓練に力を入れ、実兵の対抗、ネット上の対抗、コンピュータ・シミュレーションを用いた対抗などの演習を行い、訓練の目的性と実効性を高めている。空軍は、訓練基地をベースに複雑な戦場環境をつくり、軍区空軍どうしの間、軍区空軍と合成「青組」部隊の間で、情報化条件下での「赤組青組」対抗演習を行っている。第二砲兵は複雑な戦場環境における偵察と対偵察、妨害と妨害対抗、ピンポイント攻撃と防護・反撃という対抗的訓練を行い、核・生物・化学兵器による威嚇を受けた場合の安全防護と操作技能の訓練に力を入れ、毎年多種類のミサイル部隊が実弾発射任務を遂行するよう計画している。

 遠海訓練を進める。海軍は遠海作戦の際の編成訓練モデルを模索し、新しいタイプの駆逐艦・護衛艦、遠洋総合補給艦、艦載ヘリコプターからなる遠海作戦編隊を動員して編成訓練を行い、複雑な戦場環境下におけるミッションの課題研究・訓練に取り組み、長距離早期警戒および総合コントロール、遠海における侵入阻止、長距離急襲、外洋における対潜哨戒、遠洋での航行護衛などを重点内容とする訓練が際立っている。遠海訓練を通じて沿海の関連部隊を動かし、防空、対潜、対機雷、反テロ、海賊対処、沿岸防衛、島嶼・岩礁への急襲撃破などの実兵による対抗訓練を行っている。2007年以来、西太平洋において20回近く、延べ90隻以上にのぼる遠海訓練を行った。訓練中、効果的な措置を講じて一部の国の軍艦・軍用機の接近偵察と不法な妨害活動に対応した。2012年4-9月、「鄭和」号訓練艦は世界一周の航行訓練を行い、前後して14カ国・地域を訪問し、寄港した。


四、国の経済社会の発展を保障する

 人民の平和的な労働を守り、国の建設事業に参加し、誠心誠意人民に奉仕することは、中国の武装力が憲法と法律により与えられた重要な任務である。中国の武装力は国の改革・発展の大局に奉仕し、国の建設と災害救援に積極的に参加し、法律に基づき社会の調和や安定を守り、国の発展上の利益の確保に努めている。

 ■国の建設に参加する

 軍隊と武装警察部隊は、教育・訓練、戦備勤務、科学研究実験などの任務を完遂するという前提の下で、国と地方の経済社会発展の計画や配置をめぐって、地方のニーズと大衆の要望と部隊の能力を結びつけ、人材や装備、技術、インフラなどの面における資源と優位を生かして、地方のインフラ建設の重点プロジェクト、生態環境の整備、社会主義新農村の建設を積極的に支援し、貧困扶助・困難救済、就学支援・教育振興、医療支援などの活動をきちんと行い、地方の経済発展や社会の調和、民生の改善を促すうえで重要な貢献をなしている。 インフラ建設の重点プロジェクトを支援する。水利・電力、交通、工事、測量・製図など専門部隊の利点を生かし、国と各地の交通、水利、エネルギー、通信など国の経済と人民の生活に関わるインフラ建設を支援する。2011年以来、延べ1500余万の労働日を費やし、120万台以上の機械車両を出動させ、空港や道路、鉄道、水利センターなど省レベル以上の重点プロジェクト350件余りの建設を支援した。武装警察水利・電力部隊は前後して雲南省糯扎渡水力発電所、四川省錦屏水力発電所、チベット自治区旁多水利センターなどの水利・水力発電、鉄道、天然ガスパイプラインプロジェクト115件の建設に参加した。武装警察交通部隊は新疆ウイグル自治区の天山道路、甘粛省洛塘河の特大二層橋、チベット自治区墨脱道路ガ隆拉トンネルなど172件のプロジェクトを請け負い、工事総延長は3250キロにおよぶ。

 生態整備と環境保全に参加する。編制組織された部隊と民兵・予備役人員は荒れ山の緑化、砂漠化防止、湿地の生態保護などの活動に参加し、北京・天津砂嵐発生源対策、タクラマカン砂漠を取り巻く地域の緑化、長江・黄河上中流域の生態保護、チベットの「一江両河」(ヤルツァンポ河、ラサ川、ニエンチュ川)整備など国の重点生態エリアと生態プロジェクトの建設を支援している。この2年間に、1400余万本を植樹し、大規模な植林、空からの播種による造林、荒れ山、荒れた河原周辺の緑化が300万ムー(1ムーは0.067ヘクタール)以上に達した。測量・製図、気象、給水などの技術部隊は地方に大地の調査・測量、気象・水文予報、水資源探査などのサービスを提供している。

 貧困扶助・困難救済と新農村建設の支援に力を入れる。各部隊は前後63の貧困県、547の貧困郷・鎮を支援対象とし、貧困扶助連絡スポット2万6000カ所を設置し、農地の水利事業、村の道路整備、小流域治水など2万件以上の小規模工事を支援し、特色のある優位産業1000件以上を扶助し、発展させ、40万人以上の貧困な民衆が貧困から脱却し豊かになるよう支援した。北京軍区給水工事連隊は相次いで雲南、広西、山東、河北、内蒙古、貴州などの地で地方を支援して水源を調査し、358基の井戸を掘り、96万人の生活用水と8万5000ムーにおよぶ農地の灌漑用水をまかなった。蘭州軍区給水工事連隊は、「100基の井戸を掘って農民を支援し豊かにする」プロジェクトを実施し、寧夏中南部の干ばつ地帯で水源を調査し192基の井戸を掘り、39万人と57万頭の家畜の飲料水、3万7000ムーにおよぶ農地の灌漑用水の不足を緩和した。

 科学技術・教育・文化・医療衛生事業を支援する。2011-2012年、軍事大学や科学研究機関、専門技術部隊は、国の重大な特定プロジェクト、科学技術サポート計画など200余件の課題研究を担当し、220件の科学技術難関突破プロジェクトに参加し、180件の科学技術の成果を譲渡した。軍隊と武装警察部隊の108カ所の病院は、一対一の形で西部の貧困地域の県レベル病院130カ所を支援し、軍団以下の医療衛生機関は一対一の形で郷・鎮の衛生院(衛生所)1283カ所を支援した。2009-2012年、新疆ウイグル自治区、チベット自治区など西部の少数民族地域で力を集中して「八一愛民学校」57カ所の建設を支援し、3万人以上の児童を入学させた。

 ■災害救援に参加する

 中国は世界で自然災害が最も深刻な国の一つであり、災害の種類が多く、分布地域が広く、発生頻度が高く、国の経済建設と人民大衆の生命・財産・安全に重大な危害を及ぼしている。中国の武装力は終始一貫して災害救援の突撃力であり、最も緊急かつ困難で、危険な救援任務を担っている。2005年に公布された「軍隊の災害救援についての条例」に基づき、軍隊と武装警察部隊は主として被災者の救助、避難、あるいは疎開、重要な目標の安全確保、重要な物資の緊急保全と輸送の任務を担い、道路(橋梁、トンネル)の突貫補修、海上における捜索・救助、核・生物・化学災害救援、疫病蔓延の抑制、医療救護などの専門的災害救援に参加し、その他のひどい災害や危険な状況を排除するかまたはコントロールし、地方の人民政府に協力して災害復旧・復興などに取り組む。

 軍隊と武装警察部隊は各級人民政府とともに、自然災害に対応するための軍と地方の協調連携の仕組みを確立、整備し、戦略レベルの緊急対応移動指揮プラットフォームを構築し、重点地域で災害救援に必要な物資や器材を事前に備蓄、配備し、連隊以上の部隊の災害救援緊急対応策を制定、改訂し、軍隊と地方による災害救援合同訓練・演習を行い、災害救援能力を全面的に向上させている。現在、洪水災害救援部隊、震災緊急救援隊、核・生物・化学環境下の応急救援隊、空中緊急輸送隊、交通・電力応急救援隊、海上応急捜索救助隊、応急機動通信保障隊、医療防疫救援隊、気象保障緊急専門隊など9種類、5万人にのぼる国レベルの緊急対応専門チームを編成した。各軍区は関係省(自治区・直轄市)と共同で、現役と予備役部隊を頼りに、4万5000人の省レベル緊急対応隊を編成した。

 中国の武装力はこれまでの重要な災害救援活動において、常に新鋭部隊、突撃部隊の役割を果たした。2008年、126万人の将兵と民兵予備役が南方地区における厳しい低温・雨雪・結氷災害と闘い、22万1000人が四川省ブン川大地震の救援に参加した。2010年、2万1000人が青海玉樹で発生した強烈な地震の救援に赴き、1万2000人が甘粛舟曲の大規模な土石流災害の救援に参加した。2011年以来、軍隊と武装警察部隊は延べ兵力37万人、各種車両(機械)19万7000台、航空機とヘリコプター225機を出動させた。また、民兵予備役87万人を動員し、洪水・冠水、地震、干ばつ、流氷、台風、火災などの災害救援に参加し、245万人の被災者を救助、避難させ、16万トンの物資を緊急輸送した。毎年、陸軍航空兵のヘリコプターは延べ数百機が出動して、森林や草原の防火、消火の任務を担い、さらにそれを常態化している。

 ■社会の安定を守る

 中国の武装力は、法律や法規に基づき社会秩序の維持、テロ活動の防止・取り締まりに参加している。武装警察部隊は、国が公共の突発事件を処理し、社会の安定を維持するための中核であり突撃力である。2009年8月に公布・施行された「中華人民共和国人民武装警察法」は、武装警察部隊が保安任務を遂行する際の範囲や措置、保障方法を明らかにしている。武装警察部隊は、機動兵力を主体とし、勤務部隊からの抽出編成兵力を補いとし、警種部隊(金鉱・森林・水道電気の供給・交通などを守る武装警察部隊)と軍事大学の兵力の支援に頼るという突発事件処理・治安維持のための仕組みを構築し、国レベルの反テロ隊、省レベルの特殊勤務中隊、市レベルの特殊勤務小隊、県レベルの緊急対応分隊を主体とする4段階の反テロシステムを整えている。重要行事の保安勤務をしっかり行い、現場警備、入場者の安全検査、重要目標の守備、要路における検問所の設置、都市部における武装パトロールなどの任務を厳格に遂行している。2011-2012年、さまざまな突発事件に効果的に対応、処理し、公安機関に協力していくつかの暴力テロ事件の処理に成功し、人質誘拐など重大暴力犯罪事件68件の処理に参加し、人質62人を救出した。前後して第26回夏季ユニバーシアード大会、中国・アジア欧州博覧会、上海協力機構北京サミットなどの重要行事の保安任務を完遂し、兵力延べ160余万人を投入した。

 人民解放軍は、関連部隊を派遣して公安、武装警察部隊の重要行事に対する保安任務遂行に協力している。陸軍は主にテロ活動の防止、核、化学兵器、生物兵器、爆発物の検査、医療救援などの任務を担い、海軍は主に水域の安全面における潜在的危険の排除、海上テロ活動の防止などの任務を担い、空軍は主に重要行事の開催地およびその周辺地域の上空の安全確保などの任務を担っている。ここ数年来、人民解放軍は前後して北京オリンピック、建国60周年祝賀式典、上海万博、広州アジア競技大会などの重要行事の保安行動に参加し、兵力延べ14万5000人、航空機やヘリコプター365機、艦船148隻、レーダー554基を出動させた。

 民兵は社会の安定を守るうえでの重要な力であり、法律の規定に基づき社会秩序の維持に協力し、地方の党委員会や政府の統一的配置と軍事機関の指揮の下で、共同治安維持、社会管理総合対策の実施、重要行事の保安などの行動に参加している。毎年9万人以上の民兵が橋梁やトンネル、鉄道線路などの警備にあたっている。

 香港駐屯部隊、澳門(マカオ)駐屯部隊は、中央人民政府が香港特別行政区、澳門特別行政区に派遣駐屯させている部隊であり、法律に基づき安全保障の職責を履行している。香港特別行政区駐軍法、澳門特別行政区駐軍法の定めによれば、特区政府は必要時に中央人民政府に社会治安維持や災害救助における駐屯軍の協力を要請することができる。香港駐屯部隊、澳門駐屯部隊は適時に海と空からの合同パトロールと年度演習・訓練を行い、特区政府が実施した、海上での航空機事故発生時の捜索救助の合同訓練に参加し、北京オリンピックの香港競技会場および香港返還祝賀式典と澳門返還祝賀式典における保安任務をりっぱになし遂げた。

 ■海洋権益を守る

 中国は陸も海もある大国であり、海洋は中国が持続可能な発展を実現するための空間面および資源面の重要な保障であり、人民の福祉と国の将来に係わっている。海洋の開発・利用・保護と海洋強国づくりは、国の重要な発展戦略である。国の海洋権益をあくまでも守ることは、人民解放軍の重要な職責である。

 海軍は日常の戦備に合わせて、国の海上における法執行、漁業生産、石油・ガス開発などの安全を保障し、それぞれ海洋監視、漁業監視などの法執行部門と連携した仕組みを構築し、軍隊・警察・民間による共同防衛の仕組みを構築、整備する。地方の関係部門に協力して海洋の測量・製図と科学調査を行い、海洋気象モニタリングシステム、衛星測位システム、無線測位システム、航路標識システムを構築し、気象と船舶航行などの関連情報を遅滞なく発表し、管轄海域内の航行安全保障システムを構築、整備する。

 海軍と海洋監視部門、漁業監視部門は、何度も権益維持・法執行の海上合同演習・訓練を実施し、軍と地方当局の海上合同権益維持闘争の指揮連携や緊急対応措置能力はたえず向上している。2012年10月、東中国海海域で海上合同権益維持演習「東中国海協力-2012」を実施し、計11隻の艦船、8機の航空機が演習に参加した。

 公安国境警備部隊は海上の法執行の重要な武装力として、中国の内水、領海、隣接地域、排他的経済水域(EEZ)、大陸棚で発生した公安行政管理に関する法律、法規、規則に違反する行為あるいは犯罪の疑いがある行為に対して管轄権を行使する。ここ数年来、公安国境警備部隊は、平安な海域づくりに力を入れ、北部湾の海上国境と西沙海域でのパトロールや監視、管理を強化し、海の治安の安定を効果的に維持している。

 ■海外利益を守る

 中国の経済が徐々に世界の経済システムにとけ込むにつれ、海外利益はいまや中国の国家利益の重要な構成部分となっている。海外におけるエネルギー資源、戦略的な海上通路および海外の公民と法人の安全にかかわる課題は日増しに顕在化している。海上の船舶護衛、海外公民の引き揚げ、緊急救援などの海外行動は、人民解放軍が国の利益を守り国際義務を履行するうえでの重要な方式となっている。

 国連安全保障理事会の関連決議に基づき、またソマリア暫定連邦政府の同意を得て、2008年12月26日、中国政府は海軍艦艇編隊をアデン湾、ソマリア沖へ派遣して船舶護衛を行った。主な任務は、当該海域を経由する中国の船舶や人びとの安全を確保すること、人道支援物資を輸送する国連世界食糧計画(WFP)などの国際機関の船舶の安全を確保すること、またできるだけ当該海域を経由する外国船舶の安全航行を援護すること、である。2012年12月現在までに、派遣は計13回、艦艇延べ34隻、ヘリコプター28機、特殊作戦隊員910人に及び、中国と外国の船舶532件4984隻の航行護衛任務を完遂した。そのうち、中国大陸は1510隻、香港地区は940隻、台湾地区は74隻、澳門地区は1隻であった。海賊に乗っ取られた中国の船舶2隻、海賊に追いかけられ攻撃された中国の船舶22隻を救出した。

 2011年2月、リビア情勢が急激に悪化し、リビアにおける中国資本の機関や企業、人員が重大な安全上の脅威に直面した。中国政府は新中国成立以来最大規模の海外公民引き揚げ行動を実施し、合計3万5860人を引き揚げさせた。人民解放軍は、艦艇や航空機を派遣してリビア在留人員の帰国に協力した。アデン湾、ソマリア沖で護衛任務を遂行する海軍の「徐州」号ミサイル護衛艦は、リビア付近の海域へ赴き、危険な状態にある中国人の引き揚げ用船舶を支援し、保護した。空軍は航空機4機を緊急出動させ、延べ40回の飛行で、危険な状態にあった人々1655人(うちネパール人240人)をリビアからスーダンへ移動させ、287人をスーダンから帰国させた。


五、世界の平和と地域の安定を守る

 中国の安全と発展は世界の平和と繁栄と密接に関係している。中国の武装力は終始世界平和と地域の安定を守る確固たる力であり、各国との軍事協力、軍事的な相互信頼の促進、地域と国際安全保障事務への参加に力を入れており、国際政治と安全保障の分野で積極的な役割を果たしている。

 ■国連平和維持活動(PKO)に参加

 中国は国際的な責任と義務を真剣に履行し、国連の平和維持活動を支持し、それに積極的に参加している。国連の決議、および中国政府が国連と合意した協議に基づいて、中国政府は平和維持部隊と平和維持軍事専門人員を派遣し、指定された国・地域に進駐し、国連の主導下で平和維持活動を実施し、主に停戦の監視、衝突の隔離、および工事、輸送、医療保障、そして社会復興と人道主義支援などの任務を担当している。

 1990年、中国人民解放軍は国連の中東平和維持任務区域(中東国際平和協力業務が行われるべき地域)に5人の軍事監視員を派遣し、国連平和維持活動に初めて参加した。1992年、国連カンボジア平和維持任務区域に400人からなる工兵大隊を派遣し、編制された部隊を初めて派遣した。現在まで、人民解放軍は計23件の国連平和維持活動に参加し、平和維持活動のために延べ2万2000人の軍事要員を派遣した。国連平和維持活動に参加したすべての将兵が国連平和勲章を授与され、3人の将校と6人の兵士が任務遂行中に殉職し、国連からダグ・ハマショルド・メダルを授与された。現在、中国は国連安全保障理事会の5つの常任理事国の中で、平和維持軍事要員の派遣数が最も多い国となっており、また、平和維持部隊を派遣した国連の115の国の中で、工兵分隊、輸送分隊、医療分隊などの保障分隊の派遣数が最も多い国であり、平和維持分担金を最も多く納めている発展途上国である。

 2012年12月現在、中国人民解放軍の1842人の将兵が国連の9カ所のPKO担当地域で任務を遂行している。そのうち、軍事監視員と参謀将校が計78人、国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)に赴いた工兵分隊、医療分隊が計218人、国連リベリア・ミッション(UNMIL)に赴いた工兵分隊、輸送分隊、医療分隊は計558人、国連レバノン暫定駐留軍(UNIFIL)に赴いた工兵分隊、医療分隊が計335人、国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)に赴いた工兵分隊、医療分隊が計338人、国連アフリカ連合ダルフール派遣団(UNAMID)に赴いた工兵分隊が315人である。

 中国の平和維持部隊は苦しみをおそれず、強い戦闘力と仕事への献身精神という優れた気風を発揚し、高レベルで各任務を完遂した。これまでの22年間に、延べ1万余キロの道路、284の橋を新たに建造または修復し、地雷と各種不発弾9000余発を除去し、物資100万トンを輸送し、総輸送距離は1100万キロ余りに達し、延べ12万人の患者を診療した。参謀将校と軍事監視員は司令部での仕事やパトロール、停戦監視、連絡、交渉などの各任務の中で高度の職業的責任感を示した。コンゴ民主共和国に赴いた工兵分隊は数昼夜連続の奮闘によって、1万6000平方メートルの火山岩分布地域をならした。リベリアに赴いた輸送分隊の保障範囲は同国の全域をカバーし、リベリアに駐屯した50近い国連平和維持部隊の輸送保障の中枢となった。中国の平和維持部隊はまた地元の民衆のために道路を修築し、橋を架け、車両を補修し、物資を輸送し、医療や医薬品を提供し、農業栽培技術を伝授している。レバノンに赴いた工兵分隊は「斜め十字交叉定位」による地雷除去法を自ら考案して、作業の安全係数と進度を高め、一日あたりの地雷除去面積は500平方メートル以上に達し、レバノンとイスラエルの衝突期間に不発弾3500余発を除去した。スーダンのダルフールに赴いた工兵分隊は、井戸の掘削が不可能と思われていた場所で13本の井戸を掘削した。南スーダンに赴いた工兵分隊は、初めての武装解除、復員、社会復帰移行研修センターの建設を高レベルで成し遂げ、現地の平和移行プロセスに対し積極的な貢献を行った。

 中国の平和維持将兵は国連平和維持要員の行動規範や交戦規則、駐在国の法律法規を厳守し、現地の宗教信仰や風俗習慣を尊重し、任務エリアにおける規定と中国平和維持部隊の規則・制度を厳格に守り、現地の民衆の信頼を勝ち得ている。

 ■国際災害救援と人道主義援助

 中国の武装力は政府の組織した国際災害救援と人道主義援助に積極的に参加し、関係被災国に対して救援物資や医療救助を提供し、専門救援隊を被災国に派遣して救援活動を行い、関係国の地雷撤去を援助し、救援・減災における国際交流を展開している。

 2002年以来、人民解放軍はすでに国際緊急人道主義援助の任務を36回遂行し、27の被災国に総額12億5000万元以上の救援物資を運んだ。2001年以来、北京軍区工兵連隊の将兵、武装警察総病院の医療・看護人員、そして中国地震局の専門家で構成された中国国際救援隊は、すでに8回の国際災害救援行動に参加した。2010年以来、人民解放軍医療救援隊は前後3回ハイチ、パキスタンに赴いて国際人道主義医療救援の任務を遂行し、陸軍航空兵ヘリコプター救援隊はパキスタンに赴き協力して洪水・冠水災害とたたかった。

 2011年3月、日本で巨大地震とそれに伴う津波が発生すると、中国国際救援隊は直ちに日本へ赴き、捜索・救助の任務に参加した。2011年7月、タイで深刻な洪水・冠水災害が発生すると、人民解放軍空軍は航空機4機を出動させ、中国国防部からタイ武装部隊へ援助した90余トンの洪水救援物資をバンコクへ輸送した。2011年9月、パキスタンで大規模な洪水災害が発生すると、人民解放軍空軍は航空機5機を出動させ、7000張りの災害救助用テントをカラチに送り届けた。また蘭州軍区は医療防疫救護隊を重度被災区クンリに派遣し、医療救援と衛生防疫の活動を展開した。

 中国の武装力は発展途上国に対する医療サービスと援助を積極的に展開し、国際医療交流や協力の参加によって、各国との友情、相互信頼を深めた。2010-2011年、海軍の医療船「和平方舟(平和の箱舟)」号は前後してアジア・アフリカ5カ国とラテンアメリカ4カ国に赴き、「調和の使命」と名付けられた人道主義医療サービスの任務を遂行し、193日間にわたって4万2000海里を航行し、5万人近い人々に医療サービスを提供した。またここ数年来、人民解放軍医療隊は人道主義医療共同訓練への参加と結びつけて、ガボン、ペルー、インドネシアなどの国の民衆に医療サービスを積極的に提供した。

 中国政府は地雷が引き起こす人道問題をきわめて重視しており、国際的な地雷除去支援活動を積極的に支持している。1999年以来、人民解放軍は地雷除去技術訓練班の開設、専門家の現場指導、地雷除去装備の援助などの方式を通じて、国の関係部門と歩調を合わせ、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの40近い国々に地雷除去支援を提供し、各国の地雷除去技術者400余人を育成し、20余万平方メートルの面積の地雷除去を指導し、約6000万元相当の地雷除去器材を供与した。

 ■国際海上通路の安全を守る

 中国海軍は国際的な義務を履行し、アデン湾・ソマリア沖で常態化した船舶護衛活動を展開し、船舶護衛を行っている複数の国と交流協力し、国際海上通路の安全を共同で守っている。2012年12月現在、中国海軍船舶護衛編隊は合わせて国連世界食糧計画(WFP)の船舶4隻、外国船舶2455隻に護衛を提供し、船舶護衛総数の49%を占めた。外国船舶4隻を救助し、海賊に釈放された外国船舶4隻を受領護送し、海賊に襲われた外国船舶20隻を救出した。

 中国海軍の船舶護衛編隊は合同護衛、情報共有、協調連絡などの面において複数の国の海軍と良好な交流メカニズムを確立した。ロシアと合同護衛活動を行い、韓国、パキスタン、アメリカの海軍艦艇と海賊対策の合同演習・訓練を行い、欧州連合(EU)と協調して、国連世界食糧計画(WFP)の船舶に対する護衛を提供した。欧州連合(EU)、北大西洋条約機構(NATO)、その他の多くの国の海軍、韓国、日本、シンガポールなどの護衛艦艇と司令官の艦上への相互訪問を行い、オランダとは、将校を互いに派遣し合い、艦上視察活動を展開した。ソマリア沖海賊対策に関するコンタクトグループ会合および「情報の共有と衝突の回避(SHADE)」という船舶護衛活動の協力についての国際会議などの国際メカニズムに積極的に参与している。 2012年1月から、中国、インド、日本など独自に船舶護衛活動を行っていた国々が協調行動を強化し、1四半期を1周期として各自の船舶護衛スケジュールを相互調整していくこととなり、各国の船舶護衛資源の全般的協調と、護衛効率の向上が促された。中国は最初の四半期を担当するスケジュール協調の参照国として、ただちに第1四半期における海軍護衛編隊のスケジュールを公表し、インド、日本はそれに基づいて自国の護衛スケジュールを調整し、統一的かつ規則的な間隔を保った護衛スケジュールが形成された。韓国は第4四半期から独立護衛国のスケジュール協調メカニズムに加入した。

 ■中国と外国の合同演習・訓練

 人民解放軍は非同盟、非対抗、第三者に矛先を向けることのない方針と戦略的互恵、平等に参与、対等に実施、という原則を堅持し、外国軍隊と多レベル、多分野、多軍種・兵種の二国間および多国間の合同演習・訓練を行っている。2002年以来、人民解放軍は協議や約定に基づいて31カ国と28回の合同演習、34回の合同訓練を行い、政治・軍事面における相互信頼の促進、地域の安全・安定の維持、軍隊の現代化建設強化のうえで積極的な役割を発揮した。

 上海協力機構(SCO)の枠組み内での合同反テロ軍事演習に組織化への進展がみられた。中国は上海協力機構の加盟国とすでに二国間や多国間の合同軍事演習を9回行っている。2005年からは、戦略的影響を有し、戦役レベルを備えた、比較的大規模な「平和の使命」シリーズの合同軍事演習を行った。それには「平和の使命-2005」中ロ合同軍事演習、「平和の使命-2007」上海協力機構武装力合同反テロ軍事演習、「平和の使命-2009」中ロ合同反テロ軍事演習、「平和の使命-2010」上海協力機構武装力合同反テロ軍事演習、「平和の使命-2012」上海協力機構武装力合同反テロ軍事演習が含まれる。演習はテロリズム、分裂主義、過激主義の勢力を抑止し、それに打撃を与え、上海協力機構加盟国が共同して新たな挑戦、新たな脅威に対応する能力を高めた。

 海上での合同演習・訓練が引き続き拡大している。ここ数年、中国海軍はアラビア海でパキスタンが主催する「平和-07」「平和-09」「平和-11」多国間海上合同軍事演習に連続して参加した。中ロ両国の海軍は海上交通安全確保合同作戦を課題とし、中国の黄海海域で「海上連合-2012」軍事演習を行った。中タイ両国の海軍陸戦隊は「藍色突撃(ブルーアサルト)-2010」と「藍色突撃-2012」合同訓練を行った。中国海軍は艦艇の相互訪問などの活動と結びつけ、インド、フランス、イギリス、オーストラリア、タイ、アメリカ、ロシア、日本、ニュージーランド、ベトナムなどの国の海軍と通信、編隊運動、海上補給、ヘリコプターの相互着陸、対海射撃、合同船舶護衛、艦上検査、合同捜索・救援、潜水などの訓練科目についての二国間や多国間の海上演習・訓練を行った。

 陸軍の合同訓練は徐々に深化した。2007年以来、中国陸軍は外国の陸軍と複数の合同訓練を行ってきた。インド陸軍とは「携手-2007」「携手-2008」反テロ合同訓練、モンゴル陸軍とは「平和維持の使命-2009」平和維持合同訓練、シンガポール陸軍とは「協力-2009」「協力-2010」安全保障合同訓練、ルーマニア陸軍とは「友誼行動-2009」「友誼行動-2010」山地部隊合同訓練、トルコ陸軍とは突撃分隊による合同軍事訓練を行った。中国陸軍特殊部隊はタイ陸軍特殊部隊と「突撃-2007」「突撃-2008」「 突撃-2010」反テロ合同訓練、インドネシア特殊部隊とは「利刃(シャープナイフ)-2011」「利刃-2012」反テロ合同訓練、パキスタン特殊部隊とは「友誼(フレンドシップ)-2010」「友誼-2011」反テロ合同訓練、コロンビア特殊作戦部隊とは「協力-2012 」反テロ合同訓練を実施した。2012年11月には、ヨルダン特殊部隊と反テロ合同訓練、アメリカ陸軍と人道主義救援・減災の合同屋内想定演習を行った。

 空軍の合同訓練は進展をとげた。2011年3月、中国空軍合同訓練分隊はパキスタン空軍と「雄鷹-1」合同空戦訓練を行った。10月、中国とベネズエラのパラシュート兵は「協力-2011」都市反テロ合同訓練を実施した。2011年7月、2012年11月、中国とベラルーシのパラシュート兵は「神鷹(イーグル)-2011」「神鷹-2012」合同訓練をそれぞれ行った。

 衛生勤務合同訓練は着実に展開されている。2009-2011年、人民解放軍医療隊は前後してガボンとペルーに赴き、「平和の天使」という人道主義医療救援合同行動を実施し、またインドネシアに赴き、アセアン(ASEAN)地域フォーラムの災害救助演習・訓練に参加した。2012年10月、人民解放軍衛生勤務分隊はオーストラリア軍、ニュージーランド軍と「協力の精神-2012」という人道主義救援・減災の演習・訓練を行った。


結びの言葉

 新世紀の新しい段階に、中国の武装力は新たな歴史的使命を効果的に履行し、情報化の条件下における局地戦争に勝利する能力を中核とする、多様化した軍事任務を完遂する能力をたえず向上させ、国の主権、安全保障、領土保全を断固として守り、国の経済社会の発展と国民の平和な暮らしを強力に保障し、一連の緊急・困難・危険・重要任務と重大な戦闘準備の演習・訓練活動をりっぱに成し遂げ、人民の高い信頼と賞賛を勝ち取った。

 新しい歴史のスタートラインに立って、中国の武装力の使命は崇高かつ神聖であり、責任は重大かつ光栄である。中国の武装力は終始国の主権と安全の擁護、人民の利益の保護に最高の価値を置き、終始世界平和の維持と共同発展の促進を重要な任務とし、国防と軍隊の現代化を加速し、国際的な安全協力に積極的に参加し、各国の武装力とともに平和・安定、平等・相互信頼、協力・ウィンウィンの安全な国際環境を創るよう努力している。

{付録は省略}