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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 大韓民国政府と中華人民共和国政府との海上運送に関する協定

[場所] ソウル
[年月日] 1993年5月27日(1993年5月27日署名、1993年6月26日発効)
[出典] http://www.mofat.go.kr/ko/division/jo_treaty_list.mof?ipage=&b_code=treaty_1&div_m_code=NN,条約1175号.
[備考] 翻訳 金淑賢
[全文]

大韓民国政府と中華人民共和国政府(以下、「締約当事者」)は、海上運送分野における協力を通じての両国間の友好関係増進と互恵平等の原則に従って、両国間の海運分野での効率性を高めることを希望しつつ、次のように合意した。

第1条

この協定の目的上、

1.「締約当事国の船舶」とは、締約当事国の国旗を掲揚して、同締約当事国の領域内で登録されたすべての商船を称する。

2.「船員」とは、船舶業務及び用役と関連して、締約当事国の船舶や第3国船舶に雇用されて乗船した者として同締約当事国の権限のある当局が発給した証明書類を所持した者を称する。

3.「旅客」とは、一締約当事国の船舶に乗船した者として、同船舶に雇用されたり、同船舶と関連していかなる職務を持ってなく、その名前が同締約当事国の船舶の旅客名簿に含まれている者を称する。

第2条

1.各締約当事国は、船舶の出入国の手続・税関手続・貨物の積載・荷下ろし及び旅客の乗下船のための船席の利用、港湾手数料の賦課と航海・運送及び通商的な商取引に必要な用役及び施設の利用と関連して、各国の開港場内で他締約当事国の船舶に最恵国待遇を付与する。このような待遇は、また、両締約当事国が投資した合作船社によって運営される船舶及び他方締約当事国内で所在する船社及び組織によって運営されて、同締約当事国が認める第3国の国旗を掲揚する船舶に対しても適用される。

2.同最恵国待遇は、この条の第1項で言及された船社の支社設置及び営業活動、そして同支社要員の居住及び活動にも適用される。

第3条

1.一締約当事国の船舶は、外国船舶に開放された両締約当事国の港口間、または外国船舶に開放された他方締約国の港口と第3国の港口間を航行し、両国間または一方国と第3国間旅客及び貨物運送に従事することを許容される。

2.締約当事国は、両国間の定期船交易及び旅客運送において、互恵平等の原則を実現することに相互に積極協力する。

第4条

1.締約当事国は、一締約当事国の権限のある当局によって正当に発給された船舶の国籍の証明書類、トン数証明書及び他の船舶関連証明書、または書類を相互認定する。

2.関連港湾手数料及び経費は前期規定された書類に基づいて徴収される。

第5条

各締約当事国は、他方締約当事国の権限のある当局により正当に発給された船員の身分証明書を認める。このような身分証明書は、韓国船員の場合、大韓民国船員手帳を称し、中国船員の場合は、中華人民共和国海員証を称する。

第6条

一締約当事国の海運企業及び組織から発生するすべての受益金は、両締約当事国によって相互受諾できる自由兌換性通貨で決済される。

そのような受益金は、他方締約当事国の領域内での支払いに使用されたり、または同国から自由に搬出されることができる。

第7条

この協定の諸規定は、沿岸海運には適用されない。しかし、一締約当事国の船舶が海外からの搬入貨物を下陸させたり、旅客を下船させるために、または外国からの搬出貨物を積載したり、旅客を乗船させるために他方締約当事国の2つの港口間を航海する時には、沿岸航海として見なされない。

第8条

一締約当事国の船舶が他方締約当事国の港湾内で停泊する期間中、他方締約当事国は関連法令に従って同船舶の船員が上陸することを許容する。

治療を要する締約当事国の船舶の乗務員は、同治療のために必要な期間で、他方締約当事国内で適用される法令により、同他方締約当事国の領域内で滞留することが許容される。

締約当事国の船舶の乗務員は船舶に合流したり、本国送還のために、または他方締約当事国の権限のある当局が受諾できるような他の事由で他方締約当事国の関連法令に従って、必要な手続完了後、同他方締約当事国の領域内に入国または通過することができる。

一締約当事国の船舶及び乗務員は、他方締約当事国の領域内で滞留する間は、同他方当事国の法令に服従する。

各締約当事国は、他方締約当事国の船員がこの協定第5条に規定された身分証明書を所持していたとしても、同他方締約当事国の船員に入国を拒否する権限を持つ。

第9条

1.一締約当事国の船舶が、他方締約当事国の領海または、港口内で海難事故に会った場合、同他方当事国は、その船舶・船員・貨物及び乗客に対して、必要なすべての援助を提供し、さらにできる限り迅速に、前期締約当事国の関係部署に通告する。

2.海難事故に会った一締約当事国の船舶で下陸・救済された貨物及び他の財産に対しては、他方締約当事国の領域内での臨時保管に必要な諸般施設が同他方当事国の能力範囲内で提供されて、同貨物及び財産が他方当事国の領域内で消費または販売用として使用されない場合には、いかなる課税も免除される。

第10条

1.海上運送の発展を保ち、この協定の履行から発生する諸般問題を解決するために、締約当事国の権限ある海運当局代表は、一締約当事国から提議される提案などを論議するための集まりを毎年1回ずつ開催する。

2.締約当事国は、一締約当事国の要請に従って、同当事国から提起される問題を論議するため、特別会議を招集する。

第11条

締約当事国は、港湾・海運分野の相互発展を促進するため、情報及び要員を相互交換することに積極協調する。

第12条

この協定に解釈及び適用と関連されたすべての紛争は、締約当事国間の友好的な協議を通じて解決される。

第13条

1.この協定は、署名日から30日後に発効され、3年間の有効である。同効力は、終了6ヶ月前に書面による締約当事国の終了通告として締約当事国によって、終了されない限りでは、自動的に1年ずつ延長される。

2.一締約当事国の要請に従って、この協定は相互合意によって改正または補充されることができる。

以上の証拠として、以下の署名者は各々の政府から正当に権限を委任されて、この協定に署名した。

1993年5月27日ソウルで同等に正本の韓国語、中国語及び英語で各2部ずつ作成した。解釈上相違のある場合、英語本が優先する。

大韓民国政府のために、中華人民共和国政府のために

署名:韓昇洲(Han Sung−joo)(外務長官)

署名:銭其シン(Qian Qichen){シン:王へんに深のつくり}(副総理兼外交部長)