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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 身体障害者補助犬法の施行について

[場所] 
[年月日] 2002年10月1日
[出典] 厚生労働省
[備考] 
[全文] 

(平成14年10月1日)

(健感発第1001002号)

(各都道府県・各政令市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省健康局結核感染症課長通知)

 「身体障害者補助犬法」(平成14年法律第49号。以下「法」という。)及び「身体障害者補助犬法施行規則」(平成14年9月30日厚生労働省令第127号。以下「施行規則」という。)が公布され、それぞれ平成14年10月1日から施行されることとなったことから、別添のとおり社会・援護局障害保健福祉部長から通知(以下「部長通知」という。)がなされたところです。

 本件に関しては、公衆衛生上の観点から、法第12条第2項、法第22条及び施行規則第5条において身体障害者補助犬の衛生確保に関する規定がなされ、施行規則第5条の運用に関する留意点が部長通知の記3に記載されておりますので、貴職においてもこれを御了知願います。

 また、身体障害者補助犬の衛生確保のための健康管理については、「身体障害者補助犬の衛生確保のための健康管理ガイドライン(別冊)」(平成13年度厚生科学特別研究)を参考に、関係部局との連携の下、関係者への周知等に努められるようお願いします。

 なお、本件に関して社団法人日本獣医師会に対し、協力依頼していることを申し添えます。

※施行に際する通知は社団法人日本獣医師会会長にも発出された。


(別添)

 「身体障害者補助犬法」(平成14年法律第49号。以下「法」という。)に基づく「身体障害者補助犬法施行規則」(以下「施行規則」という。)については、平成14年9月30日厚生労働省令第127号をもって、また、「身体障害者補助犬の育成及びこれを使用する身体障害者の施設等の利用の円滑化のための身体障害者基本法等の一部を改正する法律」(平成14年法律第50号)の一部の施行に伴う身体障害者福祉法施行規則の一部を改正する省令については、平成14年9月30日厚生労働省令第126号をもって公布され、それぞれ平成14年10月1日から施行されることとなったが、その施行に当たっては、下記に掲げる事項に留意の上、管下市町村を始め、関係機関・団体及び身体障害者補助犬の訓練を行う者(以下「訓練事業者」という。)等に対し、周知徹底を図られるよう特段の御配意をお願いしたい。

   記

1 身体障害者補助犬の訓練について(施行規則第1条、第2条及び第3条関係)

 (1) 盲導犬の訓練について

  盲導犬の訓練は、施行規則第1条に定める訓練基準に基づき行うとともに、併せて、平成4年に社会福祉法人日本盲人社会福祉施設協議会リハビリテーション部会盲導犬委員会で策定された「盲導犬訓練基準」(別添1)も指針として活用されるべきものであること。

 (2) 介助犬及び聴導犬の訓練について

  介助犬及び聴導犬の訓練は、施行規則第2条及び第3条に定める訓練基準に基づき行うとともに、併せて、厚生労働省の「介助犬の訓練基準に関する検討会」及び「聴導犬の訓練基準に関する検討会」から平成14年に報告された「介助犬訓練基準」(別添2)及び「聴導犬訓練基準」(別添3)も指針として活用されるべきものであること。

 (3) 訓練に当たっての留意事項

  ア 訓練事業者は、公共交通機関、商業施設、飲食施設等(以下「施設等」という。)で訓練を行う場合は、これらの管理者から、訓練の日時、内容等について事前に了承を得ること。

  また、訓練に当たっては、施設等の規則や指示に従うとともに、施設等や周囲の人に迷惑又は危害を及ぼさないよう責任をもって管理しなければならないこと。

  イ 訓練事業者は、屋外での訓練の実施に当たっては、訓練を行っている犬の胴体の見やすい場所に、「訓練中」である旨を明確に表示しなければならないこと。

2 身体障害者補助犬の表示について(施行規則第4条関係)

 身体障害者補助犬の表示は、施行規則様式第一号によるものであるが、その大きさについて一律の基準を定めていないのは、犬の体高及び動作への支障等を考慮したものであること。

3 身体障害者補助犬健康管理記録について(施行規則第5条関係)

 施行規則第5条の身体障害者補助犬の衛生確保のための健康管理については、平成13年度厚生科学特別研究事業により取りまとめられた「身体障害者補助犬の衛生確保のための健康管理ガイドライン」(別添4)を参考に実施することとし、その結果を身体障害者補助犬の健康管理手帳に記録し、所持することが望ましいこと。

4 身体障害者補助犬の認定を行う法人の指定について(施行規則第7条関係)

 身体障害者補助犬の認定を行う法人としては、施行規則第2条第1項第3号又は第3条第1項第3号の合同訓練のみを実施する法人も指定することができる旨を規定したところであるが、この規定は、当面、身体障害者が使用する身体障害者補助犬に必要とされる能力を適正に認定するために設けられていることを踏まえ、身体障害者更生援護施設を経営する社会福祉法人について適用することが想定されるものであること。

5 身体障害者補助犬の認定について(施行規則第9条関係)

 (1) 認定の方法について

  指定法人による介助犬及び聴導犬の認定は、施行規則第9条に基づき行うとともに、併せて、厚生労働省に設置した「介助犬及び聴導犬の認定基準等に関する検討会」から平成14年に報告された「介助犬の認定要領」(別添5)及び「聴導犬の認定要領」(別添6)も指針として活用されるべきものであること。

 (2) 認定に当たっての留意事項

  ア 指定法人は、施設等で認定のための実地の検証及び実地の確認(以下「検等」という。)を行う場合は、これらの管理者から、検証等の日時、内容等について事前に了承を得ること。

  また、検証等にあたっては、施設等の規則や指示に従うとともに、施設等や周囲の人に迷惑又は危害を及ぼさないよう責任をもって管理しなければならないこと。

  イ 指定法人は、施設等の検証の実施にあたっては、検証等を行っている犬の胴体の見やすい場所に、「試験中」である旨を明確に表示しなければならないこと。

6 認定を受けていない犬の表示について(施行規則附則第3条関係)

 法第16条の認定を受けていない犬として施行規則様式第5号の表示を行うことができる犬は、現在稼働している介助犬及び聴導犬又は今後稼働する介助犬及び聴導犬であって、訓練事業者の訓練が終了し、使用者が施設等に同伴できる状態に訓練されているものであることが必要であること。

 また、この表示は、指定法人の認定を受けるまでの間の暫定的な措置であることから、法第7条から第11条までの規定は適用されないものであるが関係者には、身体障害者の自立と社会参加を目指した法の趣旨の理解を求め、できるだけ施設等の円滑な利用がなされるよう特段の配慮を願いたい。

7 身体障害者福祉法施行規則の一部を改正する省令の施行について

 盲導犬の訓練については、身体障害者福祉法施行規則第15条に規定されていたところであるが、今般、新たに施行規則に規定したところであるので、当該規定は削除されたものであること。

※別添1、2、3、5略。


身体障害者補助犬法施行規則(抜粋)

厚生労働省令第127号

身体障害者補助犬法(平成14年法律第49号)第5条、第12条、第15条第1項及び第20条並びに附則第3条の規定に基づき、身体障害者補助犬法施行規則を次のように定める。


平成14年9月30日

厚生労働大臣

身体障害者補助犬法施行規則(抜粋)

(法第12条第2項に規定する厚生労働省令で定める書類)

第5条 法第12条第2項に規定する厚生労働省令で定める書類は、身体障害者補助犬の衛生の確保のための健康管理に関する次に掲げる事項を記載した書類(以下「身体障害者補助犬健康管理記録」という。)及び第9条第5項の規定により交付された身体障害者補助犬認定証その他身体障害者補助犬であることを証明する書類とする。

 一 身体障害者補助犬の予防接種及び検診の実施に関する記録(予防接種及び検診を実施した診療機関等の名称及び獣医師の署名又は記名押印がなければならない。)

 二 前号に掲げるもののほか、身体障害者補助犬の衛生の確保のための健康管理に関する記録


身体障害者補助犬の衛生確保のための健康管理ガイドライン

「身体障害者補助犬の衛生確保のための健康管理ガイドラインの送付について

(平成15年4月7日事務連絡)」(P221参照)

1.ガイドライン策定の目的

身体障害者補助犬の使用にあたり、当該犬の健康を維持し、その生活の質の向上を図るとともに、公衆衛生上の危害の発生防止のため、犬を清潔に保ち、他者に不快感を与えないこと、および人と動物の共通の感染症を予防することを目的として本ガイドラインを設定する。

2.ガイドラインの概略

 ここに策定した「身体障害者補助犬の衛生確保のための健康管理ガイドライン」は、補助犬の衛生確保のための実践的作業に参画する主体を主に補助犬の利用者と獣医師とし、各々により実施される健康管理について、具体的な内容の提言を行ったものである。

 さらに、本ガイドラインは、利用者による健康管理、獣医師による健康管理ともに、犬の健康状態の観察あるいは健康診断的な作業と衛生確保のための予防措置的な作業の2つに分け、それぞれについて記載を行っている。

 すなわち、利用者により実施される作業は、「健康状態の観察」および「被毛等の管理」とし、獣医師により実施される作業は「健康診断」と「予防接種およびその他の疾病予防措置等」とした。

 また、これらの4項目に加え、補助犬利用者と獣医師間の連絡の一方法とすること、および補助犬の衛生確保のための諸作業の結果を記録し、その有用性が広く社会に受け入れられるための一方法とすることを目的として、「身体障害者補助犬健康管理記録」を試み、その活用を推奨した。

 なお、身体障害者補助犬の使用者は、犬に起因する感染性の疾病について正しい知識を持ち、その飼育に際して感染の可能性を考慮し、常に自らの健康管理に留意するとともに、他者への感染の防止にも努める必要がある。

 以上のガイドラインの概略について、「図1「身体障害者補助犬の衛生確保のための健康管理ガイドライン」の概念」に要約して示した。

{図1 「身体障害者補助犬の衛生確保のための健康管理ガイドライン」の概念は省略}

3.使用者による健康状態の観察

 身体障害者補助犬の使用者は、みずからが飼養および利用する犬の健康状態について絶えず観察を行い、異常の早期発見に努め、何らかの異常が発見された場合には速やかに獣医師による診断を受けるものとする。

 使用者により実施される健康状態の観察項目は、別紙「身体障害者補助犬健康チェック項目」に記載の一般状態および体重の測定とする。

 また、実施頻度は、一般状態の観察は1日1回、体重の測定は1か月に1回とする。

身体障害者補助犬健康チェック項目は省略

ご自身でチェックできない項目については、どなたかにお願いしてください

☆元気はありますか?

☆太ったり、痩せたりしてきていませんか?

☆食欲はありますか?

☆食べ物の好みが変わってきていませんか?

☆座り方に異常はありませんか(変な座り方をしていませんか)?

☆歩き方に異常はありませんか(変な歩き方をしていませんか)?

☆視覚は正常であると思われますか?

☆聴覚は正常であると思われますか?

☆その他の感覚は正常であると思われますか?

☆皮膚の状態に異常はありませんか? 傷や腫れ、赤みなどはありませんか?

☆被毛の状態に異常はありませんか? 脱毛やツヤが悪いことはありませんか?

☆ノミやダニがついていませんか?

☆口の周りは汚れていませんか? よだれや歯石などがありませんか?

☆口の臭いは気になりませんか?

☆鼻の周りは汚れていませんか? 鼻汁などはありませんか?

☆目の周りは汚れていませんか? 眼やになどはありませんか?

☆耳は汚れていませんか? 耳あかなどはありませんか?

☆耳の臭いは気になりませんか?

☆頭をよく振っていませんか?

☆お尻の周りは汚れていませんか? 糞便や発情出血などがついていませんか?

☆お尻の周りの臭いは気になりませんか?

☆床にお尻を擦りつけるような動作をしませんか?

☆爪は伸びすぎていませんか?

☆呼吸が苦しそうなことはありませんか?

☆咳やくしゃみをしていませんか?

☆運動を嫌がるようになってきていませんか?

☆糞便と尿は普段と変わりなく排泄されていますか? 糞便と尿の色や排泄回 数、排泄場所は変わりありませんか?

異常を見つけたり、何か心配なことがある場合には獣医師に相談しましょう


 本ガイドラインでは、身体障害者補助犬の使用者は、毎日、みずからが用いる犬の健康状態の観察を行うべきであることを推奨したが、この際の観察を容易にし、また、常に一定の項目について忘れることなく観察できるようにすることを目的として「身体障害者補助犬健康チェック項目」を作成した。

 「身体障害者補助犬健康チェック項目」は、使用者が利用するチェックリストであることを考慮し、作成にあたっては平易な用語を使用することを試みている。ただし、ここに設定した項目および内容は犬の健康状態の観察として十分なものと考える。

 また、異常が発見された際に、すみやかに獣医師に相談することを促すため、その旨を「身体障害者補助犬健康チェック項目」の末尾に記載するなどの配慮も行っている。

4.使用者による被毛等の管理

 身体障害者補助犬の使用者は、みずからが飼養および利用する犬の被毛等について、適切な管理を行う必要がある。

 使用者により実施される被毛等の管理の実施項目および実施頻度は、以下のとおりとする。

 1) 整毛

 当該犬の被毛の性状、長さ等にもとづいて、適切なブラシおよび櫛等を選択し、それによる整毛を実施する。

 実施頻度は、基本的には1日ないしは数日に1回とする。ただし、各々の犬の状態にもとづき、とくに換毛期等には頻度を増すようにする。

 2) 皮膚および被毛の洗浄

 当該犬の皮膚ならびに被毛の性状等にもとづいて、適切なシャンプー製品とリンス製品を選択し、それによる皮膚および被毛の洗浄を実施する。

 実施頻度は、数週間に1回、ないしは1~2か月に1回程度とする。

 3) 剪毛

 当該犬の被毛の性状、長さ等にもとづいて、適切なはさみ等を選択し、それによる剪毛を実施する。

 実施頻度は、基本的には1年に1~2回とする。ただし、各々の犬の状態にもとづき、必要に応じて頻度を増すようにする。

 4) 爪切り

 爪が過度に伸張した場合には、爪切りを行う。

 実施の時期は、各々の犬の状態によるが、起立時に四肢の爪が床面に接触しはじめたときを目安とする。

5.獣医師による健康診断

 身体障害者補助犬の飼養および利用にあたっては、犬の衛生を確保するため、小動物臨床に従事する獣医師による健康診断を定期的に実施し、衛生管理の啓発と疾病の早期発見に努め、何らかの異常が発見された場合には速やかな対応を行わなければならない。

 健康診断は、個体識別の後、まず、一次検査として一般的な諸検査を行い、それによって異常が疑われた場合には、二次検査を実施する。また、一次検査および二次検査において異常が認められた例に対しては、必要に応じて各々の場合に適した精密検査を適宜に実施する(図2)。

 獣医師による健康診断の実施頻度は、一次検査のうち、問診、視診、触診、打診、聴診および体温、脈拍数、呼吸数の計測については1年に2回以上、血液学的検査ならびに糞便検査については1年に1回以上実施するものとする。また、二次検査および精密検査は、個々の例に応じて適切な頻度で実施する。

{図2 獣医師による健康診断の流れは省略}


【個体識別】

 身体障害者補助犬の個体識別は、「身体障害者補助犬法」第12条に規定されている「厚生労働省令で定める表示」を確認することにより実施する。

 さらに、当該犬の品種、性別、毛質、毛色、その他の外貌上の標徴を動物診療施設の診療記録簿に詳細に記載し、次回以降はその記載および「身体障害者補助犬健康管理記録」における記載と併せて個体識別を行う。

 また、マイクロチップを使用している場合には、それを利用することが望ましい。

【一次検査】

 一次検査の実施項目は以下のとおりとする。

 1) 問診

  補助犬の飼い主から当該犬の一般状態等を聴取し、とくに前回の健康診断以降の異常の有無について調査する。

  この際、「身体障害者補助犬健康管理記録」を活用する。

 2) 視診

  補助犬の全身について視診を行い、異常の有無を観察する。

  観察項目は、元気の有無、体格、食欲、栄養状態、姿勢、歩様、感覚の状態、被毛の状態、天然孔の異常の有無等とする。

 3) 触診

  補助犬の全身について触診を行い、異常の有無を観察する。

  観察項目は、皮膚および被毛、体表リンパ節、関節、指趾端の状態等とする。

 4) 打診

  補助犬の主に胸部および腹部について指々打診を行い、異常の有無を観察する。

  すなわち、打診部位を手指により叩打し、その際の振動音、すなわち打診音を聴取する。

 5) 聴診

  補助犬の主として胸部および腹部の聴診を行い、異常の有無を観察する。

  聴診の主たる対象は以下の各項目とする。

   ①心臓

   心拍動のリズムの変化、心内雑音の有無、心膜の摩擦音の有無等

   ②呼吸器系

   喉頭、気管、気管支および肺胞から発する音、胸膜の摩擦音等

   ③消化器系

   消化管の蠕動音等

 6) 体温、脈拍数、呼吸数の計測

  補助犬の体温、脈拍数、呼吸数の計測を行い、一般的正常値からの逸脱の有無を検討する。

 7) 血液学的検査

  実施が推奨される血液学的検査項目は、以下のとおりとする。

   ①赤血球数 または ヘマトクリット値

   ②白血球数

   ③犬糸状虫ミクロフィラリア

 8) 糞便検査

  実施が推奨される糞便検査項目は、以下のとおりとする。

   ①理学的性状

   糞便量、色調、水分含有量(下痢の有無)、臭気、未消化物および異物等の混在の有無

   ②寄生虫学的検査

   原虫の栄養型、シスト、オーシスト、蠕虫卵、幼虫、成虫、条虫の片節

【二次検査】

 一次検査により異常が疑われた場合には、以下の検査を実施する。

 1) 血液生化学的検査

  実施が推奨される血液生化学的検査項目は、以下のとおりとする。

   ①グルコース

   ②尿素窒素

   ③総蛋白

   ④アラニンアミノトランスフェラーゼ

   (グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)

   ⑤犬糸状虫成虫循環抗原

   ⑥抗レプトスピラ抗体

 2) 尿検査

  実施が推奨される尿検査項目は、以下のとおりとする。

   ①理学的性状

   尿量、色調、混濁度、濃度、粘稠性、臭気、比重、pH

   ②化学的性状

   糖質、蛋白質、血色素(潜血)、ウロビリノゲン、ケトン体、亜硝酸塩

 3) 糞便検査

  下痢、血便等が認められた場合には、糞便の細菌検査等を実施する。

【精密検査】

 一次検査および二次検査により異常が疑われた場合には、必要に応じてさらに種々の精密検査を実施する。

 精密検査の実施項目は、個々の例に応じて適宜に選択する。


6.獣医師による予防接種およびその他の疾病予防措置等

 身体障害者補助犬の衛生確保のため、予防接種を定期的に実施することは必須であり、加えてその他の疾病予防措置等を講ずることが望ましい。

【実施すべき予防接種】

 身体障害者補助犬への接種を行うべきワクチンは、以下のものとする。

 これらのワクチンの接種頻度は、1年1回とする。

 1) 狂犬病ワクチン

 2) 犬レプトスピラ病ワクチン

 3) 犬パルボウイルス感染症ワクチン

【実施が望まれる疾病予防措置】

 身体障害者補助犬に対して、少なくとも以下の疾病予防措置を講ずることを推奨する。

 1) 犬糸状虫症の予防(犬糸状虫成虫寄生予防薬の投与)

 犬糸状虫症予防薬を適宜に選択し、その薬剤の用法にもとづいて適切な投与を実施する。

 2) ノミおよびマダニの寄生予防

 ノミおよびマダニの駆除薬、とくに残効性が高い薬剤を適宜に選択し、その薬剤の用法にもとづいて適切な投与を実施する。

【避妊および去勢処置】

 発情期における問題行動の発生、および発情期にある他の犬から問題行動を受ける可能性があると想定される例においては、避妊手術あるいは去勢手術の実施、または発情回避のための薬物のインプランテーションを行うことを推奨する。

7.「身体障害者補助犬健康管理記録」の作成とその活用

 身体障害者補助犬の衛生確保のための健康管理の記録およびその証明のため、「身体障害者補助犬健康管理記録」を作成し、活用することが望まれる。