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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ジフテリア予防接種の実施強化について

[場所] 
[年月日] 1960年6月14日
[出典] 厚生労働省
[備考] 
[全文] 

(昭和三五年六月一四日)

(衛発第五三五号)

(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省公衆衛生局長通達)

 ジフテリアの予防対策については、昭和三四年一一月衛発第一、一九三号「ジフテリア予防対策の実施強化について」および昭和三四年一月衛発第三二号「予防接種の実施方法について」の別紙「予防接種実施要領」によつて、かねて尽力願つているところであるが、ジフテリア患者発生の終熄報告についてとりまとめたところによると、最近の集団発生の特徴として年令別患者発生の最頻値が九―一二才にあるものが、過半を占めている。この理由については直ちに結論を得られないが、前記昭和三四年一一月衛発第一、一九三号通知にある疫学調査の実施によつてその解明も期待される。しかしながら、当該年令層の感受性が高い傾向は明らかに認められ、これが対策として免疫度向上のための予防接種の実施強化が望まれるので左記によりその協力実施かた期せられたい。

 なお、昭和三一年一一月衛発第六六五号「ジフテリア予防接種の強化について」はこれを廃止する。

   記

一 定期予防接種の完全実施の励行

  定期予防接種の実施率については、なお一層の向上が望まれるので、励行かた指導すること。

  第一期、第二期、第三期、第四期とも該当者はできる限り流行期前に、接種を完了するようにし、とくに第一期の定期予防接種については、基礎免疫効果の向上を計るため、完全に三回完了するよう強力に指導すること。

二 勧奨による予防接種の実施

  定期予防接種の実施にあわせて次により勧奨による予防接種の実施を計ること。

 (一) 接種の対象として第三期、第四期定期予防接種該当の中間の年令層に免疫度が低いので、この年令層に重点を置くこと。

 (二) 定期予防接種の未実施者に対し予防接種法第九条により接種を受けさせることとし、特に第一期予防接種の未実施者、未完了者については、必ず実施するよう指導すること。

 (三) 接種の方法については、一般に追加免疫の方法によるも、第一期予期予防接種の未実施者にはなるべく初回免疫の方法を行うこと。

  ただし年令によつては接種量を適当に減量する必要があること。

三 臨時予防接種の実施

  一、二による以外に特にまん延防止上必要と認められる場合は、予防接種法第六条第一項により臨時予防接種を次の点に留意のうえ実施すること。

 (一) 対象者の指定にあたつては現に患者が隣接地域に比し多発の傾向にあつてまん延の恐れのある地域、隣接地域に多発あるいは流行がみられ波及する恐れのある地域、あるいは前年の流行地の隣接地域で本年流行の恐れのある地域等を考慮すること。

  なお、実施の対象は当該地域あるいは隣接地域における流行の様相によつて対象年令を考慮のうえ重点的に実施すること。

 (二) 昭和三四年一一月衛発第一、一九三号「ジフテリア予防対策の実施強化について」通知による疫学調査の結果臨時予防接種の実施が必要であると認められるときは、その年令層、あるいはその地域(施設)を対象として実施すること。

 (三) 臨時予防接種の実施に当つては、実施計画について当局に協議すること。なお(二)による場合は調査結果もあわせて添えること。

四 予防接種の実施上の注意

 (一) 予防接種実施規則(昭和三十三年九月厚生省令第二十七号)ならびに、昭和三十四年一月衛発第三二号「予防接種の実施方法について」通知に従つて実施すること。

 (二) 事故防止の万全を期するとともに、事故発生の場合は速やかに当局あて報告を行うこと。

 (三) 勧奨による予防接種の実施に当つては、その趣旨を父母等の保護者に十分周知徹底の上行うこと。

{参考資料略}