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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 附属書B APEC インフラ開発・投資に関する複数年計画

[場所] バリ,インドネシア
[年月日] 2013年10月8日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

1. 我々は,インフラ開発・投資を通じて,地域の成長を支えることにコミットしている。適切に設計された,持続可能で強靱なインフラは,経済成長を促し,生産性を高め,改善された市場アクセス,雇用創出,各分野における経済成長を含む,多大で前向きなフローオン効果をもたらす。

2. 2010年に横浜で打ち出されたAPEC成長戦略において,我々は,APECは,参加エコノミーがインフラ関連プロジェクトに官民の資金を調達するため,革新的解決策を策定し,技術的な支援及び助言サービスを提供するための土台の構築に資するべく,その糾合力を活用することができると述べた。APECではまた,インフラ開発における官民連携のベスト・プラクティスについての意見交換を行うことができる。

3. 2012年のウラジオストクにおいて,我々は,地域のインフラ開発における民間部門の投資の決定的な重要性を認識し,官民連携の枠組みにおける,より幅広い作業を奨励した。我々は,また,投資を促進する法,規制及び慣行の採用及び維持並びにAPEC地域における投資環境の改善への取組の重要性を認識した。

4. インフラ開発における具体的成果を実現するためには,APECエコノミーによる複数年のコミットメントが必要である。本年,我々は,2013年から2016年にかけて実行されるAPECインフラ開発・投資に関する複数年計画を作成した。

5. 複数年計画は,エコノミーが自らの状況に応じて採用することを決定できる行動及び改革のメニューを提供する。エコノミーは,全体として,民間部門のインフラへの関与を最大化させるために必要な協力的な制度環境を実現する。協力分野には以下が含まれる。

・不確実性を最小化し,透明性及び予見可能性を最大化させる確かな規制枠組みを通じた,インフラ投資・開発のために企業に優しい環境を育むための取組

・既存の統合計画メカニズムを発展又は改善するための取組

・確かなインフラプロジェクトの経路を特定・創出する政府の能力開発のための取組

・長期的投資家を後押しする資金調達・資金提供環境の発展又は更なる改善のための取組

6. 複数年計画の下での第一歩として,我々は,民間資金を受け入れ,官民連携(PPP)プロジェクトの実施を成功に導くために,インフラプロジェクトを評価する能力を備えた試験的なPPPセンターをインドネシアに設立することを歓迎する。

7. また,我々は,APEC・PPP専門家アドバイザリー・パネルを設立することにも合意した。本パネルはインドネシアのPPPセンターの設立を支援する。地域の組織を立ち上げ,それらを地域ネットワークに組み入れることで,APECは地域のインフラ市場の創設を支援することができる。

8. 我々は,長期にわたる資産価値,長期キャッシュ・フローの安定性及びライフサイクル・コストを考慮に入れるなど,包括的かつ全体的に考慮した上で計画を立てることの重要性についても認識した。

9. 我々は,ABACのアジア太平洋インフラ・パートナーシップ(APIP)の継続的な取組,及びABACのインフラ投資環境整備チェックリストの策定を歓迎する。

10. 複数年計画の下で,我々は,閣僚及び実務者に対し,エコノミーによる持続可能で強靱なインフラ開発・投資の促進を支援する,追加的な能力構築活動の策定を指示し,その実施をモニターすることを期待する。