データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第20回APEC首脳宣言 附属書A:革新的成長に向けて

[場所] ウラジオストク
[年月日] 2012年9月9日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

 イノベーションは,経済及び社会のすべての分野に広がっている。イノベーションを促進し,新しく独自のインプットの組み合わせを生み出し,そして,先進的な技術的,組織的かつその他の解決策を実施するために,我々は,すべてのエコノミーの潜在力を効果的に組み合わせる必要がある。

 2010年のAPEC首脳の成長戦略は,イノベーションの発展を経済成長及び繁栄の重要な要因の一つとして認めた。2011年のホノルル宣言は,競争を促進し,イノベーションの創造と革新する能力を奨励する,開放的かつ無差別な貿 易及び投資政策は,イノベーション政策の極めて重要な側面であることを強調した。

 この作業を前進させ,地域協力を強化するために,我々,APEC首脳は以下につき合意する。

・蓄積された革新的な潜在力を高め,APEC地域のイノベーション能力を改善するためにAPECエコノミーの革新者間の協力を強化する。

・我々の作業がビジネスの必要性に呼応していることを確保するために,イノベーションに関するAPECの現在進行中の作業に民間部門がインプットを提供できる機会を増やし,形式化する。

・イノベーションを促進させ,特定の革新的技術に影響を与える課題に対処するため,新規に設立されたAPEC科学・テクノロジー・イノベーション政策パートナーシップ,将来のイノベーション技術対話,及び,現在継続されているAPEC生命科学イノベーション・フォーラでの作業を通じて,政府,科学者,ビジネス界の間の協力を継続する。

・APEC首席科学顧問会合を組織し,アジア太平洋に亘る上位での科学・イノベーション関係を強化することを目標に,APECエコノミーの最上席科学顧問を招集する。

・電子商取引の分野における規制調和と協力を支持することを含めて,増加した貿易と投資及び情報通信技術のより広範な実施を通じてイノベーションを促進する。

・この分野における2011年の首脳のコミットメントに合致し,エコノミーがこ れらのコミットメントを国内政策枠組みに統合することを支援するイノベーシ ョン慣例を2013年に作り出すことによって,効果的,無差別,かつ市場主導型 の国内イノベーション政策を進展させる政策を実施する取組を継続する。

・創造性及びイノベーションを奨励し,知的財産の成功裏の管理及び活用のための方策を与える意欲を提供し保護する知的財産保護及び取り締まりを強化することにより,イノベーションに適した環境を進展させ,APECエコノミー内の雇用と経済成長を促進する。

・革新的アイデアの源としての中小零細企業の発展を進展させ,革新する能力を拡大する。

・若手科学者の取組をAPECイノベーション・研究・教育のための科学賞 (ASPIRE)を通じて表彰することを含め,様々なメカニズムを通じて,新興企業や若手起業家を支援する。

・ビジネス機会の向上,イノベーションへの関与の促進及び人的資本への投資の促進によって,革新的経済への女性の参画とエンパワーメントを促進する。

 我々は,これらの方策を効果的に実施し,革新的成長の課題を特定・対処し, また,アジア太平洋における長期的な革新的発展を推進するためにエコノミー を支援する活動を発展させるよう閣僚と実務者に指示する。