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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] APECメンバー・エコノミーでの最近のテロリズム行為に関するAPEC首脳声明

[場所] ロス・カボス、メキシコ
[年月日] 2002年10月26日
[出典] 外務省
[備考] 外務省仮訳
[全文]

2001年9月11日のテロ攻撃に照らし、2001年10月21日、上海で採択されたテロ対策に関するAPEC首脳声明を再確認し、

テロ行為によって引き起こされた、この地域の国際的な平和、安全及び経済の持続可能性への脅威と、いかなる手段を尽くしても直ちに闘う必要があることを確認し、

APEC首脳は、ここにおいて、

1. APEC地域における最近のテロ行為、特に、多くの罪のない命を奪い、様々な国籍を持つ多くの人々を傷つけた2002年10月12日のインドネシア・バリのテロ行為、2002年10月18日のフィリピンのテロ行為及び2002年10月23日のロシア・モスクワにおける多数の人質捕捉を最も強い言葉で非難する。

2. 犠牲者及びその家族並びにインドネシア、豪州、フィリピン、ロシア及び他のエコノミーの人々及び政府に対する深甚な同情と哀悼の意を表明する。

3. インドネシア政府、フィリピン政府及びロシア連邦政府の決意及び正義に対するテロリスト攻撃の犯人、組織及び支援者を探し出し、提訴するための迅速かつ断固とした努力を高く賞賛する。

4. インドネシア政府による、テロ撲滅政令の発布を歓迎し、全てのメンバー・エコノミーに対して、この卑劣なテロリストの行為に関係するいかなる個人又は集団について、人権を十分尊重しつつ、調査し、取り調べ、法の適正手続きを確保するための努力を支持する行動をとることを訴える。

5. すべての形式のいかなる場所、時、人が関わったものであれ、テロリズムは、APECメンバーに適用される法、その宗教的信念及び基本的価値と相反する残酷で憎むべき暴力行動であり、自由で開かれ、繁栄したエコノミーというAPECの展望に対する直接的な挑戦であることを再確認する。

6. 国連安全保障理事会決議1440、1438及び1373の採択を歓迎し、APEC地域内での、テロリズムと戦い、テロ行為の結果に対処し、更なるテロ攻撃を防ぐためのメンバー・エコノミー間の進行中の協力及び支援を評価する。

7. アジア太平洋エコノミーの健全で繁栄したコミュニティーにとって安定、安全、経済成長及び持続可能性を確保するため、テロリズムを助長することとなる、人の密輸、マネー・ローンダリング及び麻薬・銃器の違法取引きといった脅威を終結させる責務を引き続き率先する。

8. 影響を受けたエコノミーにおけるテロ攻撃の悪影響を緩和するためのAPECエコノミーの共同の努力を奨励する。

9. 域内におけるテロを根絶し、経済的な自信を取り戻させるための域内の努力を支援する国際的な協力を強化することを求める。9.

(訳注)

1. 国連安保理決議1440:モスクワにおける劇場占拠事件を他のテロ事件と同様に国際の平和と安全に対する脅威であるとみなし、全ての加盟国に対し、ロシア当局による事件解決の努力への協力を要請。

2. 国連安保理決議1438:インドネシアのバリ島にて発生した爆弾事件を国際の平和と安全に対する脅威であるとして強く非難し、全ての加盟国に対し、インドネシア当局に対し協力と支援を提供するよう要請。

3. 国連安保理決議1373:テロ行為のための資金供与等の犯罪化、テロリストの資産凍結、テロ資金供与防止条約などの関連条約の締結促進などの包括的なテロ対策措置の実施をすべての加盟国に要請。