データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第14回APEC閣僚会議共同声明

[場所] ロス・カボス、メキシコ
[年月日] 2002年10月24日
[出典] 外務省
[備考] 外務省仮訳
[全文]

オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、中華人民共和国、中国香港、インドネシア、日本、大韓民国、マレイシア、メキシコ、ニュー・ジーランド、パプア・ニューギニア、ペルー、フィリピン、ロシア、シンガポール、チャイニーズ・タイペイ、タイ、アメリカ合衆国およびヴィエトナムの閣僚は、2002年10月23日及び24日にロス・カボスで開催された第14回アジア太平洋経済協力(APEC)閣僚会議に参加した。APEC事務局も同会議に出席した。東南アジア諸国連合(ASEAN)事務局、太平洋経済協力会議(PECC)及び太平洋島嶼国フォーラム(PIF)は、オブザーバーとして出席した。

メキシコのルイス・エルネスト・デルベス経済大臣、及びホルヘ・カスタニェーダ外務大臣が会議の議長を務めた。

経済拡大の強さ及び速度についてはいくつかの不確実性はあるが、9月11日の影響を含む昨年の経済減速からの継続的な回復の文脈の中で会議は行われた。閣僚は、成長を増大させ生活水準を向上させるために、健全なマクロ経済及び金融環境、良い企業統治の促進、自由で開かれた貿易及び投資の共通の目標へのコミットメントを表明した。

APEC2002のテーマは、「成長と発展のための経済協力の恩恵の拡大。ビジョンの実施」であり、サブ・テーマは以下のとおりである。

a. 持続可能な成長及びニュー・エコノミーのための政策

b. グローバル化の恩恵を享受するための能力構築

c. 我々のコミュニティにとってAPECをより身近なものにすること

APECビジョンの実施の重要性が閣僚により強調された。閣僚は、そのようなビジョンの実施により、ビジネス及びより広範囲なAPECコミュニティが恩恵を受ける具体 的な結果を確保するとの決意を再度表明した。

閣僚は2002年APECのテーマ及びサブ・テーマとともに、テロ対策と経済成長に焦点を当てて議論を行った。

持続可能な成長及びニュー・エコノミーのための政策

テロリズム対策及び経済成長

テロリズムはそのすべての形態においてAPECの経済安定への脅威であるとともに地域の平和と安全保障への脅威でもあり、また自由・開放的で繁栄した経済というAPECのビジョンへの直接的挑戦である。バリにおける最近の攻撃は、テロリズムがAPECの目標達成を妨げないことを確保するために、団結し、コミットし、持続的な努力を維持することの重要性に対する悲劇的な警告である。

閣僚は再度最も強い言葉でテロリズムを非難した。閣僚は、2001年APECのテロリズム対策に関する首脳声明に応えるべく、メンバーが共同で、もしくは個別のエコノミーが採用した対策についてAPEC事務局が準備した報告書を支持し首脳に提案した。

テロリズムへの資金供給の抑制、航空及び海上の安全の強化、エネルギー安全保障の強化、重要なセクターの保護の強化、及び税関及び国境防衛についての安全に関する協力の強化を行うための首脳の特定のコミットメントの実施においてAPECにより実質的な進展が行われた。

APECエコノミーの共同及び個別の努力は9月11日の同時多発テロ事件による経済の下降を限定的なものとし、閣僚がAPECの野心的な経済成長及び協力アジェンダを推進することの決意を強化した。閣僚は、テロリズムの脅威に対する安全保障の強化及びモノ、資本及び人の移動の促進を含む経済成長の持続的促進という2つの目標を達成することの重要性を再確認した。これらの目標を達成するために、閣僚は貿易、金融、情報通信の分野でAPECが採択できる新しい協力的なコミットメントを議論した。

貿易について、閣僚は、モノ及び人の移動を促進する一方で、キャパシティ・ビルディングを含む運輸の安全、税関及び入国管理の協力を強化するためのコミットメントについて議論した。特に、閣僚は、APEC地域における貿易の安定確保のためのイニシアティブ(スター・イニシアティブ)の首脳による採択を勧告した。閣僚は、2003年2月22日、23日にタイのバンコクにおいてスター・イニシアティブに関するセミナーを開催する計画を歓迎した。

効率的な金融市場を確保する一方でテロリストへの資金の流れを停止することに関して、閣僚は、APEC財務大臣会合により承認されたテロリズムへの資金供給との戦いに関するAPEC行動計画へのコミットメントを再確認した。この計画は、改善された国際協力及び代替送金システムの改善されたモニタリング、及び慈善及び非営利組織を含む世界金融システムへのテロリストのアクセスを否定することを追及する。

閣僚は、情報の自由な流れを認める一方で、APECのコミュニケーション及び情報システムの統合性を保護する重要性を強調した。この課題に対応して、閣僚はAPEC電気通信・情報ワーキング・グループにより作成されたAPECサイバー・セキュリティ戦略を支持し、実務者にこのような戦略を実施するよう指示した。

閣僚は、テロリズムに対するAPECのイニシアティブを有効に実施するために途上エコノミーに如何にして最良のキャパシティ・ビルディング支援を行えるか実務者に対し探求するよう指示した。

APEC及び多角的貿易体制

閣僚は、世界貿易機関(WTO)のもとで、開かれた、ルールに基づく多角的貿易体制を支持することの重要性を再確認した。閣僚は、先進エコノミー及び途上エコノミーを含む幅広いメンバーシップ及び自由化へのAPECの継続的コミットメントを通じてAPECが果たすダイナミックで触媒的役割に留意した。

世界貿易機関(WTO)ドーハ開発アジェンダ(DDA)交渉を成功裏にかつ時宜を得た形で終結させることがAPEC地域における経済発展及び社会的発展にもたらす重要な貢献を認識し、閣僚は、2005年1月1日までにDDAの交渉を成功裏に終結することを確保することへの完全なコミットメントを再確認した。

閣僚は、すべての世界貿易機関(WTO)メンバーに対し、交渉を動かし続けてゆく努力においてDDAのすべての要素についてのジュネーブにおける実質的な議論を強化するよう求め、APECにおける協力的な原動力がDDA交渉を補完し支持することを確保するために作業することに合意した。閣僚は2003年9月10日から14日のメキシコのカンクンでの第5回WTO閣僚会議までの過程において、すべてのDDAの期限及びスケジュールを守るために共に作業することにコミットした。閣僚は、透明性はカンクンへの道程で重要な要素であることに合意した。

閣僚は、特に途上国にとって特に懸念である「実施」問題での進展について懸念を表明した。閣僚は、「実施」問題に対する適切な解決方法を見いだす決意を再確認した。

農業交渉について、閣僚は、WTO農業交渉のためのモダリティが2003年3月までに確立されることを確保することを目標に作業することにコミットした。特に、閣僚は、それらの交渉の目的の一つが、全ての形態の農業輸出補助金、及び不当な輸出禁止、輸出制限の廃止であるべきということに合意した。

閣僚は、2003年5月末日までにモダリティに関して合意に達することに向けて、非農産品市場アクセス交渉のためのモダリティに関する共通の理解が2003年3月末までに達成されることを確保するようWTOにおいて作業することを約束した。閣僚は、また、WTOサービス交渉においてリクエストを提出し初期オファーの提出のための2003年3月を達成することについても誓約した。

閣僚は、ルールに関する交渉グループにおける進行中の作業に対し引き続きコミットしている。それらの交渉は1994年のGATT第6条の実施に関する協定及び補助金及び相殺措置に関する協定のもとで、その基本概念及び原則、並びに、これらの協定及びその諸措置と目的の有効性を保ちつつ、規律の明確化及び改善を目指すものである。

閣僚は、交渉のためのモダリティについて、カンクンで明確なコンセンサスに基づいた決定に到達できるよう、貿易と投資の関係、貿易と競争政策、政府調達透明性及び貿易円滑化についてのWTOの議論の進展にもコミットした。APECは、これらの問題に関する議論に、なかんずく分析的作業及び政策対話の組織を通じて貢献してきた。

閣僚は、カンクンのWTO閣僚会合までに、新たな義務をメンバー国に課したり、TRIPS協定第24条で定められている現存の例外の使用を制限することなく、TRIPS協定の下での現存する保護を促進するTRIPS協定第23条4項のもとでのぶどう酒及び蒸留酒の地理的表示の通報及び登録に関する自主的及び負荷とならない制度の設立を交渉することに合意した。閣僚は、TRIPS協定第23条で定められているぶどう酒及び蒸留酒以外の産品の地理的表示の保護の拡大について議論することにも合意した。閣僚は、TRIPS協定第22条で既に定められているぶどう酒及び蒸留酒以外の地理的表示の保護にもコミットした。閣僚は、商標及びこれらの表示に対する適切かつ有効な保護がすべてのWTO市場において内国民待遇及び最恵国待遇ベースで完全に実現することを確保するために技術支援の増強も含めた作業を支持した。

閣僚は、TRIPS協定と公衆の健康に関するドーハ宣言への支持を再確認し、2002年末までに未決着となっている強制実施権問題を解決するための迅速な解決を開発することに完全にコミットした。この目的のために、解決の範囲は、ドーハからの特定のマンデートに焦点を当てるものでなければならない。

閣僚は、環境物品及び環境サービスに関する交渉を前進させることとした。閣僚は途上国特に後発開発途上国のための技術支援及びキャパシティ・ビルディングの重要性を強調した。環境技術の広範囲な適用は環境及び持続可能な開発のための貿易自由化の恩恵的効果を最大化するために不可欠である。APECは、この分野における物品とサービスの範囲を特定する作業を通じて、この目的の前進のために以前に貢献した。国際場裏により行われている現在の作業とこの分野における最近の技術進歩も考慮に入れ、環境物品及び環境サービスの適切な範囲及びリストを作成することは重要であろう。

閣僚はDDAの特別のかつ異なる待遇(S&D)についてのWTO作業計画の重要性も強調し、特別のかつ異なる待遇(S&D)の目的は途上エコノミーを貿易システムにさらに統合することであることを認識し、貿易と開発委員会において実用的、建設的精神で作業するというコミットメントを再確認した。

閣僚は、WTOのキャパシティ・ビルディング及び信頼醸成活動が途上及び後進開発途上エコノミーが世界貿易システムに完全に参加することを確保することにおいて引き続き果たす重要な役割を認識した。閣僚は、途上エコノミーがDDA交渉に完全に参加することを確保するためにAPECが果たしている指導的役割を歓迎し、総額200万米ドルの19のWTOキャパシティ・ビルディングプロジェクトがAPEC TILF基金を通じ2002年に資金を受けたことに留意した。これに加え、多くのAPECメンバーが地域のエコノミーに対し、実質的な二国間のWTOキャパシティ・ビルディング援助を提供している。

閣僚は、戦略的APEC計画の下でのWTOキャパシティ・ビルディング及び信頼醸成活動はAPECの最優先課題であることに合意した。これらの活動は需要主導であるべきであり、実施、市場アクセスそしてルール問題を含むDDA交渉の全範囲を包括すべきである。この意味において、閣僚は貿易投資委員会のWTOキャパシティ・ビルディング・グループのマンデートがDDA交渉に関する信頼醸成に関連する作業を含むことにより拡大することを歓迎した。特に、APECは、投資、競争、貿易円滑化、政府調達における透明性、及び貿易と環境等の分野を含む信頼醸成活動を奨励し調整することによりDDA交渉に対しさらに貢献すべきである。

閣僚はロシアとヴィエトナムの加盟プロセスを支持した。

閣僚は、スパチャイ・パニッチャパックWTO事務局長の参加を評価した。

上海アコードの実施

閣僚は、本年における顕著な進歩を確認し、上海アコードの時宜を得た実施の重要性を認識した。閣僚は、この宣言に含まれるイニシアティブが、APECエコノミーがボゴール目標達成のための方途として賛同した新たな「APEC実施枠組」の不可欠な要素を成すことに合意した。

  大阪行動指針の拡大

閣僚は、ニュー・エコノミー及び市場機能の強化を含む世界経済の基本的な変化を反映させるため、大阪行動指針(OAA)の対象を拡げることが、APECを自由且つ開かれた貿易・投資についてのボゴール目標を達成するための近道であることに合意した。閣僚は、大阪行動指針(OAA)第1部における「経済法制度整備」に関する新たな章の挿入についての勧告を含めた、高級実務者による「OAA第1部及び同第2部の拡大及び更新」に関する詳細な報告を支持した。

  パスファインダー・イニシアティブ

閣僚は、パスファインダー・イニシアティブがボゴール目標に向けての進捗を進展させるものであることを強調し、また、特定の分野において準備ができ、かつより速く行動することをいとわないメンバーが、一致して当該イニシアティブを実施することを容認することを確認した。

 閣僚は、以下のパスファインダー・イニシアティブをエンドースした。

−片務的な事前旅客乗客システム

−税関手続の簡素化及び調和に関する改正京都規約の採用

−電子検疫の採用

−電子原産地証明

−企業統治

−電気及び電子機器の適合性評価に関する相互承認取り決め(第2部、第3部)

これらのイニシアティブは、ビジネス界の利益のために、より良い投資環境を促進するであろう。閣僚は、関係するAPEC関連フォーラムに対し、APECメンバーのより幅広い参加を奨励するため、キャパシティ・ビルディングの提供も通じて、パスファインダー・イニシアティブにおける進捗をレビューすることを指示した。

  貿易及びデジタル・エコノミーに関する政策

閣僚は、成長及び発展に関するニュー・エコノミーの積極的な影響を強調した。この点に関して、閣僚は、ニュー・エコノミーのための適切な貿易政策に関連した一連の目標を内容とする「貿易及びデジタル・エコノミーに関するAPEC政策の実施のための声明」をパスファインダー・イニシアティブとして、首脳が採択することを勧告した。

  貿易円滑化行動計画

閣僚は、APECの貿易・投資円滑化目標の重要性を強調し、APEC貿易円滑化行動計画の発展を歓迎した。

閣僚は、首脳が、具体的な貿易円滑化行動や措置の合意されたメニューを含むAPEC貿易円滑化行動計画を支持するよう勧告することに合意した。閣僚は、2006年の終わりまでにAPEC地域間の取引コストの5%削減を実現するための本行動計画を実施することの重要性を強調した。閣僚は、全てのAPECメンバーが、2003年の第3回高級実務者会合までに、合意された項目のうち如何なる具体的行動及び措置を2003年及びそれ以降実施するのか特定すべきことに合意した。

加えて、閣僚は、経済委員会のプロジェクト「APEC内の貿易・投資の円滑化による利益」は、仮に全てのAPECエコノミーが5年間で取引コストを5%削減した場合、APEC全体のGDPは1%増加することを示している。

閣僚は、彼らの行動がビジネス界の関心を反映することを確保し、貿易円滑化措置を実施するための途上エコノミーの能力を高めることを手助けするために、ABACを含む民間セクターと緊密な連携をとる旨の首脳による指示を再確認した。

  透明性の基準

閣僚は、投資家の信頼を回復するための一方途として透明性を高める必要があることを承認した。閣僚は、貿易の主要分野におけるAPECの透明性原則の実施を追求する昨年の首脳による指示を想起し、首脳による支持のため「APEC透明性の基準の実施のための声明」を提出することを承認した。

  個別行動計画

閣僚は、各自の個別行動計画(IAP)に概説されている行動を通じてボゴール目標を達成する約束を再確認した。閣僚は、APECメンバーに対し、この目標を達成するために、貿易及び投資を自由化、円滑化させるべく各自の努力を維持することを奨励した。

閣僚は、実施メカニズムは監査・評価手続が存在する時のみ信頼できることを想起しつつ、IAPピア・レビューのプロセスを強化するためのAPEC内での進捗を歓迎する。何よりもまず外部の専門的知識の関与及び民間セクターによる大きな役割が、より厳格かつ意義のあるIAPレビューを保証する。閣僚は、実務者に対し、IAPピア・レビューのプロセスをさらに改善し、e−IAPデータベース上の情報がビジネス・フレンドリーな形式となるよう指示した。

閣僚は、ボゴール目標に向けた全般的な進捗を2005年に評価するための新たなIAPピア・レビュー・プロセスの重要性を強調した。これに関し、閣僚は、IAPピア・レビューのための前向きなガイドラインを歓迎した。

閣僚は、本年のピア・レビューのためにIAPsを提出した日本及びメキシコを含め、新たなメカニズムの下でレビューするために、IAPsを既に自発的に提出したエコノミーを賞賛した。閣僚は、日本・メキシコ以外で、15のエコノミーが、2003−2005年の間にレビューのためにIAPを提出することに合意したことを留意した。それらは、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、中国香港、インドネシア、大韓民国、マレイシア、ニュー・ジーランド、ペルー、フィリピン、シンガポール、チャイニーズ・タイペイ、タイ及びヴィエトナムである。

共同行動計画

閣僚は、ボゴール目標を達成する上での共同行動計画(CAPs)の重要性を強調した。閣僚は、改訂強化された共同行動計画を含む閣僚への2002年貿易投資委員会年次報告を承認且つ支持した。閣僚は、同委員会委員に対し、ビジネス社会にとって目に見える成果を生み出すために、共同行動計画に対して引き続き取り組み且つ評価を行うことを指示した。

地域的貿易協定

閣僚は、交渉中あるいは締結された地域的貿易協定(RTA)及び自由貿易協定(FTA)が増加しており、多くのAPECメンバーも右協定の締約主体となっていることに留意した。閣僚は、それらの協定がボゴール目標を達成するための手段となり、また、それらがAPEC原則及びWTOルールと整合性を有しているべき、と信じている。閣僚は、実務者に対し、RTA及びFTAについての建設的な意見交換を行うことを指示した。

ニュー・エコノミー及び電子商取引

閣僚は、情報通信技術(ICT)の持続可能な経済成長に対する貢献、中でも貿易・投資コストの削減に対する貢献を確認した。閣僚は、ペーパーレス貿易に関する個別行動計画及びe−APEC戦略の実施に関する会合にて支持された報告において反映されているとおり、情報通信技術の利用を促進し且つニュー・エコノミーの利益を最大化させるための適切な政策の実施の重要性を再確認した。

 

市場機能の強化

閣僚は、APECに対し、市場のニーズの変化に対応するためにメンバー・エコノミーの能力を確立し且つビジネス界及び投資家の信頼を生み出すことを目的として、市場強化の分野における取組を更に進めることを奨励した。閣僚は、経済法制度整備及び競争政策と企業統治に関する財務大臣プロセスとの補完性を特記した。また、メンバー・エコノミーが各自の企業統治を定期的にレビューする必要性を強調した。

構造改革

閣僚は、貿易・投資の自由化、円滑化を達成する上での構造改革の重要性を認識した。閣僚は、地域間での市場ファンダメンタルズの強化を目的とした構造改革についての様々なAPECイニシアティブの重要性を確認するとともに、この地域においてさらに対話及び取組を促進するよう実務者に指示した。

 グローバル化の恩恵を享受するための能力構築

中小・マイクロ企業

閣僚は、中小・マイクロ企業が、持続可能な国内的、地域的経済成長の推進力として果たす主要な役割及びそれらが開発途上国における貧困緩和のための重要な主体となりうる潜在性を認識した。

中小・マイクロ企業は、APEC地域における貿易に実質的な貢献をしている。貿易・投資の自由化を通じることを含め、輸出市場における中小企業の参加を高めることは、経済発展に潜在的な利益をもたらす。閣僚は、地域における中小・マイクロ企業の発展に貢献する適切な政策環境の整備に関し、より緊密な協力を行い且つ情報を交換することを通じた政策環境及び企業家精神の涵養の強化に合意した。

革新的な企業運営を開始することは中小・マイクロ企業の成功にとって不可欠な要素である。閣僚は、メンバー・エコノミーに対し、マイクロ・ファイナンス、ベンチャー・キャピタル・ファンド、債務保証スキーム、起業センター、情報通信技術へのアクセスを含む分野のイニシアティブについて検討を行うことを促した。

閣僚は、中小企業の発展のためのAPECの主要な場である中小企業大臣会合において承認された中小企業発展統合計画改訂版(SPAN)の重要性を強調した。改訂SPANは、マイクロ企業の発展及び進捗を評価するための評価枠組のための適切な事項を盛り込んでいる。

APECは、マイクロ企業をグローバリゼーション・プロセスに統合する際に指導的な役割を果たすことに適している。閣僚は、マイクロ企業を含む中小企業への配慮は、男女間の公平、経済成長、貧困緩和及びソーシャル・セーフティー・ネットの強化の点からAPECの目的への進捗を促進するための基本的な要素となることを認識した。 

特に、閣僚は、情報へのアクセス、人のキャパシティ・ビルディング及び融資を通じてマイクロ企業の強化に取り組む必要性を強調した。その目的と整合性を保ちつつ、閣僚は、マイクロ企業の発展に取り組むためのサブ・グループを中小企業ワーキング・グループ内に形成するという中小企業大臣会合における決定を歓迎した。

他の経済技術協力(エコテク)及びキャパシティ・ビルディング活動

閣僚は、「ニュー・エコノミーのための人材養成戦略」を含め、「2002年経済技術協力SOM委員会(ESC)」報告を歓迎し、ESCによる勧告を支持した。閣僚は、経済・技術協力に関する小委員会の役割及び権限に関するレビューを賞賛し、1998年に合意された同委員会の権限を再確認した。

閣僚は、実務者に、APEC関連フォーラムの活動をよりよく調整するための努力を継続するよう指示するとともに、APEC関連フォーラムに対し、活動間の重複を避け相乗効果を最大限にするための意思疎通の努力を強化するよう促した。

閣僚は、このイニシアティブのはじめの段階においてメンバーにより準備されたエコテク行動計画(EAP)の評価基準の発展を歓迎した。閣僚は、APECの経済・技術協力のアジェンダを進めるための道具としての既存のエコテク行動計画の価値について厳格な評価を要求した。

閣僚は、8月にメキシコのアカプルコで開催された「経済・技術協力及びキャパシティ・ビルディング:世界経済への統合の支援」ワークショップの成果に留意した。ワークショップにおいて参加者が行った提案は、APECにおけるキャパシティ・ビルディング活動について、戦略及び監査・評価メカニズムの確定及び改善を促進するために、より明瞭かつ焦点をあてた目標を持つ必要があるという閣僚の見解を支持している。閣僚は、APEC関連フォーラムに対し、その方向で取り組むことを促した。

更に、それらの提案と調和して、閣僚は、APECの経済・技術協力及びキャパシティ・ビルディング・プログラムに取り組むことを目的として、国際金融機関及び民間セクターの連携は強化されるべきであると合意した。特に、閣僚は、実務者に対し、APEC活動への財政支援への梃子入れを目的として、国際金融機関及び民間セクターの関連を発展させることを促した。

閣僚は、APEC事務局における評価作業計画を歓迎し、監査、評価が、APECの経済・技術協力及びキャパシティ・ビルディングの努力をより効果的にするものであることにつき合意した。また、閣僚は、ABACや経済・技術協力及びキャパシティ・ビルディング活動に関するAPECスタディ・センターの様な他のAPEC主体の関与も歓迎した。

APECを我々のコミュニティにとってより身近なものにする

グローバル化と繁栄の共有に関する対話

閣僚は、2002年5月26日にメリダにて開催されたグローバル化と繁栄の共有に関するAPECの対話の成果を歓迎した。閣僚は、経済成長を促進するために、適切な国内の経済改革政策、健全な体制及び技術発展の重要性を認識した。閣僚は、対話がグローバル化の社会的側面の重要性、及び人々が新しい状況に適応し、ニュー・エコノミー下の繁栄に必要な知識と技術を身につけることを助ける適切な措置の必要性に焦点を当てていることに留意した。閣僚はまた、経済の変化によって追いやられた人々への衝撃を和らげ、雇用と保護の再開を促進するソーシャル・セーフティ・ネットの必要性を認識した。

閣僚は、グローバル化の過程、特にAPEC統合の過程において、政治的支援を最大化するためにこれらの問題に取り組む必要を強調し、グローバル化の恩恵と挑戦を全ての利害関係者に広め、理解可能にするためのコミュニケーション戦略を要請した。

ABACとの対話

ABACは、アジア太平洋地域におけるビジネス環境を改善するためにAPECが採用すべき具体的なイニシアティブに関して助言を与えることにより、独自の役割を果たしている。閣僚は、首脳へのABAC報告「グローバル・セキュリティ強化のための発展の共有」を歓迎した。閣僚は、APECのアジェンダに対するABACの貢献に多大な価値を認め、APECが対テロリズム措置、企業統治、WTOキャパシティ・ビルディング及びマイクロ企業の育成の分野においてABACが示した数々のイニシアティブを追求していることに留意しつつ、ABACの提言を慎重に考慮することを約束した。閣僚は、政府と民間セクターとの関係を引き続き強化する必要性を強調した。

青年

青年は改革と革新の活力源である。青年は持続可能な経済発展と開発に非常に重要な貢献をなす。グローバル化の新たな機会と挑戦に直面するにあたって、青年を支えることが重要である。

閣僚は、メキシコがAPEC青年指導者・起業家フォーラムを成功裡に開催したことを賞賛した。閣僚はまた、本フォーラムの経済診断、ビジネス養成、青年起業家の財政及びビジネスの社会的責任に関する重要な所見に留意した。閣僚は、APECの若き将来の指導者養成のために引き続き活動を組織していく必要性を認識した。

女性

グローバル化は、アジア太平洋地域における成長と発展を刺激する力強い原動力となり、コミュニティーにおいて、より高い生活水準とより良い社会福祉をもたらし得る。しかしながら、特定の労働市場における脆弱さはこれらの恩恵の範囲を制限する。閣僚は、グローバル化が先住民女性を含む女性に与える挑戦に対処し、最も不利な立場も含めた全てのコミュニティーに構造改革と地球規模の市場の恩恵が行き届くことの確保に取り組むことを決意した。

APECのメンバーは、有償及び無償の労働という二重の負担のみならず、経済において女性が果たす多面的役割の価値を認識しつつ、社会経済生活のあらゆる面において性の不平等をなくす必要性を認識した。閣僚はまた、APECのエコノミーにおける女性の大きな貢献を認識し、ジェンダーに特定した経済データの研究を歓迎した。閣僚はまた、政策と意思決定過程への平等な参加から社会全体が利益を得ることを認識した。とりわけ、閣僚は、ほとんどの零細企業が女性によって設立・運営されていることから、それらにおける女性の重要な役割に留意した。

とりわけ、閣僚は、以下の過程と活動によってAPECにジェンダーを統合するためのコミットメントを再確認した:引き続きジェンダー統合を促進し、ジェンダーをAPECにおける分野横断的な問題として認識する;APECにおける女性の統合のための枠組みの実施に向けた進捗をレビューし評価する;女性の経済的利害と機会に関連する問題を考慮する;APECのフォーラムとエコノミー内のジェンダー統合の成果を認識する。閣僚はまた、ジェンダーフォーカル・ポイント・ネットワークを支持し、その速やかな実施を要求した。閣僚は、第2回女性問題担当大臣会合の大臣共同声明に含まれる支持と勧告を首脳に提出するというAPEC女性問題担当大臣の決定を歓迎した。

APECの作業に対する他の利害関係者の貢献

閣僚は、2002年のAPECの作業における学術機関、地域的シンクタンク、女性リーダーネットワーク(WLN)及びその他の利害関係者の重要な貢献を認識した。閣僚は、APECの活動における彼らの関与を強化する方策を検討することで合意した。

その他の事項

閣僚に対する高級実務者会合報告書

閣僚は、高級実務者会合報告書を、同報告書に述べられた決定事項も含め歓迎し承認した。

オブザーバーによるステートメント

閣僚は、ASEAN事務局、PECC及びPIFの報告に留意した。

APEC2003

閣僚は、第15回APEC閣僚会議及び第11回APEC首脳会議に向けた準備に関するブリーフィングにつきタイに対し謝意を表明した。

将来の会合

閣僚は、将来の閣僚会議が2004年にチリで、2005年に韓国で開催されることに留意した。閣僚は、ベトナムが2006年に、オーストラリアが2007年にAPECを主催するとの申し出を歓迎した。

閣僚の決定事項

貿易及び投資の自由化及び円滑化

  貿易投資委員会(CTI)年次報告

閣僚は、2002年のCTI年次報告及びその中に含まれる貿易及び投資の自由化及び円滑化に関するAPECの活動をエンドースした。

  多角的貿易体制の強化

閣僚は、2003年4月から6月の間に予定されている貿易と環境に関する会議を開催するとの提案、及び貿易促進及び貿易と競争に関する貿易政策対話を来年のSOMIとIIにおいてそれぞれ行うとのCTIの決定を歓迎した。

  個別行動計画

閣僚は、2002年のIAP改善に関するSOM報告書を支持し、e−IAPのウェブサイトが民間セクターにとって真に有用な道具となるよう実務者に指示した。

  共同行動計画

閣僚は、2002年CTI年次報告に含まれる改訂強化された共同行動計画(CAP)を承認かつ支持した。閣僚は、実務者に対してビジネス・コミュニティにとって目に見える成果を生みだし続けるために作業を続け、CAPの進展を評価するよう指示した。

閣僚は、メキシコが主催した「二国間及び多国間の投資ルールと合意」に関するセミナーの結果を歓迎し、WTOプロセスにおいて引き続き更なるキャパシティ・ビルディングの作業を続ける必要性を特記した。

閣僚は、実務者に対し投資についてのメニュー・オプションの実行及び改善に関する各エコノミーの進捗をレビューし、2003年閣僚会議までに進捗を報告することを要請した。

閣僚は、2002年9月ロシアのウラジオストクにおいて、「グローバル化時代のAPEC地域における投資開発」のテーマの下に開催された第3回APEC投資マート及び第7回APEC投資シンポジウムの成功を歓迎し、第4回APEC投資マートが2003年10月タイのバンコクにおいて開催されることに留意した。 

閣僚は、各メンバー・エコノミーにおける知的所有権保護の改善のメカニズムとしてのAPEC知的所有権サービスセンター設立の提案を歓迎し、SOMに対して財政面を含めかかるイニシアティブを更に発展させるために次回閣僚会議まで議論を続けるよう指示した。

閣僚は、現在14のAPECエコノミー・メンバーを擁するAPECビジネス・トラベル・カード制度の継続的な進捗に留意し、とりわけ、本制度へのインドネシア及び日本の参加を歓迎した。閣僚はまた、片務的事前旅客情報システム、旅行書類審査、職業移民サービス、旅行書類の安全確保及び発効システムと法制化の分野におけるキャパシティ・ビルディング活動の実行を含む進行中の作業を賞賛した。 

閣僚は、2002年12月10日から12日にかけて中国の北京にて開催される、ベンチャー・キャピタルと新興企業に関するセミナーの準備における進捗を歓迎した。

  貿易の円滑化

閣僚は、個別行動計画の貿易円滑化措置を特記するために2003年に全てのメンバーによって使用されることとなる報告テンプレートを支持した。閣僚は、カナダ、中国香港、中国、日本、マレーシア、ニュージーランド及びシンガポールが今年報告テンプレートを試験的に使用することを賞賛した。

閣僚は、カナダが監督するプロジェクトの下、世界銀行とAPECが共同作成した報告書「貿易円滑化の経済的影響:アジア太平洋地域における発展の展望」に留意した。同報告書は、港湾・通関の効率化、規制の基準・調和、ビジネスの移動と電子商取引の利用、及び専門行政の分野において、APECの平均以下にあるメンバーを平均近くまで引き上げることは、APEC域内の貿易額を年2800億ドル以上に増加させるとの結論を出した。閣僚は、報告書が政策策定の助けとなる有用な情報をもたらしたことを認識した。

閣僚は、オーストラリアが用意した研究報告「APECエコノミー:貿易円滑化の恩恵の実現」を歓迎した。同研究報告は、APEC域内において既に実施されている貿易円滑化改革の例を多数示すとともに、貿易円滑化措置が実質収入の増加をもたらし、市場アクセスを改善し、効率性を上昇させ、競争・革新の障壁を減少させたことを特記した。同報告書は、APECにおいて既に実施されている貿易円滑化改革によって年170億USドル以上の実質収入の増加が生じていることを明らかにした。

閣僚はまた、タイ、カナダ、中国香港が主催したワークショップ「APEC貿易円滑化原則の実施」の組織化、及び「上海目標に向けて:APEC貿易円滑化行動計画の実施」と題する同ワークショップの報告書を歓迎した。

  自動車及び化学ダイアローグ

閣僚は、2002年シンガポールにて開催された第4回自動車ダイアローグの生産的な結果を歓迎し、2003年に開催される第5回のダイアローグに関連する準備に留意した。閣僚はまた、自動車ダイアローグの進捗、特に「ピア・ディスカッション」プロセスの開始及びWTO新ラウンドを支持・貢献するというダイアローグの提案に留意した。閣僚は、WTO新ラウンドの市場アクセス及び貿易促進活動を更に発展させ進展させる対話を奨励した。閣僚は、自動車基準の調和を促進するダイアローグの作業を賞賛し、「自動車技術規制調和の改訂原則」を支持した。

閣僚は、2002年にメキシコにて開催された第1回化学ダイアローグの開始を歓迎し、2003年にタイで開催される第2回化学ダイアローグの準備を歓迎した。閣僚は、ビジネス取引のコスト削減という上海アコードの目的に資する措置の提示及び実施を含む化学ダイアローグの作業を賞賛した。閣僚は、2006年までにAPECメンバーに対して化学薬品の危険分類及びラベリング、安全データシート及びその中に含まれるキャパシティ・ビルディングに関するグローバリー・ハーモナイズド・システム(GHS)実施に向けて作業することを奨励した。閣僚は、EUが提案中の化学薬品規制制度がAPECの製造業にもたらす潜在的悪影響に留意し、EUの規制プロセスにおける透明性及び開放性の重要性を強調した。

経済・技術協力(エコテク)

  経済・技術協力小委員会

閣僚は、より焦点を絞り強化された行動アジェンダを確保するために経済・技術協力活動の管理・調整における経済・技術協力小委員会(ESC)の重要な役割を認識した。閣僚は、ESCを、頭文字ESC及び元来の任務を残しつつ、ESCをエコテクに関するSOM委員会へと改名することを含むESCの任務及び役割に関する勧告を支持した。

  人材養成促進プログラムの実施

閣僚は、グローバル化の挑戦に対処するにあたりアジア太平洋地域に力を与え、地域を助けるために不可欠の手段としてのキャパシティ・ビルディングの重要性を認識した。閣僚は、人材養成促進プログラム実施のための中国の努力を賞賛した。

  ニュー・エコノミーのための人材養成戦略

閣僚は、APEC域内においてニュー・エコノミーの機会が広く共有されるよう、「デジタル・ディバイドのデジタル・オポチュニティへの転換」のための効果的対応であるとして人材養成調整グループ(HCBCG)が準備した「ニュー・エコノミーのための人材養成戦略」を承認した。

  健康

閣僚は、感染症戦略の実施に関するISTWGの進捗を歓迎した。閣僚は、現在のAPECの「感染症」優先項目を「健康と持続可能な開発」に拡大することを支持した。閣僚は、APEC域内においてヘルスケア・サービス認定団体間の協力を拡大するためのAPECヘルス・ケア・サービス認定プロジェクト等の、公的部門と民間との協調を支持した。閣僚はまた、公衆衛生の改善を促進することに対するメンバーの関心を認識し、APECにおける生命科学イノベーション・フォーラムの設立を承認することにより、生命科学分野を優先分野にした。

  バイオテクノロジー

閣僚は、今年メキシコで開催された第1回農業バイオテクノロジー・ハイレベル政策対話を歓迎し、2003年2月14日から15日にかけてタイのチェン・ライにて開催される2003年のSOMIにおいて、第2回農業バイオテクノロジーに関するハイレベル政策対話の開催提案を歓迎した。

閣僚は、チャイニーズ・タイペイにて8月29日から9月4日にかけて開催された農業バイオテクノロジーの安全評価に関する技術協力と情報交換APECワークショップの結果を、安全への新たな価値ある貢献であり、科学的根拠に基づいており、何よりもバイオテクノロジーにおけるキャパシティ・ビルディングであるとして歓迎した。

  APEC食料システム(AFS)

閣僚は、AFS実施に関するSOMの報告を歓迎した。閣僚はAFSに関し、個別行動計画の別個の章として挿入したこと及びニュージーランドの提案したテンプレートの採用に留意した。閣僚は、また、現行のAPEC食料システム年次報告の経済報告を廃止することに合意した。

  マイクロ・中小企業

閣僚は、8月17日及び18日にメキシコのアカプルコで開催された、マイクロ企業に関するAPECハイレベル会合での報告及び域内においてマイクロ企業発展を創出し、可能にする環境のための提言を歓迎した。

閣僚は、また、豪州とメキシコがAPECにおいて共同で発表した小規模ビジネス及び貿易に関する報告を歓迎した。この研究は、平均すると、APECにおいては、小規模ビジネスはすべての企業のうちの98パーセント、直接輸出の30パーセント、海外直接投資では価格にすると10パーセント、民間雇用の60パーセントを占めているということを示している。

閣僚は、発展途上エコノミーが中小・マイクロ企業に対して、障害を除去し、輸出への移行を容易にするプログラムを開発するのを援助することを目的として、2003年にセミナーを開催するオーストラリアのイニシアティブを歓迎した。

閣僚は、APEC地域での中小・マイクロ企業のキャパシティー・ビルディングを向上するために、来年、中国青島で開催される次回APEC中小企業技術会議及びフェアを歓迎した。

  APEC教育基金及びAPECサイバー教育協力コンソーシアム

閣僚は、教育協力にあたってのAPEC教育基金の継続的なリーダーシップに対して感謝の意を表明し、韓国及び米国の指導的役割を賞賛した。閣僚はまた、APECサイバー教育協力コンソーシアムの拡大、及びこれまでに達成された進捗を歓迎した。閣僚は、基金とコンソーシアムの活動へのメンバー・エコノミー、ビジネス界、学界その他の利害関係者の更なる参加を奨励した。

  APECスクール・ネットワーキング

閣僚は、タイが姉妹校ネットワーク事業においてリーダーシップを取っていることを賞賛し、メンバーが事業に十分に参加するよう奨励した。

ニュー・エコノミー及び電子商取引問題

  ニュー・エコノミー

閣僚は、ITを使った障害者支援(韓国)、情報化時代に向けてのIT学校の育成(チャイニーズ・タイペイ)及びデジタル・エコノミーのための政策枠組みに関するOECD−APECグローバル・フォーラムを含む、リード・エコノミーによる、ニュー・エコノミー・イニシアティブの進展に留意した。

閣僚は、また、チャイニーズ・タイペイ及びタイ、メキシコ、インドネシアによる、「デジタル・ディバイドからデジタル・オポチュニティーへの変容・フェーズ II」のイニシアティブの下での、E−ビジネスとサプライ・チェーン・マネージメントに関するワークショップの実施に向けての努力を賞賛した。

政府サービスの質と透明性を向上するための電子政府の重要性を強調し、閣僚は2002年7月2日から5日にかけて韓国で開催されたAPEC電子政府ハイレベル・シンポジウムで採択されたAPECにおける電子政府の促進に関する戦略的報告を承認し、その積極的な実施を奨励した。閣僚は、2003年に第2回APEC電子政府ハイレベル・シンポジウムを催すとのメキシコの申し出を歓迎した。

  電子商取引

閣僚は、APEC2002年電子商取引活動一覧表を、関連するAPECのフォーラム及びメンバー・エコノミーが、電子商取引関連活動を計画するに当たり有用な道具として留意した。

閣僚は、2003年、中華人民共和国煙台で開催されるAPEC電子商取引フェアーを歓迎し、全てのメンバー・エコノミーに対し、政府、経済界、学会から広くこのイベントに参加することを奨励するように訴えた。

閣僚は、電子商取引における消費者保護のための適切で矛盾のない枠組みを発達させることの価値を認識し、「消費者保護へのアプローチに関する報告」及び「オンライン消費者保護のためのAPECガイドライン」をエンドースした。

閣僚は、豪州、チリ、中国、中国香港、インドネシア、日本、韓国、マレイシア、メキシコ、ロシア、シンガポール、チャイニーズ・タイペイ、タイ、ヴィエトナムの14カ国により提出されたペーパレス貿易に関する個別行動計画を歓迎し、他のメンバー・エコノミーにペーパレス貿易個別行動計画の実施に参加するよう奨励した。

市場機能の強化

閣僚は、2002年7月11日及び12日にジャカルタにおいて開催された第2回経済法制度整備に関するシンポジウム(日本、豪州、インドネシア)、2002年10月16日から18日にかけて韓国済州島で開催された規制改革に関するAPEC・OECDの共同イニシアティブによる第3回ワークショップ及びハイレベル会合における進展(ペルー)、APEC競争政策研修プログラムの第1回セミナーの成果(日本、タイ、ヴィエトナム)、APECエコノミーにおける競争促進のための研修プログラムの成果及び準備(メキシコ)、ヴィエトナム、フィリピンでの会社法セミナーでの集中訓練の成果及び、中国、インドネシア、タイでの今後のセミナーの準備(オーストラリア)、2002年9月18日及び19日に北京で開催されたAPECの競争政策及び経済成長に関する学術会議の成果(中国、日本)及び11月に開催される中小企業及び新規事業支援ワークショップの準備(日本)を含む、市場機能の強化に関するAPECの作業の進展を歓迎した。 

閣僚は、また、2002年の8月6日及び7日にチャイニーズ・タイペイで開催された「APEC女性の企業家及び新興企業の促進のためのベスト・プラクティスに関するシンポジウム」において合意に達したベスト・プラクティス指針を歓迎し、また、閣僚はAPECの将来の活動において、このガイドラインを適用するように奨励した閣僚は、「APECにおける経済法制制度の整備−貿易、投資、経済成長の支援」の報告を称賛した。

経済に関する問題

経済委員会報告は分析的なインプットを意図したものであり、合意された政策的結論や提言を含むものではないということに留意しつつ、閣僚は、2002年経済委員会報告及びその中の4つの中心となるプロジェクトである(1)2002年APECエコノミック・アウトルック、(2)APEC内の貿易・投資の円滑化による利益(3)APECにおけるニュー・エコノミー:革新、デジタル・ディバイド、政策(4)KBE(知識集約型経済)提言の実施計画をエンドースした。

閣僚は、「2002年APECエコノミック・アウトルック」、特に、アジア太平洋地域におけるマイクロ・バンキングの発展、規制、監督に関する構造上の章、特定金融機構(SFIs)の役割に関する構造的な章を設けるとの提案を歓迎した。

閣僚は、また、「ニュー・エコノミー/KBE」という経済委員会による以前の報告を補完する「APECにおけるニュー・エコノミー−革新、デジタル・ディバイド、政策」の報告を歓迎した。閣僚は、KBE提言の実施の進展を歓迎し、経済委員会に対し、さらに、そのKBEやニュー・エコノミーの問題に関する作業を進めていくように促した。

閣僚は、「APECエコノミーにおける企業負債再建プロセス及び経済成長」と名づけられた、新しい提案を支持した。

閣僚は、テロリズム資金及びマネー・ロンダリングを阻止するための作業、金融・財政改革、経済成長のための国内貯蓄配分の改善を含む第9回財務大臣会合プロセスの成果を歓迎した。

閣僚は、また、APEC・金融と開発プログラムに例示されるような、マクロ経済的な対話、政策交流、キャパシティー・ビルディング、の促進のためのAPEC財務大臣会合において取り入れられたいくつかのイニシアティブを認め、信用債務保証市場の開発イニシアティブを歓迎した。

閣僚は、また、2002年、財務大臣プロセスと高級実務者プロセスの間で、緊密なコミュニケーションが取れていたことを歓迎した。

閣僚は、大韓民国及びタイの共催で、2002年6月25日及び26日大韓民国ソウルにおいて開催された、ソーシャル・セーフティー・ネットに関する専門家国際会議の成果を歓迎した。閣僚は、また、実質的に、APEC内での情報交換とよりよいソーシャル・セーフティー・ネットの達成のための効果的な実践の普及の促進のために機能するAPECソーシャル・セーフティー・ネット・キャパシティー・ビルディング・ネットワーク(APEC SSN CBN)の創設を歓迎した。

ABAC

閣僚は、環太平洋マルティモダル・セキュリティー・システム(TPMSS)を進展させるABAC事業に留意した。

コミュニケーション及びアウトリーチ戦略

閣僚は、APEC事務局の進めている、コミュニケーション及びアウトリーチ戦略の実施の作業を奨励し、最近、終結した豪州の後援による広報技術ワークショップに留意し、将来における同様の活動の継続を奨励した。

  他の利害関係者のAPECの作業への貢献

閣僚は、APECの構造、運営を改善するための提言を盛り込んだ、APIANの報告「APECの機構としての再構築」を含め、APECの利害関係者の貢献を歓迎した。閣僚は、又、中国でのAPECアカデミーの設立を歓迎した。

持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)

閣僚は、APECのWSSDへの貢献に関してAPEC事務局による準備されたペーパーを検討し、メンバーを代表して、また、2002年のAPECホストエコノミーとして同ペーパーをヨハネスブルクに伝達したメキシコに謝意を示した。

2002年分野別大臣会合

閣僚は、5月29日から31日にかけて上海において開催された、第5回電気通信・情報産業大臣会合の成果を歓迎し、中国が、上海宣言、APEC電気通信・情報産業ワーキング・グループでの行動計画、情報通信インフラストラクチャーのセキュリティーに関する宣言を採択したことを賞賛した。

閣僚は、今年、ペルーのリマで開催された、第3回運輸大臣会合での報告に留意し、そこで出された成果を歓迎した。

閣僚は、2002年4月25日及び26日に韓国で開催された第1回APEC海洋関係大臣会合の成果を歓迎し、韓国がソウル海洋宣言を採択したことを賞賛した。か閣僚は、同会合が、海洋関係の議題に向けての協調されたアプローチを推し進めること、特に、地域の海洋及び漁業資源の持続可能な開発に関する協力を強化することを認識した。

閣僚は、今年のメキシコでの閣僚会合の開催に謝意を示し、次のとおり、その成果を奨励した。

− 貿易担当閣僚会合が、5月29日及び30日にプエルト・ヴェジャルタで開催された。 

− 第2回観光大臣会合が、7月3日から6日にかけてメキシコのマンザニロで開催され、観光及び中小企業問題に焦点を当てた。 

− 第5回APECエネルギー大臣会合が、2002年7月22日及び23日にメキシコ・シティーで開催された。同会合は、21世紀再生可能エネルギー開発及びエネルギー安全保障イニシアティブ等を通して、投資、再生可能エネルギー、エネルギー安全保障及び環境にやさしいエネルギー消費などの分野でのエネルギー協力に焦点を当てた。 

− 第9回APEC中小企業大臣会合が、8月24日及び25日にアカプルコで開催され、協力の拡大に焦点を当てた。 

− 2002年第2回女性に関する閣僚会合が、9月28日及び29日に、グアダァジャラで開催され、特に、女性のための企業家精神、、零細ビジネス、貿易促進及びITキャパシティー・ビルディングに特に重点を置いた「ニュー・エコノミーでの女性の経済的利益及び機会の促進」に焦点を当てた。

財政、運営問題

閣僚は、財政、運営問題に関する財政運営委員会の報告を支持し、2003年のメンバー・エコノミーからAPEC中央基金への拠出及び2003年予算を承認した。

閣僚は、プロジェクト・ガイドラインをよりユーザー・フレンドリーに改良した、財政運営委員会の作業を奨励した。

APEC事務局長の報告

閣僚は、APEC事務局長の報告に留意した。

閣僚は、APEC事務局の機能の改善に関するレポートを歓迎し、カナダによるコンサルタントの監察を含め、その提言に留意し、また、その迅速な実施を支援する。

会合では、APEC事務局が、初めてのISO認証を受けた国際的な貿易関係の事務局となるべく、ISO9001標準の品質管理システムに認められたことに関して、APEC事務局の作業を賞賛した。

運営問題

閣僚は、カナダの主導による議論によって幾つかのメンバーにより起案された非メンバーの参加に関する改訂ガイドラインを支持した。

閣僚は、APEC事務局の、APECのフォーラムの支援についての報告の要請及び標準的な期待を明確化するという分野の作業を歓迎した。

閣僚は、APECが定期的に参加するのが有益である活動のリストに留意した。

閣僚は、出向スタッフのマネージメントに関する改訂ガイドラインを支持した。