データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第13回APEC閣僚会議共同声明

[場所] 上海、中華人民共和国
[年月日] 2001年10月18日
[出典] 外務省
[備考] 外務省仮訳
[全文]

1.オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、中華人民共和国、中国香港、インドネシア、日本、大韓民国、マレイシア、メキシコ、ニュー・ジーランド、パプア・ニューギニア、ペルー、フィリピン、ロシア、シンガポール、チャイニーズ・タイペイ、タイ、アメリカ合衆国及びヴィエトナムの閣僚は、2001年10月17及び18日に上海で開催された第13回アジア太平洋経済協力(APEC)閣僚会議に参加した。APEC事務局も同会議に出席した。東南アジア諸国連合(ASEAN)事務局、太平洋経済協力会議(PECC)及び太平洋諸島フォーラム(PIF)は、オブザーバーとして出席した。

2.中華人民共和国の唐家セン外交部長、及び石広生貿易経済合作部長が会議の議長を務めた。APEC2001のテーマは、「新世紀における新たな挑戦に対応する:参加と協力を通じて共通の繁栄を達成する」であった。会議の議題は、APEC2001の3つのサブテーマを反映して構成された。

・貿易及び投資の促進

・グローバル化とニュー・エコノミーの恩恵の共有

・持続可能な経済成長の促進

3.昨年末来の米・日・欧の減速により、世界及び地域経済の見通しは悪くなっており、いくつかの域内のメンバーは、世界的な需要の減少により相当の影響を受けた。最近の米国へのテロ攻撃は、消費者の信頼のみならずいくつかの産業を損なう恐れがある。好ましいとは言えない世界及び地域経済の環境に直面しつつ、閣僚は、APEC地域における中長期の成長見通しへの自信を確認し、短期の経済的困難に取り組む協力を強化することで意見の一致を見た。この関連で、閣僚は、持続可能で共通の発展を達成する上で、対話と協力を促進することが重要であることを再確認した。更に、閣僚は、現在の経済状況に対するAPECの対応の主要な要素として、合意されたタイムテーブルに従ってボゴール目標を達成することの重要性を強調するとともに、域内の成長にとってより好ましいマクロ経済環境を作り出すために、構造改革や健全な国内政策が重要であることを強調した。

貿易及び投資の促進{前9文字下線}

多国間貿易制度の強化

4.閣僚は、開かれた地域主義へのコミットメント、及び世界貿易機関(WTO)に代表されるような、開かれた、衡平な、透明性の高い、ルールに基づいた多角的貿易体制への強い支持を確固として強調した。

5.閣僚は、2001年中に多角的貿易交渉のWTO新ラウンドを立ち上げるという強固なコミットメントを再確認した。世界的な経済の減速に鑑み、閣僚は、世界貿易体制を再活性化するために、第4回WTO閣僚会議においてラウンドを成功裡に立ち上げることが決定的に重要かつ緊急であるということで意見の一致を見た。

6.閣僚は、新ラウンドの立ち上げに向けたバランスが取れ、かつ充分に広範なアジェンダに合意するにあたって、強い政治的意思と柔軟性を発揮するように関係当事者に要請した。このアジェンダには、更なる貿易の自由化やWTOルールの強化を含み、すべてのメンバー、特に途上メンバーの関心や懸念を反映し、21世紀における課題に取り組み、持続可能な開発との目的を支持するものでなければならない。閣僚は、新ラウンドが既存のWTOルールを含む貿易関連問題に焦点を当てるとともに、他の国際機関の作業と重複しないことを強く促した。閣僚はまた、WTO内部の透明性がすべてのメンバーの参加を促進するであろうということで意見の一致を見た。

7.閣僚は、途上エコノミーの懸念は、特別かつ異なる待遇の効果的な実施、及び途上メンバーのWTOへの完全な参加を促進させるために現在行われているキャパシティ・ビルディング及び技術援助の努力を通じて対処されるべきであると再確認した。

8.閣僚は、ウルグァイ・ラウンドにおける合意及びコミットメントの完全かつ効果的な実施を促進するというAPECの決意を再確認し、新ラウンドの交渉議題を策定する際に、ウルグァイ・ラウンドにおける合意及びコミットメントから発生する実施の問題に関する、メンバー、特に途上メンバーの懸念に適切な考慮を払うようにWTOに要請した。

9.これまでのAPEC首脳宣言及び閣僚声明を想起し、閣僚は、APECが、農業及びサービスに関する合意済みのWTO交渉に積極的かつ建設的に貢献するであろうことを再確認した。

10.閣僚は、包括的な交渉議題を予断することなく、鉱工業品関税及びその他関連分野に関するWTOの作業に引き続き貢献するというコミットメントを再度表明した。

11.閣僚は、WTOのサービスに関する交渉のモメンタムを維持し強化するために引き続きAPECの専門的知見を活用することにつき意見の一致を見た。この点に関して、閣僚は、2002年にも継続する、サービス貿易及び投資における経済・技術協力の自主的自由化、円滑化及び促進についてのAPECメニュー・オプションの2001年の進捗を認識した。閣僚は、この作業が現行のWTO交渉に重要な貢献となることへの期待を表明した。

12.閣僚は、貿易保護主義の水準を高める措置をとることを控えることとした。この目的のため、閣僚は、第4回WTO閣僚会議までの間のAPEC全域での電子商取引への関税不賦課のモラトリアムに対するコミットメントを再確認し、第5回WTO閣僚会議までこのモラトリアムを延長することで意見の一致を見た。閣僚はまた、電子商取引に関するWTOの作業計画の精力的な継続を支持した。

13.閣僚は、途上エコノミーの多角的貿易体制への参加を強化し、既存のコミットメントの実施を向上させ、WTO新ラウンドへの信頼を醸成するための、独自の、実質的、かつ付加価値的な貢献として、APECにおけるWTO関連能力構築についての戦略的計画の実施が重要であることを再確認した。閣僚は、このイニシアティブが、APECにおける技術・経済協力及び貿易自由化への政策コミットメントが相互に補完し合う具体例であると認識した。この点に関し、閣僚は、多くのプロジェクトにおける進捗を賞賛し、計画を支援する12の貿易及び投資の自由化及び円滑化(TILF)プロジェクトが今年資金を受け取ったことに留意した。閣僚は、確立されたTILF承認プロセスに従って、新しいプロジェクトがAPEC・TILF基金の割り当てについて引き続き優先度を与えられることの必要性を強調し、先進メンバー及び開発途上メンバーは開発計画におけるプランを引き続き適切に優先することを決定し、二国間開発機関及び、WTO、アジア開発銀行(ADB)や世界銀行を含む関連する地域及び国際機関が計画の実施に関与することの重要性を確認した。

14.閣僚は、中華人民共和国のWTO加盟交渉の成功裡の妥結に祝意を表明した。閣僚は、中華人民共和国の加盟が来るWTO閣僚会議において完了することを強く促した。閣僚はまた、同会議におけるチャイニーズ・タイペイのWTO加盟承認及びロシアとヴィエトナムのWTO加盟の進展への強い支持を再度表明した。閣僚は、すべての加盟申請中のエコノミーのWTO交渉新ラウンドへの参加を支持した。

貿易及び投資の自由化及び円滑化(TILF){前21文字下線}

個別行動計画

15.APECの貿易及び投資の自由化及び円滑化の目標を達成するにあたっての個別行動計画(IAP)の中心的な役割について再確認しつつ、閣僚は、e−IAPシステムに対し、その機能性とユーザーの利便性を高めるために行われた改良や改善を賞賛した。閣僚はまた、メンバーによるe−IAPシステムを用いた2001年IAPの提出を歓迎するとともに、その準備に際して更なる技術支援の提供の有用性を認識した。閣僚は、新しいe−IAPシステムをビジネス・コミュニティーに公表し、当該システムが民間セクターの要望を満たすよう、民間セクターと共に作業することをメンバー・エコノミーに奨励した。閣僚は、ロシアが今年IAPをピア・レビューのために提出したことを賞賛した。

16.IAPピア・レビューのプロセスを一層強化する必要性を認識しつつ、閣僚は、レビュー対象エコノミーについて調査を実施するためのIAPレビュー・チームの編成を含む、IAPピア・レビューのプロセスを強化する提案を支持した。新たなプロセスは、ピア・レビュー制度の厳格度を増すとともに、ボゴール目標達成に向けてメンバー・エコノミーがより大きな前進を遂げるよう奨励することを目的とするものである。閣僚は、自主性の原則が尊重されるべきであることを確認した。この目的のために、閣僚は、資金承認手続きを通して、TILF特別勘定を含むAPEC基金を使用することを決定した。閣僚は、メキシコと日本の来年IAPを新しいピア・レビューのプロセスに提出するとの申し出を歓迎した。閣僚はまた、他のメンバー・エコノミーに対し、このプロセスへの積極的な参加を要請した。

大阪行動指針(OAA)第1部の見直し

17.ボゴール目標を達成するためのガイドラインを提供する主要なロード・マップとして、OAAは、APECが新たな世界的な挑戦に直面し、新世紀における新しい機会を捉えるのに適切なものであり続けなければならない。このため閣僚は、1995年以降の貿易の自由化及び円滑化の分野における新しい変化と進展を反映して更新されたOAA第1部を支持した。その主要な要素は、ボゴール目標が完全に達成されるまで関税の漸進的引下げを行うことへのコミットメント、貿易への潜在的な歪みを最小化するため最大限可能な範囲で非関税措置の漸進的引下げを行うことへのコミットメント及び、規制されたサービス分野における規制や規制手続きの開発、採用及び適用を公正で透明性の高いものとすることへのサービス分野におけるコミットメントである。閣僚は、更に、APEC・TILFアジェンダへと進むための長期的枠組みを提供する上で、OAA第1部の更新が有する戦略的な意義を強調した。閣僚は、メンバー・エコノミーが2002年以降のIAPを更新する際に、更新されたOAA第1部を考慮に入れることを奨励した。

共同行動計画

18.閣僚は、貿易投資委員会(CTI)の年次報告及びその中に含まれる改訂強化された共同行動計画(CAP)を承認かつ支持した。APECがボゴール目標に向けて軌道に乗っていることを確保する上でCAPが重要であることを強調しつつ、閣僚は、2001年にCAPを実施するにあたりCTIが達成した評価されるべき進捗を歓迎し、いくつかの主要な成果を特記した。それらは、

・非関税措置(NTMs)に関する作業を強化するためのCPAの更なる拡大

・貿易円滑化に関するAPEC原則の完成

・知的所有権に関する新しいCAPの完成

・中期技術インフラ整備計画のレビュー及び改訂の完成、ならびに

・税関手続小委員会(SCCP)・CAP13項目の評価の完成

19.閣僚は、APEC自動車対話の進捗状況報告及び成果を歓迎し、同対話に関する作業の継続を奨励した。閣僚は、自動車セクターにおける現行の改革、経済・技術協力活動に留意した。閣僚はまた、化学ダイアローグの設立に留意し、2002年に第1回化学ダイアローグを主催するというメキシコの申し出を歓迎した。

20.閣僚は、APECメンバーによって行われた改革が顕著な経済的利益を生み出したことを示した報告「APECエコノミーにおける障壁削減:規制・行政改革に関するケース・スタディー」を歓迎した。閣僚はまた、税関手続の簡易化及び調和に関する国際規約の改正議定書を採択することの重要性に留意し、可能な限り早い機会に規約を採択することを奨励した。

21.閣僚は、OAAにおいて想定されているように、2002年作業計画において、CAPにおける目に見える成果を生み出すことに引き続き優先度を与えるようにCTIに指示した。

22.閣僚は、2001年6月9日から15日にかけて中華人民共和国煙台で開催された第2回APEC投資マートの成功を歓迎した。閣僚は、APEC地域への安定した投資フローを確保することの重要性を再度表明した。この点に関して、閣僚は、それぞれ2002年及び2003年に第3回及び第4回APEC投資マートを主催するというロシア及びタイの申し出を歓迎した。閣僚はまた、投資フローの進展についてより良い理解をもたらす合併・買収に関するプロジェクトを歓迎した。

23.貿易の円滑化の利益を強調しつつ、閣僚は、地域内のモノ及びサービスのフローを促進するために2002年にAPEC貿易円滑化原則を実施するための具体的な行動と措置を特定するよう事務当局に指示するとともに、キャパシティ・ビルディングは貿易の円滑化に関するAPECの作業の中心的要素であり続けるべきであることを強調した。

24.APECの貿易及び投資目標を推進するものとしてビジネス関係者の移動の自由の強化が重要であることを認識し、閣僚は、APECビジネス・トラベル・カード制度の進捗に留意するとともに、大多数のAPECメンバーによる同制度への参加につながる中華人民共和国とチャイニーズ・タイペイの同制度への参加を歓迎した。閣僚はまた、真正な通行者に対する簡素化された通関手続きの実施に向けたキャパシティ・ビルディング戦略の進捗について賞賛するとともに、域内の旅行促進システムの新技術標準としての多国間のアドバンス・パッセンジャー・プロセス(APP)の試行を支持した。閣僚は、エコノミーが通関能力を向上させるために、合意された基準を用い、貿易及び投資を円滑化するというAPECの目標に資する、ビジネス関係者の移動に関する非公式専門家グループ(IEGBM)キャパシティ・ビルディング戦略を支持した。

25.閣僚は、APEC域内の競争を強化することの重要性を強調し、規制分野におけるAPECエコノミー間の相互作用を高めるために、この分野における競争を促進する訓練計画を2002年に主催するというメキシコの提案を歓迎した。閣僚はまた、地域及び二国間の投資ルール及び協定に関するワークショップを開催するというメキシコの提案を歓迎した。

26.閣僚は、CTIがこの一年間に行った作業を賞賛し、ジョー・デイモンド氏のCTI議長としての貢献に対して感謝の意を表明した。閣僚はまた、2002年から2年間CTI議長を務めるング・キム・ネオ女史を歓迎した。

グローバル化とニュー・エコノミーの恩恵の共有{前22文字下線}

人材養成イニシアティブ

27.閣僚は、人材養成はグローバル化とニュー・エコノミーの挑戦に立ち向かうための不可欠な手段であると認識し、APECにおける中心的な優先事項の1つとして、その重要性を確認した。閣僚は、APEC人材養成ハイレベル会合で採択された北京イニシアティブを含め、この点に関してとられた様々なイニシアティブを賞賛するとともに、ニュー・エコノミーの文脈で、人材養成に関する更なる作業の機会を提供する方法として、北京イニシアティブを首脳に提出することで意見の一致を見た。閣僚はまた、この目的のため、域内のすべての主要な利害関係者の関与や、政府、ビジネス界、学術・訓練機関の三者間の緊密なパートナーシップの発展を支持した。閣僚は、北京イニシアティブをフォロー・アップするプロジェクトとして「人材養成促進プログラム」を歓迎した。閣僚は、高級実務者に対し、共通の展望を行動に移すため、将来の作業に向けたイニシアティブを、APECのフォーラムでの作業を通じ、然るべく更に発展させ、実行するよう指示した。閣僚はまた、IT訓練の提供における民間セクターと積極的に関わり合いを持つことによる恩恵に留意した。

28.閣僚は、ニュー・エコノミーのもたらす機会がAPEC域内に広く共有されるように、現在「デジタル・ディバイド(格差)」から「デジタル・オポチュニティー(機会)」へ転換する必要があること、及び将来においてそのような必要性が生じることに対する効果的な対応として人材養成調整グループ(HCBCG)による「ニュー・エコノミーのためのAPEC人材養成戦略」の策定における重要な進展に留意するとともに、HCBCGに対し、すべての作業フォーラム及びエコノミーの積極的な参加を得つつ、2002年の第1回高級実務者会合までにその作業を完了するよう奨励した。閣僚は、情報の共有とニュー・エコノミーのための人材養成及びテレワーキングにおけるベスト・プラクティスを含む人材養成プロジェクトの実施を強く促した。閣僚はまた、APECエコノミーにおいて学校をネットワーク化する可能性を探るとのタイの提案を歓迎し、高級実務者会合に対し提案を検討するよう指示した。

29.閣僚は、日本の熊本において開催された第4回APEC人材養成大臣会合の成果を歓迎し、人材養成の目標の達成についての重要な進展を賞賛した。閣僚は、21世紀の労働力が直面する課題に取り組み、生み出される機会へのより大きなアクセスを確かなものにする環境を醸成するため、就中、質の高い基礎教育、技能訓練・再訓練、生涯学習へのアクセス拡大を通じて、ニュー・エコノミーを形成し牽引する要因に対するAPECの理解を高めることを決意した。閣僚は、会合が知識及び技能の開発、積極的な労働市場政策の策定及び労働界やビジネス界の利害関係者の関与に焦点を合わせたことを歓迎した。

30.閣僚は、APECサイバー教育協力コンソーシアム立ち上げの際のAPEC教育基金のリーダーシップに対する感謝の意を表明し、特にサイバー教育協力の分野における人材養成努力のための有用な手段として同基金の可能性を認識した。閣僚は、APECサイバー教育コミュニティの実現に向け、基金とコンソーシアムの作業へのメンバー・エコノミー、ビジネス界、学界その他の利害関係者の更なる参加を奨励した。

経済・技術協力

31.閣僚は、経済・技術協力に関する高級実務者報告及びその勧告を承認した。閣僚は、持続可能な成長及び共通の繁栄の達成に貢献する経済・技術協力の役割を再確認した。閣僚は、経済・技術協力アジェンダを推進し、TILF(貿易及び投資の自由化及び円滑化)と経済・技術協力の補完性を強化する今年の進展を賞賛した。閣僚はまた、経済・技術協力活動を活発にするために、協力関係を醸成し、支持を拡大し、財政手段を講じる目的で、APECが二国間、地域間、国際機関及び金融機関と相互に関わる必要性を認識した。

32.当初より、経済技術協力小委員会は、より効果的で行動志向型のアジェンダを確保するために、経済・技術協力活動の管理・調整において重要な役割を果たしてきた。閣僚は、経済技術小委員会がこの一年間に行ってきた作業を支持し、メーティー・クロングーオ博士の同委員会議長としての素晴らしい貢献に対し感謝の意を表明した。閣僚はまた、2002年からの2年間、ペルーのエラード・エスカラ大使が同委員会議長を務め、フィリピンのロサリオ・マノロ大使が副議長を務めることを歓迎した。閣僚はまた、高級実務者に、APECの経済・技術協力の作業における最も効果的なリーダーシップ及び協調を確保するために必要な調整に関する勧告を次期閣僚会議に対して行うべく経済技術協力小委員会の機能とマンデートを見直すよう指示した。

33.閣僚は、まず人材養成の分野から始める経済・技術協力行動計画(EAP)が進展していることを歓迎し、人材養成分野における協力の機会を実質的に強化し、より焦点が絞られ強化されたアジェンダを促進する同行動計画の役割を確認した。閣僚は、16のメンバーによる経済・技術協力行動計画の提出を歓迎し、継続的かつより広い参加を奨励した。

34.閣僚は、大阪行動指針の第2部(OAA II)及び付属書の改訂の完了を賞賛した。閣僚は、新世紀におけるAPECのロードマップを形成する上でのOAAの役割を再確認した。改訂されたOAA第2部は、1955年以降の新たなイニシアティブや優先事項を組み入れ、将来の経済・技術協力活動への基本的な指針として機能し続けることになる。閣僚はまた、作業部会に対し、将来の活動が改訂されたOAA IIと整合的であるように確保するとともに、進展がモニターできるようSOMに対する年次報告の中に、OAA IIの実施に関する情報を盛り込むよう支持した。

35.閣僚は、産業科学技術産業部会により計画され、マレイシアのペナンで開催された第1回APEC科学技術政策対話の完了を賞賛した。このフォーラムでは、APECエコノミー内の技術革新能力の構築やAPEC内の科学、技術、技術革新コミュニティ間のつながりを強化するための多くの勧告が確認された。このフォーラムの成功に対してなされた学界、ビジネス界その他の非政府グループの参加を通じた貢献に留意し、閣僚は、産業科学技術産業部会(ISTWG)に対し、これらの勧告を実施するにあたり、引き続きこれらの関係者を関与させるよう強く促した。

APEC食料システム(AFS)

36.AFSの3つの分野、すなわち地方インフラの開発、食料品貿易の促進、並びに、食品生産及び加工における技術的進歩の普及に対応することの重要性を再確認し、閣僚は、AFSの実施に関するSOM報告を歓迎し、支持した。閣僚はまた、高級実務者に対してAFS実施のモメンタムを増加させる方法を更に検討するよう求めるとともに、SOMに対してAFSの勧告の実施における進捗について年1回報告するよう要請し、事務当局に対して2000年及び2001年のABACのAFS分野に関する勧告に如何に対応するか検討するよう指示した。

バイオテクノロジー

37.閣僚は、バイオテクノロジー製品の導入と使用の際の導入と使用の際のリスク評価及びリスク管理に対する透明かつ科学的根拠に基づいたアプローチ、技術協力、並びに、この分野における新技術及びキャパシティ・ビルディングに関する情報交換の重要性を再確認した。閣僚は、このテクノロジーの潜在的利益の実現を促進するために、バイオテクノロジー製品に対する消費者の意識、信頼及び理解を高めるためのエコノミーの努力が重要であることを認識した。

38.閣僚は、農業バイオテクノロジーに関するSOM報告を支持し、高級実務者に対し、来年に進捗状況を報告するよう求めた。閣僚は、農業バイオテクノロジーに関する政策レベルのダイアローグを開催するというイニシアティブを歓迎するとともに、高級実務者に対して、2002年に進捗状況につき報告するよう要請した。

感染症

39.感染症によりもたらされる挑戦を認識しつつ、閣僚は、HIV/AIDS及びその他の感染症に対処するためのAPEC戦略を支持し、1年足らずで戦略を構築したISTWGの努力と貢献を賞賛した。閣僚は、APEC関連フォーラム、特にISTWGに対し、電子ネットワーク、サーベイランス、突発的異変への対応、キャパシティ・ビルディング、分野横断的連携、政治・経済におけるリーダーシップの6部門において戦略に沿った行動をとるよう求めた。閣僚はまた、APECヘルスケア・サービス・アクレディテーション・プロジェクト及び感染症サーベイランスに関する訓練を行う計画がマレイシアのペナンにおけるISTWGの第21回会合で承認されたことに留意した。閣僚は、APEC感染症戦略に対するこれらイニシアティブを歓迎し、成果をSOMに報告するようISTWGに対し要請した。

市場機能の強化

40.閣僚は、APECの貿易及び投資の自由化及び円滑化プロセスを補完する、市場機能の強化におけるメンバー・エコノミーの多大な努力を賞賛した。ビジネスにとって、透明性が高く、好ましく、予測可能な政策並びに法的及び規制環境の進展が重要であることを認識して、閣僚は、

・規制改革に関するペルー主導のOECDとの共同イニシアティブにおける進捗に留意するとともに、シンガポールにおけるイニシアティブ・オープニング会合により生じた成果を歓迎し、9月19日及び20日に北京にて開催されたイニシアティブの第1回APEC−OECD共同規制改革ワークショップの成果を歓迎し、第2回ワークショップを主催するメキシコを賞賛した。

・オーストラリア・日本・ペルー主導の経済法制度強化に関する調整グループの作業、とりわけ経済法制度強化のためのオプション・メニューの完成に留意し、協力フレームワークに基いた、キャパシティ・ビルディング及び組織構築、会社法、競争政策における協力プロジェクトの早期実施及び進展を要請するとともに、商法、企業法、競争法の策定と適用における個人、組織、政府機関の能力及び技能構築に向けた継続的な努力を強く促した。

・中小企業及び新規事業の支援分野に関する協力プログラムにおける進展に留意し、日本主導によるエボルビング・コーポレーション・イニシアティブに基づくセミナーの開催、専門家の派遣及び関連活動からなる協力プログラムの進展を歓迎した。

・PECCにより開発された良い企業統治のための指針を歓迎し、APECメンバーに対して、自主性に基づきこのガイドラインを実施することを奨励した。

・チャイニーズ・タイペイにおいて2001年8月2日及び3日に開催されたシンポジウムの主要な成果である起業家及び新興企業のためのベスト・プラクティスの指針を歓迎し、関連するAPECフォーラムに対して、将来の作業においてこの指針を適用することを奨励した。

・競争と規制改革を促進するためのAPEC原則の実施のためにキャパシティ・ビルディングが重要であることを認識し、訓練プログラム等のこの分野における更なる作業を歓迎した。

ニュー・エコノミーに関する事項{前15文字下線}

E−APEC

41.情報技術革命は、世界及びAPEC地域を21世紀へ転換する主要な要因の一つである。閣僚は、情報通信技術とその応用がAPEC地域の人々の福祉及び生活水準の向上をもたらす大きな潜在性に対する信頼を再確認した。閣僚はニュー・エコノミーの進展、情報通信技術革命及びその応用の重要性を強調した。

42.首脳に指示された通り、今年のニュー・エコノミーのための行動指針を発展・拡大させることにより、長期的かつ前向きで行動志向的なe−APEC戦略が策定された。閣僚は、e−APECタスク・フォースの努力を賞賛するとともに、来るべきデジタル社会を視野に入れつつ情報通信技術の発展を促進させるというAPECの決意を示すe−APEC戦略を支持した。閣僚は、メンバーに対し、情報通信技術革命の恩恵を最大化し、情報格差(デジタル・ディバイド)に対処し、出現しつつあるニュー・エコノミーがもたらす機会を活用するべく、e−APEC戦略を実施するために具体的かつ協調的な行動をとることを強く促した。

43.e−APEC戦略は以下の3つの柱からなる。

市場構造及び制度の強化のための環境整備

閣僚は、エコノミーに、持続可能で健全なマクロ経済の政策枠組み、持続的構造改革、効果的な競争制度、良き金融及び企業ガバナンスなどを促進するための適当な政策及び行動をとること、並びに持続可能な成長を促進するための行動をとることを強く求めた。

インフラ関連投資及び技術開発のための環境整備

閣僚は、エコノミーに、競争的な投資及び有益な技術に対する幅広い理解を獲得するための政策環境の整備を奨励した。

人材養成及び起業家精神開拓の強化

閣僚はエコノミーに、人材養成の向上と起業家精神の促進のための行動をとることを強く求めた。閣僚はまた、エコノミーに、革新志向的な政策を策定し、ニュー・エコノミー活動への中小企業の参加を促進することを奨励した。

44.閣僚は、メンバーエコノミーにe−APECのビジョンを現実とするために具体的行動をとることを強く求めた。これは、ニュー・エコノミーの恩恵の普及、経済発展のモメンタムの強化、地域のみならず世界経済の再活性化を間違いなく促すであろう。閣僚は、メンバー及び関連APECフォーラムに対して、幅広い協力と共同作業を通じてe−APEC戦略を実施するよう奨励した。この点に関して、閣僚は、高級実務者に対して、財務大臣代理と協力して、戦略の実施のプロセスを促進及び監督するとともに、責任を有する閣僚に来年のメキシコ会合において成果を報告するよう指示した。閣僚は、技術開発センターのネットワーク構築における進展に関する報告を歓迎し、メンバーによる完全な参加を奨励した。

電子商取引

45.閣僚は、APEC2001年電子商取引実績調査の完成も含め、APECのサブフォーラム内外における電子商取引関連活動の促進と調整における、電子商取引ステアリング・グループによってもたらされた進捗に留意し、歓迎した。この点に関し、閣僚は、勧告されたAPECにおける電子商取引に関する作業計画を支持し勧告した。閣僚はまた、電子商取引ステアリング・グループによるオンライン消費者保護のためのAPECガイドライン強化の提案を支持し、2002年中のオンライン・プライバシーと電子商取引に関する官民合同フォーラムの開催提案に留意した。

46.電子商取引の発展の促進における官民両セクターの役割の違い及びこの分野における官民両セクター間の連携の強化の必要性に留意し、閣僚は、APEC電子商取引ビジネス・アライアンスの設立提案を承支持した。閣僚はまた、電子商取引の活用におけるメンバー・エコノミー間の格差を是正すべく、電子商取引分野における経済・技術協力の強化に関する提案を歓迎した。

47.閣僚は、いくつかのメンバー・エコノミーにより提出されたペーパーレス貿易に関する個別行動計画を歓迎し、他のメンバー・エコノミーにペーパーレス貿易個別行動計画の実施に参加するよう奨励し、2002年の貿易担当大臣会合において進捗状況を報告するよう高級事務者会合に指示した。閣僚はまた、「ペーパーレス貿易:APECへの利益」報告を歓迎し、APECメンバーに対し、ペーパーレス貿易への規制・制度上の障壁の削減を奨励した。

48.閣僚は、世界的な電子商取引の成長、及び法的・政策的枠組みの重要性を認識した。いずれも、ビジネスと公共の信頼を確保し、不要な制限的貿易障壁を回避しつつ、貿易の新しい機会を創出するために電子商取引がその潜在力を十分に発揮できるよう、国家の政策目的を尊重するものである。

他の現行及び新規のイニシアティブ

49.閣僚は、先行エコノミーより提出されたe−APECの活動に関する様々な現行及び新規のイニシアティブについての進捗状況の報告を歓迎した。閣僚は、チャイニーズ・タイペイによる「デジタル・ディバイドのデジタル・オポチュニティへの転換」に関するプロジェクト・フェーズIの実施を歓迎し、フェーズIIの実施を奨励した。閣僚は、2002年に、電子政府設立のためのAPEC協力の強化に関するハイ・レベル会議、及びIT時代における障害者の地位強化に関するセミナーを主催するとの韓国の申し出を歓迎した。

50.閣僚は、2005年までにインターネットへのアクセスを3倍にし、2010年までにメンバー内のすべてのグループが、個人的に、又はコミィニティを基盤としたサービスを通じてインターネットへのアクセスを確保するとのコミットメントを再確認した。閣僚は、電気通信情報作業部会(TECWG)が、デジタル・ディバイドの行動のためのブループリントを強化したことを賞賛し、その完成と実施を求めた。

51.閣僚は、普遍的なアクセス、市場の自由化、デジタル・オポチュニティの実現、及び情報インフラストラクチャーとネットワークのセキュリティに向けたAPEC地域内の政策環境整備のためのITの開発と普及に関する電気通信情報作業部会の努力と政策的な結果を歓迎した。閣僚は、ITの開発や普及における民間セクターの重要な役割を認識し、我々の能力をデジタル化かつ繁栄した将来に適応させるにあたり政府の有効なリーダーシップとともにメンバー及びすべての利害関係者間での強化された協力を奨励した。この点に関し、閣僚は、e−APECタスク・フォース、電気通信(TEL)、電子商取引(ECSG)、人材養成(HRD)、中小企業(SME)に関する各作業部会に対し、APEC内の様々な分野におけるe−APEC活動を前進させる努力を継続し、域内でのIT開発における協力を強化するよう指示した。

中小企業の開発

52.閣僚は、「新世紀、新挑戦:中小企業開発のための技術革新と環境」というテーマの下、上海で開催された第8回中小企業大臣会合の成果を歓迎した。閣僚は、経済の回復と長期的な持続可能な経済成長を促進する上での中小企業の重要な役割と重要性を認識した。閣僚は、メンバー・エコノミーに対し、中小企業の発展につき中小企業大臣会合において勧告された主要な戦略を考慮し、中小企業が直面する障害を徹底的に検討し続けるよう求めた。確認された勧告は、協力を通じた技術革新の促進、中小企業発展のための金融の円滑化、及び環境の改善である。

53.経済的に不確実な時代にあって、閣僚は、小規模及び零細企業の成長と発展を支える努力を倍増する必要性を認識した。閣僚は、アジア太平洋地域において中小企業の利益のために人材養成、及び情報の共有における協力強化の重要性を認識し、先行エコノミーによるAPEC中小企業カウンセラーの訓練と認定、及び中小企業のためのビジネス・パートナーシップ・イニシアティブの下での商業的連携の進展のための現行の中小企業プログラムを更に発展させる努力を歓迎した。閣僚は、2002年にロシアで実施される「技術革新管理技術についての国際協力フォーラム」を歓迎し、すべてのエコノミーによる積極的な参加を奨励した。APECでの中小企業従事者に利便を図る中小企業政策立案者にとっての利益を認識し、閣僚はまた、「APEC中小企業担当政府職員自主的訪問計画」を支持し、アメリカ合衆国に対し、この計画を来年の春に開催し、結果を2002年8月の第9回APEC中小企業大臣会合に報告するよう要請した。

分野別大臣会合

54.閣僚は、9月のアメリカでのテロリストによる攻撃後いくつかのメンバーの大臣が出席を取り消したことによる第3回運輸大臣会合の延期に関してペルーから提出された報告に留意し、2003年3月に同会合を主催するとのペルーの申し出を歓迎した。

55.閣僚は、エコノミーが運輸作業部会のための活動計画を実施するのを支援するべくなされた進展を歓迎した。閣僚は、現行の運送の安全及び保安における努力に注目し、テロリズム、海賊行為、及び武装強盗の抑圧のため国際的な協力を促進する努力を支持した。

56.閣僚は、2002年に第1回APEC海洋関連大臣会合を主催するとの韓国の申し出を歓迎し、同会合が持続可能な海洋及び漁業資源の開発における協力の強化に資することを認識した。

57.閣僚は、APECの分野別大臣会合におけるイニシアティブの実施に関するレビューが、APECプロセスの全体的な効率性を確保するのに重要であることを確認した。閣僚は、事務当局の努力を讃え、APECの各フォーラムに対して、様々な分野別大臣会合の決定やイニシアティブを引き続き実施すること

を促すよう実務者に指示した。

持続可能な経済成長の促進{前12文字下線}

経済委員会報告

58.閣僚は、2001年経済委員会報告を支持し、その中の4つの中心となるプロジェクトである(1)2001APECエコノミック・アウトルック、(2)ニュー・エコノミーとAPEC、(3)TILF(貿易及び投資の自由化及び円滑化)の恩恵、(4)KBE(知識集約型経済)提言の実施計画の進展を歓迎した。閣僚は、特に現在の世界的な経済の減速に直面し、メンバーが長期的な経済活力を培おうと集団的に決意している現状において特に時宜を得た、「2001APECエコノミック・アウトルック」の特に金融の発展と経済成長についてのテーマ別研究を歓迎した。閣僚はまた、「ニュー・エコノミーとAPEC」のレポートが、ニュー・エコノミーの発展しうる環境を作り出すための概念的な枠組みや有用な要素を提供したことにも留意した。閣僚は、より開かれた自由な貿易及び投資環境の整備を強調した「TILFプロジェクトの利益」の重要性を認識した。閣僚は、「KBE提言」の継続的な実施を求め、経済委員会に対し、KBEに係る作業の継続を指示した。

財務大臣プロセスとの相互作用

59.閣僚は第8回APEC財務大臣プロセスの成果を歓迎し、2001年の「構造改革の推進を通じた安定的で公正な経済成長の促進」という政策テーマのもとでの財務大臣による努力と貢献により勇気づけられた。閣僚は、適当な政策を時宜を得た形で実施し、長期的に地域のより強いマクロ経済の基礎を構築するのに果たす財務大臣のプロセスの重要な役割を認識した。

60.閣僚は、作業プログラムが調整され、相互に補完しあうことを確保することを目的とした、2001年の財務大臣プロセスとSOMプロセスとの間の連携及びコミュニケーションの強化の実施を歓迎した。現在の世界的、地域的な経済的下降に鑑み、閣僚は、情報の共有と協調を促進するため定期的に財務大臣プロセスとSOMとの間のプロセス間ブリーフィング及び意見交換の継続の重要性を強調した。

61.閣僚は、中華人民共和国によって提案された、特にAPEC地域における開発途上エコノミーのために金融市場運営の分野におけるキャパシティー・ビルディングの強化を目的とするAPEC金融と開発プログラムを歓迎した。

62.閣僚はまた、APEC財務大臣のために準備され、受け入れられた報告「より良い企業会計及び財務報告へ向けて」を歓迎し、メンバー・エコノミーに対して、健全な法的、専門的かつ規制的なインフラストラクチャーによって支えられた、健全な財務報告、会計、監査、及び執行手続きの重要性に対する認識を高めるよう奨励した。

危機が社会に及ぼす影響

63.閣僚は、APECソーシャル・セーフティー・ネット(SSN)の強化に関する強化に関するアドホック作業部会の勧告を歓迎した。閣僚は、財務大臣によって作成され、人材養成作業部会(HRDWG)によってなされた研究の中にあるSSN勧告を実施するためのキャパシティー・ビルディングに第一に焦点をあてるであろうAPEC・SSN・キャパシティー・ビルディングネットワークの設立を支持した。閣僚は、SSNに関するキャパシティー・ビルディング・の特定の問題に取り組むための国際会議を個々のあるいは複数のエコノミーが開催する可能性を歓迎した。

エネルギー

64.エネルギー安全保障は、経済発展と地域の繁栄にとって重要な問題である。米国におけるテロ攻撃を受けて、閣僚は、エネルギー作業部会(EWG)にAPECの全メンバーに対して、供給可能なエネルギーの安全及び信頼性の強化のための作業を、原油備蓄、エネルギーの効率性向上や省エネの促進、及び需要に見合うエネルギー供給の安定性の改善に関する情報や経験の交換といった手段を通じて、強化することを指示した。国際原油市場の変動によって経済にもたらされるリスクを回避するために、更なるエネルギー技術の開発、移転、応用、及び運用と、多様でかつ効率的な供給ミックスの促進を要請した。閣僚はエネルギー安全保障イニシアティブにおける進捗を歓迎し、このイニシアティブのプログレス・レポートの中の具体的な作業の実施をEWGに指示した。閣僚はまた、エコノミーに対してEWG作業計画へのより大きな民間セクターの参加を奨励するよう、またEWGに対してEWGビジネス・ネットワークと緊密に協力するよう要請した。閣僚は、高級実務者に対して、このイニシアティブにおける進捗につき2002年に報告するよう要請した。

コミュニティーとの相互作用{前13文字下線}

ABACとの対話

65.閣僚は、首脳へのABAC報告「市場開放、能力構築、全員参加による発展の共有」を歓迎した。閣僚は、APECエコノミーに対し(1)貿易及び投資に関するボゴール目標に向けた進捗プロセスを加速し、(2)WTO新ラウンド立ち上げに対する強い支持を表明し、(3)経済成長を刺激し、金融改革を加速化させるための断固たる措置をとり、(4)市場開放、キャパシティー・ビルディング及び完全なる参加をあわせたグローバル化へのバランスのとれたアプローチをとるよう要請する首脳への4つの主要なメッセージに留意した。地域及び世界的な経済統合の拡大と深化に照らし、閣僚は、ABAC報告で示された4つのメッセージが新世紀におけるAPECプロセスに貢献することに留意した。閣僚は、中小企業を含むビジネス界との定期的な協議によって、APECの作業が引き続き焦点が絞られたものであり、民間企業に対し実用的な有用性を持つことが確保されるであろうことを認識した。閣僚はまた、APECのビジネス界との関与やコミュニケーションにおけるBizAPECウェブサイトの重要性に留意した。

青年

66.閣僚は、極めて成功裡に開催されたAPEC青年フェスティバル、青年指導者・起業家フォーラムを準備するにあたり、中華人民共和国及びカナダが発揮したイニシアティブを賞賛し、民間セクター、ニュー・エコノミーと人材養成の関与に関するAPECの作業とこのイベントとの補完性につき特に歓迎した。閣僚は、APECのアジェンダとの補完性が青年を対象とする将来のAPECプロジェクトの主要な特徴となることを奨励した。

67.閣僚は、2002年のAPEC青年フェスティバルを準備するというメキシコの申し出を賞賛した。

女性の統合のための枠組

68.閣僚は、ジェンダー統合に関するアド・ホック・グループ(AGGI)の過去2年間にわたる業績を賞賛し、APECにおける女性の統合のための枠組みの実施に関する高級実務者会合の報告を支持した。閣僚は、AGGIがその作業を完成できるようにするため、期間を2002年末まで延長することを含むSOMの勧告を支持した。

69.閣僚は、APECの活動への女性の参加の重要性及び右に対するコミットメントを強調した。閣僚は、事務当局及びAPECフォーラムに対し、彼らの作業に女性が参加し、そこから恩恵を得ることを引き続き確保するよう指示した。閣僚は、APECにおけるジェンダー主流化イニシアティブの持続可能性を確保するための監視メカニズムの開発を完了することを事務当局に作業として課した。

70.閣僚は、2002年に第2回女性に関する閣僚会合を主催するというメキシコの申し出を歓迎し、メンバーに対し会合準備期間中及び会合開催期間中の完全な参加を確保するよう強く促した。閣僚は、女性のためのITキャパシティー・ビルディングを通じた中小企業及び零細企業の育成に関する調査プロジェクトの提案に留意した。

広報及びアウトリーチ戦略

71.グローバルな統合への動きは、APECコミュニティにより高い生活水準及びより良い社会福祉への最大の機会を提供した。閣僚は、グローバル化の恩恵が全てのAPECコミュニティにより共有され、より良く理解されるようにすべきであることを再確認した。この関連で、閣僚は、「グローバル化と貧困:転換期」に関する報告を歓迎した。閣僚はまた、ABACがアウトリーチを改善する意図を表明したことに留意するとともに、民間セクターとの生産的なパートナーシップ及び協力関係を醸成するための継続的な努力を奨励した。

72.この関連で、閣僚は、APECがその作業において適当なコミュニティの関与及びインプットを確保することのAPECにとっての重要性を強調する「APEC統合及び国民へのアウトリーチ及び通信」に関するSOMの報告を受け入れ、「APEC広報戦略」を支持した。これに関連し、APEC全体としてのアウトリーチ活動を支援するための資源を提供し、また、APECの作業と開放された市場の利益を説明する国内プログラムを奨励するとの各エコノミーのコミットメントを歓迎する。閣僚は更に、関連APECフォーラム対し、その作業に貢献し得る外部のグループを特定し、これらグループの参加を招請するよう指示した。閣僚は、現行の政策原則の枠内で、非メンバーの参加に関するガイドラインの運営と管理を簡素化する可能性の検討を更に進め、明年結果を報告するよう、SOMに対し指示した。

運営問題{前4文字下線}

2002年予算

73.閣僚は、予算及び運営問題に関するSOM議長の報告を支持し、メンバー・エコノミーからAPEC中央基金に対する合計3,338,000米ドルの2002年拠出及び8,576,395ドルの2002年予算を承認した。

74.閣僚は更に、高級実務者に対し、特に報告義務案件及びプロジェクト関係手続きの分野における更なる作業の着手及びAPECフォーラムに対し事務局に通常期待される支援の内容の明確化を通して、APECのすべてのフォーラムにおける効率性の向上及び時間の有効活用に向けた作業を継続するよう指示した。また、閣僚は、高級実務者に対し、次回閣僚会議において進捗状況を報告するよう指示した。

APEC事務局

75.閣僚は、APEC事務局長の報告を留意し、歓迎するとともに、Zhang Yan大使及び事務局スタッフのAPECプロセスへの尽力及び貢献に謝意を表明した。閣僚はまた、シンガポール政府が2002年完成予定の新しい事務局オフィスの建設という寛大な協力に謝意を表明した。

その他の事項{前6文字下線}

オブザーバーによるステートメント

76.閣僚は、ASEAN事務局、PECC及びPIFによるステートメントに留意した。

APEC2002

77.閣僚は、メキシコのロス・カボスにおける第14回APEC閣僚会議及び第10回APEC首脳会議に向けた準備に関するブリーフィングにつきメキシコに対し謝意を表明した。優先事項のとりあえずのリストには、特に以下が含まれている。

・適当な貿易及び投資、マクロ経済、金融ビジネス円滑化に関する政策を含む、ニュー・エコノミーのための成長政策

・中小企業及び零細企業の振興を含む、経済発展の恩恵を享受するための能力開発

・若者及び女性のより多くの参加を得るようにすること、グローバル化の恩恵の伝達及びAPECの機能の改善のための努力を強化することを含め、APECを我々により関わりのあるフォーラムとすること

全体の枠組みは、経済成長及び発展の恩恵の拡大という我々の共通の展望を実現することである。

将来の会合

78.閣僚は、2003年から2005年の閣僚会議が、それぞれタイ、チリ及び韓国で開催されることに留意した。