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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第5回APEC閣僚会議共同声明

[場所] シアトル
[年月日] 1993年11月19日
[出典] 外交青書37号,224ー237頁.
[備考] 仮訳
[全文]

1.オーストラリア,ブルネイ・ダルサラーム,カナダ,中華人民共和国,香港,インドネシア,日本,韓国,マレイシア,メキシコ,ニュー・ジーランド,パプア・ニューギニア,フィリピン,シンガポール,チャイニーズ・タイペイ,タイ及び米国の閣僚は,1993年11月17日から19日までのワシントン州シアトルで開催された第5回アジア・太平洋経済協力(APEC)閣僚会議に参加した。東南アジア諸国連合(ASEAN)中央事務局,太平洋経済協力会議(PECC)及び南太平洋フォーラム(SPF)がオブザーバーとして出席した。APEC事務局員も出席した。

2.本件会議は,米国のクリストファー国務長官が議長を務めた。

3.クリストファー国務長官は開会の辞において,アジア及び太平洋域内での貿易と投資は,人的及び商業的な関係の新しい綱目を織り出しつつあると述べた。同長官は,このようなアジア・太平洋のネットワークを発展させる上で,APECは極めて重要な役割を果たし得ることを示唆した。同長官は,また,APECの発展は,域内でのより開かれた貿易と投資を促進し,地域的な解決を必要とする諸問題についての協力を進め,地域のインフラストラクチャを改善するAPECの能力に依拠していることを強調した。

4.閣僚は,11月20日シアトルで開催されるAPEC経済非公式首脳会議を大きな期待を持って注目した。閣僚は,本件会合が,21世紀に向けてのアジア太平洋地域についての共通の展望を明確に述べ,また経済的結びつきを更に発展させるまたとない機会を提供するものであることに同意した。

5.閣僚は以下のような問題につき討議した。

○ 賢人会議報告

○ 経済動向と問題点

○ 貿易・投資問題

○ APEC作業部会

○ 参加問題

○ 機構問題

6.タイのプラソン外務大臣は,APECの前議長及びASEAN常任委員会の現議長として,バンコック閣僚会議からの進捗状況について満足の意を表明した。APECの優先すべき課題が,ウルグァイ・ラウンドの目標期日までの成功裡の終結の追求と,APECにおける技術協力と貿易促進の一層の強化であると述べた。同外務大臣は,地域的貿易自由化はGATTの諸原則と開かれた地域主義に整合的で,メンバー間の経済の発展段階の違いについての認識を十分踏まえた協議を通して達成されなければならないと強調した。APECは,そのコンセンサスに基づく,かつ柔軟性に富んだ特性を保持していかねばならない。この特性は、今後ともAPECの基本的長所であり続ける。

賢人会議報告{前6文字下線}

7.閣僚は,アジア・太平洋地域の現状及び見通しを評価し,同地域における開かれた貿易のための長期的展望を明らかにし,及び同展望を実施するための行動計画を提案した賢人会議の今回の報告に対し深甚なる感謝の念を表明した。賢人会議議長であるフレッド・バーグステン博士は,全会一致の報告を提出したが,同報告は,APECは地域の活力の維持に対する三つの脅威,即ち(イ)グローバルな多角的貿易体制のほころび,(ロ)内向きの地域主義の進展,(ハ)アジア・太平洋地域内の分裂の危険,に対処するため,協力を促進し,拡大しなければならないことを強調している。賢人会議は,APECに対し地域の及びグローバルな貿易自由化,貿易促進プログラム,技術協力,及びAPECの機構化の四つの分野でイニシャティブを取るよう勧告した。

8.閣僚は,地域の開かれた貿易・投資及び経済発展に関する同報告の大胆な展望は,将来の地域協力にとり重要な基礎と触媒の役割を提供する旨指摘しつつ,同報告の大まかな趣旨及び方向性を暖かく歓迎した。閣僚は,広範な討議の中で,賢人会議のアジア・太平洋地域の直面する経済面での挑戦に関する活発な討議の促進への貢献に留意し,APECの経済の持続的経済成長にとって開かれた多角的貿易体制の強化が中心的価値を有することを再確認し,APECの貿易と投資の促進及び技術協力を更に加速し,拡大するよう要請し,地域のグローバルな貿易及び投資の自由化のための手段としてのAPECの役割を強化したいとの希望を表明した。閣僚は,また,閣僚は,また,賢人会議の展望がAPECの協議及びコンセンサス形成へのコミットメントを反映し,アジア・太平洋地域における経済的関係の強化及びその一体感と地域社会意識の高まりを反映していることに留意した。閣僚は,APEC事務局に対し,この報告を幅広く配布するよう指示した。また,閣僚は,賢人会議メンバーに対し同報告につき経済界,学界,一般の人々とも討議すること,そしてAPECメンバーがかかる作業過程を奨励したらどうかと示唆した。

9.閣僚は,賢人会議の勧告に対処する為のいくつかのアプローチを討議した。閣僚は,特にそれらの勧告のうち,進行中の作業に密接に関連しているものは早急に実施すること,ウルグァイ・ラウンドの結果と関係するものは追加的な研究と検討を必要とすること,より長期的に貿易自由化に関連するものは高級実務者の助言を受けて,賢人が更に練る必要があることに留意した。

10.上記を踏まえ,閣僚は,また,高級実務者に対し,貿易の自由化及び促進,技術協力,APECの機構及び意思決定過程の開発に関する賢人会議勧告を実施するための実践的プログラムを作成するよう指示した。閣僚は更に,高級実務者に対し,APEC地域及び全世界の開かれた貿易を進めるための戦略及び作業計画を作り,右目的を達成するためのメカニズムを見出し,次回閣僚会議に報告するよう要請した。

11.閣僚は,賢人会議に対し,勧告された長期展望の実施方法につき高級実務者の助言を踏まえ更に具体的な提案を提出するよう要請した。閣僚は,1994年のインドネシアでの会議でこれらの提案につき検討したいと考えている。

経済動向及び諸問題{前9文字下線}

12.閣僚は,個々のメンバーの政策及び地域的な協力の提唱の双方を策定していくにあたり,適切な経済分析が果たす中心的役割を強調した。当該地域において,増大している相互依存が共通の目的及び向上心をもたらすと共に,APECメンバーの間に共通の目的意識,及び地域社会の精神を育んでいる。それ故に,経済動向及び諸問題に関する特別部会の作業は,地域全体に亘り開かれた貿易及び投資を促進するために,また,我々全ての住民の経済的福祉を増進するために肝要である。閣僚は高級実務者に対し,次回閣僚会議前に同部会を経済委員会に改組する可能性につき探究するよう指示した。

13.閣僚はタイに対し,閣僚の検討の為に準備された経済展望に関する優れた報告につき謝意を表した。閣僚は,地域の持続的な経済成長に関する見通し及びインフレーションの短期的展望を含めて当該報告書において分析されている重要問題を議論した。閣僚は,一部のメンバーにおけるインフラストラクチャ面での制約要因の増大,また,一部のメンバーにおける労働市場の変化等,当該報告書において指摘されている最近生じてきた幾つかの経済問題も検討した。

14.閣僚は,また,2000年における当該地域の展望に関する日本の報告に含まれる貴重な分析を歓迎した。閣僚は,貿易及び投資の自由化,人材の開発,並びに環境及びエネルギー面での課題への対応等の,当該報告書中の主要な問題の分析を継続することの重要性に留意した。

15.閣僚は,APECメンバー間において,主要な経済統計を定期的に交換することを開始する提案を支持した。これは政策形成を容易にし,地域の経済発展に関する今後の閣僚の討議を充実させるものである。

16.閣僚は当該特別部会の将来活動についての報告を支持し,次の目的で提案のうちの一つ又はそれ以上につき作業を進めるよう高級実務者に指示した。即ちこの地域全般にわたる投資の流れに関する研究を評価すること,貿易自由化と民営化の相互関連を調査すること,健全なエネルギー及び環境政策をとりつつ経済成長を持続させる手段を研究すること,より長期的には,産業の国際的連関に関する突っ込んだ深い分析を実施するとの妥当性を探究することである。閣僚は,また,高級実務者に対し,1994年の閣僚会議において使用するために,地域経済に関する短期及び中期の経済展望を準備するように指示した。

貿易・投資問題{前7文字下線}

17.閣僚は貿易及び投資の自由化がAPECの性格及び活動の要であることを確認した。従って,GATTと整合した形で多角的貿易体制を強化し,地域的又グローバルな貿易を拡大し,投資のルールと手続きを改善することが,APECの中心的な目的である。ウルグァイ・ラウンドは12月15日までに妥結せねばならない。今後,閣僚はこの目的を達成するために必要な政治的意思を行使することを決意した。このために,閣僚は,ウルグァイ・ラウンドの早期かつ成功裡の終結を求める断固たる声明に合意し,また,追加的かつ具体的な貿易自由化措置(別添1)を実施する用意があることを示すことで,この目的へのコミットメントを明らかにした。APECメンバーは,他のウルグァイ・ラウンド参加者に,同ラウンドの成功裡の終結のための一層の貢献を行うよう求める。

18.閣僚は,APECのGATT非加盟メンバーがGATT締約国(地域)となり多角的貿易体制の強化に一層の貢献を行おうと務めていることに対する強い支持を表明した。

19.閣僚は,高級実務者によって合意された,地域貿易自由化に関するAPECの非公式部会(RTLグループ)の報告書を歓迎するとともに,多角的及び地域的貿易に関する重要な政策問題並びに貿易及び投資に係るAPECの行動項目の更なる発展について,APEC内の対話を継続することに関する同非公式部会の勧告を支持した。貿易政策対話において,閣僚は,特に,ウルグァイ・ラウンドに満足できる結果をもたらすためのモメンタムを維持すべく,また,サブ・リージョナルな貿易取極及びこれら取極のAPECの全般的な目的への貢献に関するよりよき理解を醸成するために,APECが果たした効果的な役割に留意した。

20.閣僚は,APECメンバーが市場指向的なこの地域のダイナミズムに効果的な支持を与えることが必要不可欠であることを強調した。この関連で,閣僚は関税データへのアクセス改善,貿易への行政的障壁の削減,税関手続きの合理化,基準認証問題への多様なアプローチの調和及び投資の流れの奨励を目的としたRTLグループの提言を支持した。閣僚は,通関の円滑化,APEC投資案内書の出版,地域内の投資に関する民間部門の意向の調査,APEC税関手引書の出版,APEC税関討論会の主催に関する大きな進展を歓迎した。APECのこの分野での重要な作業は,RTLグループに代わる新たな貿易投資委員会によって更に促進されるであろう。

21.閣僚は,「APEC貿易投資枠組み宣言」及び新たに設立される貿易投資委員会の最初の作業計画(別添2)を強く支持し採択した。同宣言は,APECメンバーを政策と促進の両方の問題に従事させることにより貿易及び投資におけるAPECの役割を著しく前進させる。同宣言は,APECの性格を更に明確化し,経済活動を拡大し,この地域全域において,サービス,資本,投資及び技術の流れを促進する重要な手段として役立つであろう。

22.閣僚は,ウルグァイ・ラウンドの結果及び同ラウンドのこの地域にとっての意義を検討するために,貿易問題を担当する閣僚会合をよびかけた。閣僚は,ウルグァイ・ラウンド後のこの閣僚会合が,地域的かつグローバルな貿易自由化のための次のステップを検討するよう慫慂した。

各種作業計画{前6文字下線}

23.地域の成長及び発展を支援するとのAPECの役割は地域内の経済相互依存の拡大に起因する。10の作業部会はAPECのこの地域の発展及び繁栄への貢献努力の不可欠の一部である。地域の統合及び協力に対する現代の電気通信及び情報技術の決定的重要性,この地域の最大の産業としての旅行業の固有の役割,UNCED(国連環境開発会議)に応え地域協力を強化するための海洋資源保全に関する他の機構との作業の緊要性を認識し,閣僚はこれらの問題(別添3−5)に関し夫々の宣言を発出した。

24.閣僚は,展望及び政策に関する声明を称賛及び承認し,作業部会にこれらの声明の目的を実現するための努力をするよう指示した。閣僚は,「APEC作業部会に関する統合報告」を承認した。

25.閣僚は,韓国の「APEC職業訓練計画」及び「APECテクノマート」創設の提案を歓迎し,人材養成及び投資・産業技術作業部会の枠組みの中での右計画の実行可能性を探究するよう高級実務者に指示した。

貿易・投資データ{前8文字下線}

26.閣僚は,APEC経済のためのより比較可能な商品貿易データを開発することに関しなされた進展を歓迎し,一致した原則及び基準に従い公表された商品貿易データを適合させる努力に優先的な関心を払われるべきであることを指示した。また,この作業部会は,サービス貿易及び投資データの収集及び共有を促進する努力を強化するべきである。

貿易促進:協力のための計画及びメカニズム{前20文字下線}

27.閣僚は,作業部会がビジネス/民間部門との相互作用を強化することに重要な役割を果すことができることに留意した。閣僚は,最初のアジア・太平洋国際貿易フェアーが94年10月に日本の大阪で開かれ,これが広く地域の商業的交流を増加させる重要なステップとなるものと期待する。

投資・産業技術{前7文字下線}

28.閣僚は,「投資・産業技術作業部会」のための委任事項の拡大に留意し、これらの重要な分野での協力を増進させる作業計画を発展させるために同作業部会が払っている努力を支持した。

人材養成(HRD){前9文字下線}

29.アジア・太平洋地域の人々は,地域の唯一の最も重要な財産である。この地域のダイナミズムは人材のニーズの変化に反映されている。閣僚は,APECのHRD活動において成し遂げられた進展に満足の意を表明したが,急速の成長及び技術進歩に関係する貿易形態,産業の構造改革及びその他の経済的変化によって必要とされる訓練及び調整のニーズを特別に強調しつつ,引き続き優先的関心がこの作業に寄せられることを希望する。

エネルギー協力{前7文字下線}

30.閣僚は,持続的な経済発展並びに環境保護のためには,確実で均衡の取れたエネルギー供給及び合理的なエネルギー使用が決定的に重要であることに留意した。閣僚は,エネルギー効率,石炭浄化技術及び再生可能なエネルギーに関する技術面及び政策面での交流を歓迎し,特にAPECのエネルギーに係る技術的なワークショップ及びセミナーのビジネス/民間部門よりの積極的な参加に勇気づけられた。

海洋資源保全{前6文字下線}

31.閣僚は,海洋資源保全についてAPECのなしうる独自の貢献並びに,UNCEDに応え,APECが他の海洋資源保全関係の機構と協力することの重要性を確認した。

電気通信{前4文字下線}

32.近代的で互換性のある通信網は,APECの諸経済を結合し,より近接化するための重要な構成要素である。閣僚は,「APEC諸経済の電気通信基盤と規制の現状」の第二版が完成したこと,作業部会が人材養成に重点を置いていること,そしてAPECの電子データの相互交換活動を調整する為の努力を賞賛した。

漁  業{前2文字下線}

33.閣僚は,この地域の経済にとっての漁業の重要な役割に注目し,漁業管理,訓練ニーズの調査,漁業産品の衛生及び品質に関する規制,地域における漁業食品の貿易に関する市場情報の改善,及び養殖漁業におけるAPECのあり得べき役割についての作業部会の計画を支持した。

運  輸{前2文字下線}

34.閣僚は,地域の成長と統合を促進するための効率的な運輸システムの重要性を強調した。閣僚は,地域運輸に関する情報を開発するための作業部会の努力を評価すると共に,インフラ面でのニーズを特定し,地域における旅客と貨物の移動を容易にする為の作業を加速するよう作業部会に要望した。

観  光{前2文字下線}

35.閣僚は,作業部会による観光部門の持続的発展についての諸問題,及び観光と環境の関係に対処する上で達成された進展を歓迎した。

参加問題{前4文字下線}

36.閣僚は,いくつかの経済地域と機構がAPECの活動に何らかの資格で参加することにつき引き続き関心を表明していることに留意した。閣僚は,APECが開放的で進化する活動形態であることを再確認し,APEC発展の現在の段階においては,基礎固めと有効性が主たる関心事項であるというバンコック閣僚会議で表明された見解を想起した。しかしながら,閣僚は,APECが,APECのニーズに応えると同時に地域の他の経済及び機構との間で建設的な相互作用を促進するような方法で新規参加の問題を検討する為のより体系的な方法を開発すべきであることも認めた。

37.閣僚は,メキシコとパプア・ニューギニアのAPECへの参加を歓迎した。閣僚は,また,チリとAPECへの参加を認め,1994年の閣僚会議においてチリがAPECのメンバーとなることを待ち望むとともに,チリが,この間,作業部会の活動に参加することを奨励する。APECの効率性を増すことの重要性に着目し,閣僚はメンバーの追加の検討を3年間延期し,この間に高級実務者はAPECの参加資格についての政策を研究し,継続的に閣僚に勧告を行うことに合意した。

38.閣僚は,APECの作業計画に,アジア・太平洋地域の非メンバーが参加することが加盟メンバー及び非メンバーの双方にとり有益でありうることを再確認した。非メンバーとの協力を促進し,増大しつつある経済的相互依存より生じる課題に取り組むため,閣僚は,別添6に掲載されたAPEC作業部会の活動への非メンバーの参加に関する指針の提案を承認し,高級実務者に対し,互いの利益となる相互作用を促進するための他の潜在的な方法を見出すよう要請した。関連する機構については,高級実務者は,適切な連携関係を樹立するためのAPECを導くための検討事項を特定するべきである。高級実務者は第6回閣僚会議にこれらの課題に関する検討結果につき報告するよう指示された。

民間部門の参加{前7文字下線}

39.ビジネス/民間部門は,この地域のダイナミックな成長を促進する上で大きな役割を果たしてきた。特に作業部会を通じたビジネス/民間部門の関与は,APECの努力が現実の社会の挑戦と機会に適切に対応していることを確保している。閣僚は,本年,ビジネス/民間部門のAPECへの参加の拡大が進んだことを賞賛すると共に,各作業部会に対し,ビジネス/民間部門との関係を一層強化するよう指示した。閣僚は,APECの作業と関連する問題につきビジネス/民間部門,特にPECCの助言を求めていくことを表明すると共に,高級実務者に対し,新設された貿易投資委員会の作業を含むビジネス /民間部門との協力を拡大し深める方法につき検討するよう指示した。

機構問題{前4文字下線}

APEC事務局{前7文字下線}

40.閣僚は,APEC事務局が成功裡に設置されたことを満足の意をもって留意すると共に,シンガポールが事務局に対して行った非常に寛大な支援及びボディ事務局長と事務局スタッフが1年目の活動に見せた際立つ努力に対し深甚なる謝意を表明した。閣僚は,参加メンバーの作業計画への協力関係を促進するに当たっての事務局の極めて重要な役割を強調した。閣僚は,作業部会に高級実務者の決定を伝えることを含めた情報の伝達,非メンバーによるAPECの活動への参加要請の調整,及びAPEC関連文書の出版・配布等のための中枢的調整機関として事務局が機能すべきことを強調した。事務局は,APEC予算の慎重な管理,中央基金の支出及びAPECの資金の責任ある使用を確保する効果的な財政管理の維持を引き続き優先していくべきである。

予  算{前2文字下線}

41.閣僚は,作業部会の取りまとめ責任者(シェパード)とAPEC事務局の支援を得て,高級実務者が,財政運営及び管理に関連した一連の措置を考案し,施行した努力を支持する。閣僚は,1994年度APEC中央基金2百万ドルを承認すると共に,1993年度基金の残余は高級実務者が承認する1994年度の支出に転用できることを規定した。閣僚は予算・管理委員会に新しいメンバーからの拠出問題を検討するよう要請した。

APEC機構{前6文字下線}

42.閣僚は,APECの限られた資源を効率的に管理するための提案を含む包括的な展望に関する声明を作成した韓国及びカナダの作業を称賛した。同様に,閣僚は,予算問題の運用及び管理,財政管理,及びAPEC作業部会の作業計画の管理について高級実務者を助言するための予算・管理委員会設置を指示した。1年目は,同委員会への参加はすべてのAPEC参加メンバーに開かれている。作業部会は,引き続き高級実務者に対し,直接報告を行う。閣僚は,高級実務者に対し,APEC機構に関連する提案を作成するために将来展望に関する声明を基礎として使うよう,また,その実効性と意思決定過程を改善するためのAPECの機構改革につき,1994年の閣僚会合で提言を行うよう指示した。

今後のAPEC閣僚会議開催地{前14文字下線}

43.バンコックにおける第4回閣僚会議において決定された通り,第6回閣僚会議は1994年にインドネシアで,第7回閣僚会議は1995年に日本で開催される。フィリピンとカナダは,それぞれ1996年と1997年に第8回及び第9回閣僚会議を主催する。

その他の事項{前6文字下線}

44.更に閣僚は,グローブ94会合及び環境博覧会の関連で,1994年3月25−26日 ヴァンクーヴァーにて,APECの環境問題担当大臣の会合を主催するというカナダの申し出を歓迎した。

45.閣僚とその代表団は,米国政府の暖かい歓迎と行き届いた運営に対し,深甚なる感謝の意を表した。