データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ウルグアイ・ラウンドに関するAPEC宣言

[場所] シンガポール
[年月日] 1990年7月30日
[出典] 通商産業省資料
[備考] 仮訳
[全文]

ウルグアイ・ラウンドに関するAPEC宣言

1.豪州、ブルネイ・ダルサラム、カナダ、インドネシア、日本、韓国、マレイシア、ニュージーランド、フィリピン、シンガポール、タイ及び米国の閣僚は、1990年7月30・31日シンガポールに集まり、先般の貿易交渉委員会に照らしウルグアイ・ラウンド多角的貿易交渉の進展に関する評価を行った。閣僚は、ウルグアイ・ラウンドが成功裡に終了することが国際的課題の中で唯一最も重要な問題である旨合意した。

2.閣僚は、より大きな進展が見られないことに関する重大な懸念を表明するとともに、ウルグアイ・ラウンドを期限までに成裡に終了させるとの堅い決意を繰り返した。閣僚は、交渉の現段階では、全ての参加国が1990年12月迄にウルグアイ・ラウンドが主要かつ実質的成果を挙げるために主要な困難を克服するとの公約を緊急に履行し政治的決定を行う用意をしなければならない旨合意した。閣僚は、全ての参加国が貿易交渉委員会で受け入れられた強化作業計画に十分かつ建設的に取り組むよう促した。

3.閣僚は、農業、繊維・衣料、サーピス及び各々の市場アクセス・グループで重要な成果を挙げることが、ウルグアイ・ラウンドの成功にとって極めて重要である旨強調した。閣僚は、これらの交渉分野における進展が乏しいことを懸念をもって留意し、全ての参加国が努力を強めるよう要請した。閣僚は、いくつかの分野におけるアクセス交渉はこれ以上遅延できない点に留意するとともに、全加盟国が交渉を急速に前進させるべき旨勧告した。閣僚は、TNCにより設定された期限に従ってアクセス交渉を進めることを公約した。

4.閣僚は、ウルグアイ・ラウンドの中で生まれつつある貿易ルールは開かれた公正な競争を高めなければならない旨強調した。閣僚は、他国間貿易体制が強化される必要性がある旨合意した。閣僚は、他国間のルールの下でのみ行動するとの公約に公約につながるより効率的ガット紛争処理体制を達成することの重要性を強調した。

5.閣僚は、新分野の交渉成果は、十分な参加を確保するため、全参加国の関心と合致するべきであるとの信念を共有した。

6.閣僚は、ウルグアイ・ラウンドにおける進展をよりよく評価し、ウルグアイ・ラウンドが包括的かつ野心的成果を達成するための障害を取り除く方法を考えるために、9月11・12日にカナダのヴァンクーヴァーに集まる意思を確認した。

7.閣僚は、また、このラウンドの終結後、早急に、その結果を評価するため、貿易政策に関するAPEC閣僚の特別の会合を招集することに合意した。