ゼミでの議論のまとめ(その1)


 




今回の試みは、第9回のゼミに登場した「技術と政治性の関係」と、第10回のゼミに登場した「アンティポリティクス・マシーン」を組み合わせて図示するというものです。この作業により、開発の文脈が強化されていく流れを一つ示したいと考えます。

 では、まずはウィナーの議論(第9回)のおさらいから入ります。彼の示した論点は、「一見中立に見える技術にも、実は政治性が含まれている」というものでした。それは、ある技術が用いられることになった背景(図1の政治性A)と、ある技術が用いられた結果発揮される社会への影響力(政治性B)とに分類することができると考えられます。ここで示された一連の流れは、図1中の矢印でつながれた部分に表されています。

 次に、ファーガソンの議論(第10回)についてです。彼の示した「アンティポリティクス・マシーン」とは、「政治性を含む活動を、あたかも政治性が含まれていないかのように見せる方法」でした。「援助」という政治性の匂いのない活動を前面に押し出し、その裏にある「組織の利害」などを隠すという例が示されていました。この状況を、図1中の青い楕円上を周る軌道で表しています。技術導入の失敗は新たなる改良された援助の必要性を増し、このサイクルは回転を続けます。
 技術のもつ政治性と、それを隠す役割をもつアンティポリティクス・マシーン。それらが「技術」を交点としてつながっていることを示したのが図1でした。

 では、図2への発展を考えてみます。そのためにはまず、ウィナーの議論を少し深める必要があります。図1中の政治性Bは、ある技術が用いられた結果発揮される政治性で、それは社会への影響力を持っていました。図中の政治性Bへの矢印が点線なのは、その影響力の度合いが場合によって異なると考えられるからです。いずれにしても、社会への影響は次に用いられる技術の背景となり得ます。つまり、政治性Bは政治性Aの位置へ、政治性Aとは異なった政治性をもちつつ収まるわけです。その状況を、図2中の赤色のらせん図に表しました。ある技術を用いることが政治性Bを発揮し、次の一周の始点は前の一周の始点とは異なったレベルにありますから、その回転はらせんを描きつつ、ある方向に向かいます。この過程が社会システムを変容していくと考えられます(開発の例で言えば、その文脈の強化)。

 その際、アンティポリティクス・マシーンはどのような位置づけにあるでしょうか。それは技術を交点としてウィナーのサイクルとつながっていましたので、上述のらせんに引っ張られるような形で図2にも描き込まれることになります。常に、らせんのサイクルがもつ政治性を隠す役割をし続けるわけです。

 以上により@政治性をもつ技術の導入が、その技術の導入に至った文脈を強化していく流れ(社会システムの変容)、Aそこに含まれている政治性があたかも存在しないかのように繕う働き(アンティポリティクス・マシーン)、を合わせて考えてみました。