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活躍する卒業生

卒業後、活躍する卒業生の紹介をまとめました。佐藤研を出てから現在までどこでどんなことをされてきたか、そしてご自身の経験を踏まえ後輩たちへの思いを綴っていただきました。

第三回 小島 海

こんにちは。「世界」で活躍する卒業生として、日本は岩手県にいる2007年卒(6期生)の小島海が第3回目のバトンを受け取りました。 中学生くらいの時に、国際協力の世界で働きたい!と思い、佐藤先生の追っかけで研究室に入り国際協力学修士を取得後、10年来の夢をかなえ、国際協力機構(JICA)で、インド、ブータン、スリランカ、スーダン、南スーダン、アフガニスタン、ジブチ、トーゴ、コートジボワール(プラスその他!)と渡り歩いてきた私の今までと、岩手県にいる今と、後輩への思いを綴ります。

佐藤研で学んだこととJICAの8年間

なんで、国際協力ってこんなに長い間、時間とお金をかけてやっているのに、批判されたりすることが多いんだろう、どうやったら上手くいくんだろう―そんな問題意識に向かい合 った修士の2年間で出した答えは、解決すべき対象となる問題や、問題を解決する手法そのものに加え、解決策をもたらす側の問題。実施する側が現場を正しくとらえ理解し、それを活かすために判断をし、進めていかなければならないということでした。

そんな答えを胸に入ったJICAでは、インドでの研修を経て、途上国から日本に行政官を呼び、日本の経験を学んでもらう研修事業に2年間、札幌で携わりました。その後、東京の本 部に異動し、スリランカ、アフガニスタン、南スーダンといった戦後復興期にある国で、まちをつくるマスタープランを策定し、そのなかで優先順位の高い具体的な事業をハード・ ソフト面から実施する、復興支援・まちづくり事業に3年間、2013年には10年来の夢をかなえ、2011年4.11に終戦を迎えていた西アフリカのコートジボワールで、復興支援・まちづ くり事業に2年、それぞれ企画立案・実施監理・評価の業務に従事しました。

8年間で常に感じていたことは、現場のために実施側の力が向くと大きな力を生み出せる、ということ。私自身はまちづくりの絵を描く都市計画の専門家でもなければ、学校を建てるエンジニアでもない。私に出来ることは、現場で必要なものを見極め、解決のために多くの方の協力を得て、事業を進めていくことです。この「多くの方々」は、意図も大事にすべきルールも異なりますが、その力をつなぎ、現場に向かわせることの意義を経験に基づき納得出来、逆に言えばそれを実現できないのであれば自分の存在意義はない、と、佐藤研で形成した考え、価値観を実社会で活かすことが出来た期間でした。

コートジボワールを離任する際に、コートジボワール人の仲間が「コートジボワール人のためにコートジボワール人を信じて、一緒にプロとしてダイナミックに働いてくれた」と言ってくれたことは私の大事な財産です。

コートジボワールから東北へ

夢をかなえ、充実した時間は過ごしていたのですが、私はその場から離れることを決めました。現場で最高の価値を生み出すために、2つのことをやってみたかったからです。  1つは、復興後の社会で価値を生み出すという仕事をしっかりとやりたかったこと。復興のため世界で多くの事業が行われていて、なんとなくのマニュアルや事業のドキュメントはあり、「こうすべき」という人は多くいますが、実際に実施している人は本当に一握りに過ぎない。だから、復興後にまちを作って行くというプロセスで、実態として価値を生み出すということに取り組んでみたい、と思いました。

もう一つは、当事者としてきちんと現場に向かい合いたいと思ったこと。外部者の役割はあります。2~3年おきに異動しても、ある程度のことは出来ますし、出来るようにもがいてきた8年間でもありました。でも、数十ものプロジェクトにかかわる中で「なんとなく正しい」と思ったことがあります。それは、最高の現場を作る、ということは、当事者としてその事業・土地にコミットして、その土地の人々に認められて協働してこそ、初めて出来る、ということです。

最高の現場を、当事者として作って行きたい

そんなわけで、現在は、東日本大震災で大きな被害を受け、たまたまご縁のあった岩手県大船渡市の復興支援員として地域資源「椿」を活かした産業振興に携わっています。また、陸前高田市でまち・ひと・しごと総合戦略の策定委員も務めています。

復興後は地域の資源を活かした仕事を作ることが大事―ほぼすべての復興の政策、マニュアルに書いてあることですし、私自身もそう書き、プロジェクトとして企画・立案してきました。では、それって本当は、どういうことなのでしょうか。

はっきり言って、全く上手くいかない日々です。自分の無力さに直面し、まっすぐでも、論理的でも、きれいでもない現場で、やった!と思うことがあれば、「正直、無理かも」と思うこともあります。

けれど、半年がたち、大船渡の方々に少しずつ名前を覚えていただき、こっちになじんできたね、一緒に頑張りましょう、大船渡のためによろしく、と言ってもらえるようになってきました。ここで生んだ価値で声をかけてもらえるようになるようにしぶとくやっていきたいと思っています。

佐藤研の後輩の皆さんへ―

「専門性はありません」よく出る、この先生のスライドに納得してしまった瞬間から苦しみは始まります。世の中に仁先生のような存在は絶対に必要ですが、多分、そんなに多くなくて良い。物事の見方よりも、物事の解決方法を圧倒的に求められる実社会において、専門性のなさや佐藤研で学んだことが役に立たないと感じることは、正直、あります。 それでも、私は佐藤研の実践者でありたい、と思い続けています。現場で、自分自身で考え、とらえた正しいと思える問題に、現場の人たちと正面から取り組んで、社会に価値を生む生き方をしていたい。

そんな私からのアドバイスがあるとすればまずは、学生時代はとにかく自分の問題意識にまっすぐに取り組むこと。そして、思いっきり生意気に仁先生に挑むこと。間違いなく力が身に付きます。そして、実社会では、「手法」についても学ぶこと。私の場合で言えば、まちづくりのエンジニアリング的な視点、フランス語、今では椿の歴史から性質まで、その時々で必要な「解決方法」にきちんと近づこうとする努力を怠らないこと、が必要だと思います。

振り返ってみると、ScottやFerguson、はたまた河上肇など様々な社会や時代を行ったり来たりした佐藤研の経験は、各国の大臣や中央省庁と議論をし、プロジェクトを形成して一時に十件を越える数十億の事業を動かしたあと、今、岩手県(『ものいわぬ農民』にまさに出てくる現場ですね!」)で、たった一つの現場で、最高の現場を作るためにもがいている、この生き方のルーツになっているな、と思います。

よく「この後のビジョンは?」と聞かれます。残念な答えで恐縮ですが、「分かりません」。JICAの経験は本当に楽しいものでしたし、今も自分自身の問題意識に対してしっくりと来ていて、’hiding hands’ばかりの現場も充実しています。当事者として最高の現場を作るために、しぶとくもがいた先に、見えるもの、それが楽しみです。 最後に、佐藤先生が贈ってくださったベンジャミン・フランクリンの言葉を共有します”Either write something worth reading or do something worth writing”。

第二回 Weini Li from Washington, DC

I am Weini Li, a consultant at the World Bank Group (WBG) in Washington, DC. I graduated from Dr. Sato's research group (Sato-ken) in 2010 with an M.A. in International Studies. Below are a summary of my post-Todai life and messages to younger alums and students.

I started with a management-track job at a financial services company under a Japanese conglomerate right after graduation. Giving sales pitches to passengers in shopping malls and calling customers for debt delinquency collection were the "fun" part of my first half-year there, which were later replaced by business and financial coordination for the headquarters with its subsidiaries across Asia.

Unsure of the chances of getting global, ID-related posts nor stretch assignments from this job, I decided to fast-forward my plan to study in the West, starting with graduate school application in late 2010. The next August, I left my company and started a Master's program in Global Environmental Policy at American University (AU) in the U.S. Capital.

For this second Master's degree, I leaned toward more "marketable" classes and centered my research topic on the political economy of large dams. Instead of a second thesis, I opted into a faculty-led capstone project and - with six other Masters candidates - researched on the drivers of conflict and development in the Mekong River Basin.

After graduating from AU, I landed an internship with the World Bank Inspection Panel - the independent accountability mechanism (IAM) for the public arm of the WBG. It was exciting to catch a glimpse of the internal dynamics of a large organization without losing a broader perspective of the society and communities. Thus it is no surprise that my subsequent/current job is also with an IAM: the Office of Compliance Advisor Ombudsman (CAO), the grievance mechanism of WBG's private arm: International Finance Corporation (IFC) and Multilateral Investment Guarantee Agency (MIGA).

Here at CAO, I assist with due diligence of environmental and social (E&S) compliance in IFC/MIGA-sponsored projects complained by communities. I spend most of my time appraising the complaints: i.e. the nature and magnitude of the alleged E&S harm to the individuals/society, IFC/MIGA's compliance with their E&S policies and procedures, and adequacy of IFC/MIGA's E&S framework (or lack thereof).

During vacation time, I work with organizations in the field: first year in Myanmar and second year in Lao PDR. My experience has always been around water and hydropower, but who knows what I would do next ... maybe running a small social enterprise?

For my Sato-ken fellows, here are the things I wish someone had told me while studying at Todai.

1. To students in the Japanese job market: the finishing line of shu-katsu (job-hunting) is just a starting line in career development. Don't easily give up if you have not got what you wanted, and don't be surprised that similarly smart seniors would give you completely opposite advice (or nothing). Nobody can stop you from dreaming and trying again, especially if you are open to a career overseas.

2. To students interested in working with the World Bank Group: prior work experience in project operations and/or in governments/developing countries is the trump card. Then keep expanding your professional network. (And remember what ID really should be – which you have learned at Sato-ken.)

3. To others and all: reach out to Sato-ken alums as we are excited to know about you and explore what we can help with/learn from you or work on together. Good luck!

第一回 オランダとアメリカで活躍する和田義英氏

2004年度入学、2006年に修了した和田義英です。
佐藤研究室では修士課程の2年間を過ごさせて頂きました。

佐藤研究室には多様な学問分野の方がおり、佐藤仁先生をはじめ同僚の博士や修士課程の方々から研究に対する姿勢や問題に対するアプローチの仕方など研究の基礎をいろいろと学び事ができました。

現在は、アメリカ・ニューヨークのNASAゴダード宇宙科学研究所、コロンビア大学気候システム研究所、そしてオランダ・ユトレヒト大学で研究員として働いております。今年度からは日本学術振興会の海外特別研究員に採用されております。佐藤研究室の時からは分野が社会科学から自然科学へと変わり、修士を修了して10年近く経ちますが、佐藤研究室で学んだ研究の基礎などは今でもとても役にたっています。

簡単に10年を振り返りますと、オランダ・ユトレヒト大学で水文学を先攻し修士、博士(Cum Laude, 2-3%)を修了し、その後ポスドクを少しやりました。
私の研究分野は数理モデルを使い全球の水資源の賦存量と人間活動による表流水や地下水の利用量を計算しています。佐藤研究室では、「地下水管理の社会分析」という修士論文を書きましたが、現在は、物理的な水の量がどのくらいあり、人口増加や経済発展、食料生産の増加に伴い地下水が持続可能に利用できるか研究を行っております。オランダでは一から水文学を学びました。分野がだいぶ変わり、最初はかなり苦労しましたが、水資源は人間の水利用に伴い社会との関わりが非常に強いため、社会科学と自然科学の両方から研究できるというのは今になって思うとすごく役に立っています。

2012年には世界の帯水層の過剰利用の現状を世界で初めて計算しNatureに論文を発表しました。この論文は朝日新聞の三面記事をはじめ世界の報道機関から取り上げられました。同じ年には、世界の地下水の過剰汲み上げによる海面上昇の量を世界で初めて論文に発表し、この論文もいろいろな報道機関に取り上げられました。インド、中国、中東やアメリカなどでは、化石水という何百、何千年まえに蓄積された地下水を汲み上げているため、現在の水文サイクルに余剰な水を足している事になり、海面上昇に寄与します。また、AGU(American Geophysical Union)のHorton Reseach Grant(毎年1−3名)に選抜され持続可能な水利用と食料生産に関する研究を行いました。

IPCC AR5リポートではContributing Author (Working Group I) として貢献しております。現在は、EUの世界水不足モニター(モデル提供)、世界水文モデルの比較研究プロジェクト(ISI-MIP)、将来の水不足の対策方法の研究(Water Future and Solutions Initiative with IIASA)などもやっております。 NASAでは衛星を使い地球にある水資源の量を計測する研究をはじめ、世界のどの程度利用可能な地下水があり、地下水の枯渇がいつ起こりうるのかなど研究をおこなっております。
筆頭著者、共著者を含め、Nature, Nature Climate Change, Nature Geoscience, PNAS, Geophysical Research Letters, Environmental Research Letters, Water Resoruces Research, Global Environmental Changeなど40本ほど論文を発表しました。

私はもともと海外志向が強かったため修士、博士は海外でやりたいと思っておりました。ただ、海外に行く前に佐藤研究で研究できた事は今振り返ると非常に良い経験で、その後の研究生活に非常に影響があったと思います。
今海外での研究に興味がある人はぜひお勧めしたいです。運もありますが、自分の好きな研究分野を見つける事ができればきっと充実した研究生活になると思います。あとヨーロッパなどに行くと共同研究などの機会もあると思いますので、コミュニケーションやマネージメントも学ぶ事ができます。
当たり前ですが、若いうちは大きな目標をもって努力を積み重ねてください。きっとそれを見ている人がおり成果が返って来ると思います。

   
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