「デリーの中世イスラーム史跡:建物・時代・地図からの検索」とは

東洋文化研究所附属東洋学研究情報センターでは、東京大学インド史跡調査団が、当時(1959年〜62年現地調査)デリーにおいて撮影した写真資料について整理作業を行いました。本検索ページでは、インド史跡調査団の類型に従い、建物から、時代から、地図からの3種の検索が可能です。

東京大学インド史跡調査団は、山本達郎(団長・現東京大学名誉教授)、荒松雄(副団長・現東京大学名誉教授,歴史学)、月輪時房(現聖心女子大学名誉教授、考古学)、三枝朝四郎(写真撮影)、大島太市(写真測量)の諸氏から構成され、1959〜60年、1961〜62年の二回にわたって現地調査を実施しました。調査団の目的は、デリーに遺存するサルタナット期(13世紀初頭〜16世紀中葉)イスラーム建築の悉皆調査でした。加えてベンガル、デカン、グジャラート等、地方の重要イスラーム建造物の調査がおこなわれました。

デリーに遺存するサルタナット期(13世紀初頭〜16世紀中葉)の建造物は、以下のように類型整理されています。
建造物の機能として5つに区分され、それぞれの建物に番号がつけられました。

モスクMosqueM1〜61
墓地GraveyardG1〜72
墓建築TombT1〜142
水利施設WaterworksW1〜52
その他の建造物Other MonumentsO1〜58

水利施設には、円井戸、階段井戸(バーオリー)、堰堤、橋、水門などを含みます。
その他の建造物には、城砦、宮廷建造物、門、マドラサ、ハーンカー、宗教的建造物、地下貯蔵庫、ハンマームなどさまざまです。

これらの建物を分析する際に、時代区分としては、

第Ⅰ期初期デリー・サルタナットの成立〜ハルジー朝の終焉1191年〜1320年
第Ⅱ期中期トゥグルク朝の成立〜終焉1320〜1414年
第Ⅲ期末期サイイド朝の成立〜ローディー朝のs終焉1414年〜1526年

が採用されました。

また、地理的分布を示すために、デリーの地図が作成されました。「7つの都市」とも呼ばれる広大なデリーに対して、北緯28度30秒から28度45秒まで、東経77度5秒から77度20秒までを地図に示しています。地図はさらに、縦に14、横に12、計168個の細かいグリッドに分割されます。縦方向には上から1から14の番号を振り、横方向には左からAからLまでの番号を振っています。従って、地図上の位置がX-Yで表されることになり、有名なクトゥブ・ミナールはF-12あるというふうな表記になります。

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