デリーの中世イスラーム史跡:図面・拓本・地図集成とは

東洋文化研究所附属東洋学研究情報センターでは、東京大学インド史跡調査団が、当時(1959年―62年現地調査)デリーにおいて採取した建築図面、建造物に刻み込まれたインスクリプションの拓本、作成した地図について整理作業を行っています。

写真撮影は、対象建造物に対して、悉皆的に行われましたが、図面、拓本、地図に関しては、以下に示す重要建造物に絞って、詳細調査の一環として作成されました。当時撮影された写真に関しては、「インド・イスラーム史跡 写真資料データベース公開」ですでに公開し、当該都市デリーに関しては検索ページを設けています。また、2006年度に新たに画像を追加して、「デリーの中世イスラーム史跡:建物・時代・地図からの検索」というサイトを公開いたしました。そこにおいては、建物ごとの個別の記述と写真をみることができますので、当サイトの図面とあわせてご覧になると、建物がよりわかりやすくなります。

以下に図面が作成された建造物を列挙します。

モスク建築では、

墓建築では、

これらは、以下の出版物でも取り上げられています。

『デリー―デリー諸王朝時代の建造物の研究 第2巻 墓建築』山本達郎、荒松雄、月輪時房著、東京大学東洋文化研究所1968年所収

水利施設では、

これらは、以下の出版物でも取り上げられております。

『デリー―デリー諸王朝時代の建造物の研究 第3巻 水利施設』山本達郎、荒松雄、月輪時房著、東京大学東洋文化研究所1970年所収、

なお、東京大学インド史跡調査団は、山本達郎(団長・現東京大学名誉教授)、荒松雄(副団長・現東京大学名誉教授,歴史学)、月輪時房(現聖心女子大学名誉教授、考古学)、三枝朝四郎(写真撮影)、大島太市(写真測量)の諸氏から構成され,1959〜60年、1961〜62年の二回にわたって現地調査を実施しました。調査団の目的は、デリーに遺存するサルタナット期(13世紀初頭〜16世紀中葉)イスラーム建築の悉皆調査でした。加えてベンガル、デカン、グジャラート等、地方の重要イスラーム建造物の調査がおこなわれました。

デリーに遺存するサルタナット期(13世紀初頭〜16世紀中葉)の建造物は、以下のように類型整理されています。

建造物の機能として5つに区分され、

モスクMosqueM1〜61
墓地Graveyard G1〜72
墓建築TombT1〜142
水利施設WaterworksW1〜52
その他の建造物Other MonumentsO1〜58

時代区分としては、

第T期初期デリー・サルタナットの成立〜ハルジー朝の終焉1191年―1320年
第U期中期トゥグルク朝の成立〜終焉1320年―1414年
第V期末期サイイド朝の成立〜ローディー朝の終焉1414年―1526年
を用いています。

詳しくは

『デリー―デリー諸王朝時代の建造物の研究 第1巻 遺構総目録』山本達郎、荒松雄、月輪時房著、東京大学東洋文化研究所1967年

参照。