MALIK MUGHITH MASJID

 このモスクの形態と構造は中庭を囲む奥行四間の西側礼拝室と、南、東、北の奥行一間の回廊部から成っている。西側礼拝室の上部にはかなり大きくやや平坦な形をした三つのドームが掲げられている。注目すべき点は、このモスク全体がアーチ形のがんを連ねる高い基壇の上に造られていることで、そのために東側の入口には堂々たる門と玄関、さらにその東側に張り出したゆったりとした階段とが設けられている。柱列によって支えられたこのダルワーザは今日では残念ながらその大半が、本来は頂いていたドームとともに崩壊してしまっている。
 この入口の部屋の柱も、西側礼拝室や南北、東側の回廊部の柱列と同じくヒンドゥー様式のもので、他の建造物と同様にここでもモスク造営に携わった技工たちがヒンドゥー教徒であったことがうかがわれる。西側礼拝室のなかに入ってこれらのヒンドゥー様式の柱列や同じくヒンドゥー風の天井を見ると、あたかもヒンドゥー神殿の中にいるかのような錯覚におちいるが、中央ミフラーブやその左側に六つ、右側に七つのアーチのがんの存在を知ってはじめてモスクの礼拝室内にいることがわかるほどである。この礼拝室の西壁に造られている二重のアーチを持つ中央ミフラーブは、私が見たときはかなりの損傷を受けていたが、ところどころに青色のタイルの痕跡が残っていた。(荒松雄

 

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