HOSHANG SHAH'S TOMB

 ホーシャング・シャーの墓は四周に正方形の囲壁を持つ壮大な墓廟の中庭の中央に立っており、北側中央に造られた大理石造りのドームを頂く四角平面の入口の門から入ることができる。ホーシャング・シャーの墓はドームを頂く四角平面の壮大な建造物で、かなり広く高い基壇の上に造られている。ドームから墓建築本体すべてが大理石で被われており、堂々たる雰囲気を覚えさせるが、入口への階段を備えたその主な入口は、中庭への入口の門とは反対側の南側に設けられているのが面白い。
 高からず低からずというやや広めのドームを頂く屋根の四隅には、小ドームを頂きバトゥルメントを巡らせた構築物が設けられており、大ドームとともに屋根の上に造られた基壇の上に載った形となっている。屋根の辺縁と庇の間には植物様の長い文様が施されており、総大理石造りのなかでの黒や赤の色彩が目立って効果を上げている。これらの文様のなかにはヒンドゥー系のものも窺われ、墓室内部の文様とあわせて、この墓廟が近隣のヒンドゥー職人を動員して造られたことが推察されるのである。
 墓建築の本体は南北の両面それぞれに大きなアーチ形の入口をやや小さなアーチ形のがんが囲むというかたちの壁面を造っており、東西の壁面は閉ざされている。墓室の内部もまた壁面白大理石で被われ帝るがスクインチを掲げて四角の部屋の上部を八角に、さらにその上を十六角にするように造られていて美しい雰囲気をかもしだしている。これら南北の壁面の入口両側の左右のアーチは幾何学形の透かし彫りによって埋められていて、内部からみるときわめて美しい効果をあげており、設計者の技巧を偲ばせるものがある。墓室の中央の低い基壇に載った形の堂々たる墓石がホーシャング・シャーの墓で、その一族のものと思われる五基の墓がその周辺につくられている。スルターンの墓石の上面にはヒンドゥーの影響を思わせるものを含めた多彩な文様が掘られていて興味がある。
 この墓廟で面白いのは、中庭の囲壁の西側の部分に三つの間からなるダルムサーラ形式の長い部屋が造られていることで、他の墓廟にはあまり見受けられないところである。これらの構築物の内部の構造や壁面の文様その他から推すと、この部分にもヒンドゥーの職人が使われていたことが推定されるのである。(荒松雄)

 

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