MECCA MASJID

 モスクの礼拝室は奥行が三間で東側表面に大きなアーチ形の五つの入口を持ち、建物の東側正面の南北両端にそれぞれドームを頂く堂々たるミナールを備えているが、それらはドームの下にいずれも八角形のアーチ形のバルコニーを持っており、ミナールばかりかモスク全体の景観を格調高いものにしている。このモスクの屋根はドームを頂かない平坦な造りであるが、辺縁はパラペットで飾られており、下部には庇を並べており、アーチ形の大きな入口の上部の文様やその左右に造られているメダリオンとともに、端正な感じを抱かせるこの白理石造りモスクの正面を格調高いものにしている。
 モスクの東側には多くの信徒が礼拝できるように階段でしきられた広い前庭が設けられているが、その南端に近い部位には、三つのアーチを持ち外面を十数個の小さなアーチで飾られ東側に三つのアーチの入口を持つ、東方向に長く突き出た長方形の建造物が作られており、東西の両端に近い所に小ドームを頂く細いミナールを掲げている。この付設建造物は、大理石の床の上にゴールコンダ、ハイダラーバードに君臨したアーサフ・ジャー王室の歴代の支配者の一族の墓を並べた墓所となっている。大規模なモスクにこのような立派ないわば「翼廊」とでも呼べるような建造物が付設されている事実は、モスクと墓所造営との関係の歴史のなかでもきわめて珍しく、貴重な例といえると思う。(荒松雄)

 

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