1大地神女像 (詳細画像はこちら) 7世紀 塑壁着色、額装 ホータン地域 7世紀頃 伝ル・コック将来品 縦35.3cm、横29.0cm 画面左上の婦女像はより大きな尊像の踵を両手で支えている。婦女は所謂胡服で、両襟を折り開きウェストを絞った上衣を着ける。両手の袖は漏斗状に拡がり袖口を長く垂らす。大きな尊像の踵の下には蓮華座が見える。又、右下の男子像は駱駝に乗って草の生えた地面を進む。 大きな尊像は兜跋毘沙門天と考えられ、足下の2鬼は省略されたものと見なせよう。この断片に類似するものとして「シヴァ神像」(ニューデリー国立博物館)の存在が指摘されている。この断片はスタインがホータンの遺跡ヴァラワステで採集したもので、三面四臂のシヴァ神が描かれている。 なお、この断片はトルファン出土壁画として昭和7年(1932)に山中商会より購入した。 |
2千体仏断片 (詳細画像はこちら) 7世紀 塑壁着色、額装 ホータン地域 伝ル・コック将来品 縦15.4cm、横24.4cm 千仏は現在の劫に既に出現した過去四仏と将来出現する弥勒以下九百九十六仏とを合わせた賢劫千仏のことで、寺院、特に石窟壁画の主要な主題である。各区画の小仏の身色・着衣・頭光・身光・台座などの配色に規則的な変化を持たせることで、色彩の対比を意識しながら内部空間を荘厳していた。 斜め横を向く千仏はダンダンウィリク、カダリクなどに見られ、この断片もそうした例と考えられる。瞳を目の中心でなく片側に寄せることで、単に同様のユニットの繰り返しばかりでなく、画面全体の効果を意識して細部まで描いていることがわかる。 なお、本断片はホータン壁画として昭和9年(1934)に個人より購入したものである。 |
3腰部衣文断片 (詳細画像はこちら) 8世紀頃 塑壁着色、額装 ホータン地域か 伝ル・コック将来品 縦21.2cm、横22.2cm この断片に表された裙または腰布及び腰帯から推定される尊像(菩薩または天)の大きさは等身大以上かも知れない。衣の錦文様は連珠文・卍字文などが構成要素として用いられている。例えば、キジル石窟の十六帯剣者窟(中国編号第8窟)などの重圏連珠文と比較すれば、やや弛緩したような印象は否めない。 なお、この断片はトルファン出土壁画として昭和7年(1932)に山中商会より購入した。 |
4菩薩像頭部 (詳細画像はこちら) 7世紀 塑壁着色、額装 キジル石窟 ル・コック将来品 縦17.8cm、横14.4cm 菩薩の宝冠部分から胸上部までで、周囲の損傷は激しいが幸い顔貌を中心に表面が残っている。頭飾は3つの大きなメダイヨンから成り、菩薩の身色は基本的に青みがかった灰色で塗られるなど、キジル壁画第2期の特徴を有している。その描線など、キジル石窟小渓谷後第2窟(中国編号第176窟)のもの(個人蔵)に近い。 なお、この断片はトルファン出土壁画として昭和7年(1932)に山中商会より購入した。 |
5尊像頭部 (詳細画像はこちら) 7世紀 塑壁着色 キジル石窟 ル・コック将来品 縦13.0cm、横11.9cm 真横向きの尊像で、頬に梵字一字(dra)が記されている。キジル石窟小渓谷後第2洞(中国編号第176窟)から採集されたもの(個人蔵)に、描線の質が異なるが同様のものがある。 なお、この断片はトルファン出土壁画として昭和7年(1932)に山中商会より購入した。 |