地域説明



ホータン(西域南道)


 ホータンは西域南道の西方、現在の中国新疆ウイグル自治区和田県である。。南道の中最も有力なオアシス国家、于★(和★)国の中心に相当し、北西インド文化の影響を受け仏教文化が栄えた。玄奘三蔵もインドよりの帰途この地を訪れ、この地における仏教の隆盛を記している。主要な仏教遺跡は、首都ヨトカンの周辺部であるラワク、ダンダンウィリク、カダリク、ヴァラワステ、ファルハード・ベク・ヤイラキなどが知られている。絵画類の中心は7世紀前後のもので、様式的には人物表現に典型的に現れる弾力性に富んだ鉄線描とされる。


クチャ(西域北道)キジル石窟


 西域北道を代表するオアシス国家が北道のほぼ中央に位置するクチャ(庫車)である。クチャの仏教遺跡として著名なのがキジル、クムトラ、シムシムなどの摩崖の石窟寺院であるが、中でもキジル石窟は規模が大きく、総数230に及び、壁画・彫像などで飾られた祠堂窟も50窟以上あることが確認されている。壁画の様式は500年前後の第1期と7世紀の第2期に大きく分類されるが、その絶対年代については今なお議論を呼んでいる。第2期の様式的な特徴は、青・緑・褐色といった彩色の強い対比、図式的な隈取りによる陰影法、硬化する傾向にある描線などであろう。