今回は『天方性理』図伝・巻五の第十節である「一息終古図説」を読み進めた。
読解の要約は以下の通り。
本節は次節である終古一息図説と対になる。前節の小中見大図説、大中見小図説が空間の相対性を述べたのに対し、本節と次節は時間的なそれに
ついて説かれる。
まず一息とは最も短い時間の単位であるという定義がなされ、その内に終古という最も長い時間が内包されることを説く。そしてこの一息は我の
ものではなく、我と主の一息であり、我と主との関係において、我だけが見え主は見えない、主だけが見え我は見えない、我も主も見えないという
三つの事態があることが説かれる。
問題点としては「一息之中有出有入」とあり、出入する例として、先天と後天、無量無数と一、有色有妙と無色無妙、有所と無所、無始無終と有
始有終、無浄無穢と有浄有穢、有門と無門などが挙がっているが、それらが一息から出入するのか、それとも一息の中に出入する事態があるのか判
然としない。
(文責:佐藤 実)