今回は『天方性理』図伝・巻五の第八節である「小中見大図説」を読み進めた。 読解の要約は以下の通り。
本節は次節の「大中見小図説」と対になり、先取りして言うと第十節と第十一節も対になる。さて、本節では塵芥といった極めて小さいものから
真一は「一念之動」を起こし、そこから大命、性理、元気、四象、天地万物が生まれ、その万物はまた真一の全体の顕れである、したがって極めて
小さな塵芥がかくも広大であることが説かれ
る。そのことを「真一は隠蔵された宝」に喩えられるが、隠蔵されている宝であるところの真一の全体が発現し、全体の大いなるはたらきが発揮さ
れると、あまたの物それぞれに真一が備わる。
巻五に頻出する「一念之動」という用語が本節でも問題となった。また万物に真一が備わっているというのは、宋学で言われる万物に理が備
わっているという考え方と表現が似ているとの指摘があった。偶栽爾、欧黙爾など人名が明示されているのも本節の特色でもある。
(文責:佐藤 実)