日時 : 2001 年3 月3 日(土) 13:30〜17:00
場所 : 東京大学文学部アネックス・小会議室
発表者・題目 :
1.『天方性理』図伝・巻五「数一三品図説」
佐藤 実(京都大学人文科学研究所非常勤研究員)
今回は『天方性理』図伝・巻五の第二節である「数一三品図説」を読み進めた。読 解の要約は以下の通り。
本節では実際に万物を創造する担い手である「数一」について述べられる。「数
一」を経ることで、精神世界(理世)、物質世界(象世)が顕現する。この「数一」
にも三つの属性がある。まず真一が初めて顕現して命となり(「初命」)、その命を
受けて真一に代わって執行する(「代理」)、人が住まう世では人(具体的にはムハ
ンマド)によって治められる(「為聖」)。だが、これら三つの属性を主宰するのは
「数一」ではなく、あくまで「真一」であり、「真一」と「数一」との関係は「真」
と「幻」、「主人」と「下僕」、「海」と「海に浮かぶ泡」にたとえられる。
問題点としては、『図伝』巻一で展開される世界の顕現とこの「数一」とがどのよ
うに対応するのかが問題となった。テクストの解釈上の問題としては次のいくつかが
挙がった。原文「其有也」の「有」は何を指すのか。原文「問此数一者」は「数一に
質問する」のか、それとも「問う、数一は…」という問いかけなのか、など。また本
節にも頻出する「妙」の意味も問題となった。
次節以降の読解によって、「真一」「数一」「体一」いわゆる「三一説」の全貌を
明らかにしていきたい。
(文責:佐藤 実)