イスラーム地域研究5班
研究会報告

cグループ第9回「回儒の著作研究会」報告

日時 : 2001 年1 月27 日(土) 13:30〜17:00
場所 : 東京大学文学部アネックス・小会議室
発表者・題目 :
  1.『天方性理』図伝・巻五「真一三品図説」
     中西 竜也(京都大学大学院修士課程)

 前回の研究会までで『天方性理』図伝・巻一を読了した。今回の研究会からは、 『天方性理』図伝の最終巻である巻五を読み進めることになる。また巻五には、本研 究会で使用するテクストには馬復初(1794-1874)の注釈が付されていて、これも適 宜併読していく。読解の要約は以下の通り。

 本節では、まず「真一」には「体」「用」「為」の「三品」があり、これらから万 物が顕現(『天方性理』の原文では「顕著」と表現される)するということが説かれ た上で、あくまで「一」であるはずの「真一」に「三品」があるということが、一体 どういうことなのかが議論される。「真一」に「三品」があるというのは、「真一」 の顕現のレベル、つまり「三品」のレベルにおいて言い得る事態であって、「真一」 の本来のレベルで言えば、「真一」は「一」である(「三品」を有さない)と説明さ れている。そして「三品」さらにはその「三品」から顕現した万物は「真一」そのも のではないが、逆に、万物は「真一」の「本然」が顕現したものであるから、「真」 でないものは無い、と説かれている。
 今回の研究会では「真一」と「真」の違い、あるいは「真宰」「真主」などの関係 が問題となった。また、「覚照」「顕著」などの語義、「体」「用」「為」の概念に ついても未解決のまま残された。
(要約担当:中西竜也)

(文責:佐藤 実)


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