イスラーム地域研究5班
研究会報告

「リュディガー・クライン博士を囲む研究懇談会」報告

日時 : 2000年9月27日(水) 15:00〜16:45
場所 : 京都女子大学・J校舎 会議室

出席者 : リュディガー・クライン(テュービンゲン大学)、ナーディア・ クライン(テュービンゲン大学)、谷口淳一(京都女子大学文学部)、 和田郁子(京都大学大学院博士課程・ライデン大学大学院博士課程)、 小島優子(京都女子大学大学院修士課程)、黒木英充(東京外国語大学 アジア・アフリカ言語文化研究所)

  概要 : 懇談会は、小人数ながらも、活発でかつ充実したものだった。クラ イン氏の研究活動の幅が非常に広いことによるであろう。アレッポを中心 としたシリアの中世史を専門とする谷口氏とは、オスマン時代でありなが ら同じくアレッポを研究対象とすることから、都市研究の方法や時代を経 た社会空間の変容をめぐって、様々な問題が話し合われ、情報交換が行な われた。また17世紀南インドのコロマンデル諸島を中心とするオランダ東 インド会社の貿易活動と在地権力の関わりを中心に調査を進めている和田 氏とは、クライン氏自身、以前に17世紀ペルシア湾交易について博士論文 を執筆したことから、研究史、オランダ語・ペルシア語文書の所在と使い 方、今後の研究の見通しに至るまで、話題は実に多岐にわたり、尽きるこ とがなかった。また18世紀のオスマン朝外交使節をテーマに研究を進めて いる小島氏とは、オーストリアを媒介したオスマン帝国とイタリア都市国 家の間の具体的な人物の交流関係にまで話が及び、ボローニャ大学図書館 に眠る文書史料の内容まで披露された。最後にクライン氏のアレッポ商人 文書研究の紹介がなされたが、地中海からインド洋に至る巨大な貿易圏を、 縦横に論じられるクライン氏の学識に圧倒されつつ、楽しませて頂いた会 であった。なお、本懇談会を設定して下さった谷口淳一氏に、この場を借 りて厚く御礼申し上げたい。

(文責:黒木 英充)


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