イスラーム地域研究5班
研究会報告

a グループ・第 8 回「サライ・アルバム研究会」報告

日時    : 2000 年 1 月 19 日(水)18:30〜
場所    : 東京大学東洋文化研究所・3 階大会議室
プログラム : <特別講演> バーナード・オケイン(カイロ・アメリカン大学)

     "Wanderers and Demons: The Jalayirid Connection"


 5 班で招聘したバーナード・オケイン教授に、イスラーム美術史に関する研究発表の一環として、サライ・アルバムについての特別講演をお願いした。

発表要旨 :
 イラン西部とイラクを支配していたジャラーイル朝(1340〜1432)は、その宮廷にイル・ハン朝時代の写本を所有していたことが知られ、また、その芸術擁護の下に数多くの画家を輩出した。『サライ・アルバム』に見られる鬼・遊牧民を描いた一連の絵画、中国絵画の模写は、背景描写がないこと、昆虫を巨大に描いていること、小さな斑点で描かれた独特の岩の描き方などから、このジャラーイル朝時代の作品に比定される。さらに限定すると、スルターン・アフマド(在位 1382〜1410)の時代に描かれたと考えられる。その根拠として、スルターン・アフマドの治世に制作された『スルターン・アフマドの詩集』との比較により、折れ曲がった草、背景の稜線の後ろに描かれた人物、ヘンナで飾られた女性の手等々の類似点が指摘される。

(文責:桝屋 友子)


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