イスラーム地域研究5班
研究会案内

aグループ「知識と社会」研究会第6回研究会のご案内

 IAS5班の研究会「知識と社会」では、第6回の研究会を以下の要領で 開催します。今回の発表者はエジプトを中心とした中東現代史を専門と される池田美佐子さんです。入学試験などでお忙しい時期になるかとは 存じますが、ご参加のほどをよろしくお願い申し上げます。  東京以外に在住の方でご参加の意向をお持ちの方は、旅費支弁が 可能な場合もありますのでお早めに5班事務( 5jimu@ioc.u-tokyo.ac.jp )までご連絡下さい。


発表者:池田 美佐子(光陵女子短期大学)

論題 :「立憲君主制後期(1944-1952)エジプトの「貧困」対策をめぐる議論」

日時 :2001年2月3日(土) 14時30分から17時00分まで
(発表1時間20分、討論1時間)
場所 :東京大学東洋文化研究所・3階第1会議室

発表要旨:
「立憲君主制後期(1944-1952)エジプトの「貧困」対策をめぐる議論」

1940年代半ばに起こったマラリアの流行を直接の契機に、エジプトでは農村地域 の「貧困」の問題が広く議論された。農村の「貧困」の問題は、大土地所有を経済基 盤とした当時の体制そのものに関わる問題であることに注目し、本報告では、とくに その対策の議論に焦点をあて、問題に対して根本的に対応しきれない政府とより包括 的な解決を求める世論の趨勢との乖離を明らかにしたい。この過程において、政治 家、ジャーナリスト、社会批評家、学者などが、さまざまな政治的、思想的立場を 反映した意見を表明した。少数の政治家などを除き、「貧困」の存在およびその対策 の必要性については、国王も含めて、大戦後ほぼ共通して認めるに至っていたが、 具体的な対策について意見は大きくわかれた。政府は個別的、限定的な政策を出す に止まり、一方、より根本的な解決を求める意見が急進派勢力を中心に出された。 議論は農地所有を制限する農地改革案に集中してゆき、同案を断固拒否する政府 に対して、世論は次第に政府の限界を認識するようになり、多くの論者は農地所有 の制限に同意していった。ここで議論された農地所有の制限は、最終的に自由将校団 に踏襲され、新政権は政権奪還からわずか数週間後の52年9月に、農地改革を 実施した。


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