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加納啓良教授 最終研究発表会「水田とプランテーションから見たインドネシア現代史」が開催されました

加納啓良教授 最終研究発表会「水田とプランテーションから見たインドネシア現代史」が開催されました

日時: 3月15日(木) 14時~15時半  
場所: 東京大学東洋文化研究所 3階大会議室
題目: 水田とプランテーションから見たインドネシア現代史
発表者: 加納 啓良 (東洋文化研究所・教授)
司会: 高橋 昭雄 (東洋文化研究所・教授)

 


報告:

加納啓良教授 最終研究発表会「水田とプランテーションから見たインドネシア現代史」が開催されました

  1980年以来南アジア部門の助教授、教授(1991年より)として、31年半の長きに亘り東洋文化研究所につとめられた加納啓良先生が3月末を以って定年により退職されるにあたり、最終研究発表会が行われた。
 まずご自身の研究遍歴として、第1期のジャワ農村経済調査と農村史研究、第2期の農業史・地方経済史研究、第3期のインドネシア経済史研究、第4期の近現代アジア研究に分けて、これまでの研究を振り返った。その後、本題である「水田とプランテーションから見たインドネシア現代史」の研究発表に入った。
  最初にインドネシアのマクロ経済史の概説がなされた。オランダ植民地期のプランテーション農業と鉱業による一次産品輸出経済が独立後も続いたが、1980年代から製造業部門が急成長したことが示され、特にインドネシア経済の特徴として、ふたたび一次産品とくに石炭とパーム油の輸出が伸びていること、内需拡大により輸出依存度が低くなっていることが指摘された。
  続いて、本報告の主題である、主要輸出一次産品から見たインドネシア経済史に入った。第一に米。インドネシアは緑の革命以降顕著な増産を達成したが、これが人口増と一人当たり消費量の増加に追いつかず、世界でも有数の米輸入国となっている。第二に砂糖。植民地期は有数の輸出国であったが、米と同様の理由により1967年以降輸入国に転落した。第三にコーヒー。1870年代までは世界一の生産地だったが、主産地は南米に移動。それでも世界4位を維持し、近年は復活傾向にある。第4に天然ゴム。インドネシアは植民地期から有数の産地であり、独立後の生産は増大し、特に近年急増している。最後にパーム油。1980年代に拡大が始まり、2008年にはマレーシアを抜いて世界一になった。本講義ではこうした変動の背景にある、土地所有、経営形態、生産技術、流通システム、消費パターン、他の生産国や輸入国等の変遷について、体系的包括的な分析と解説がなされた。インドネシア経済史の特徴が誰にでも理解できるだけでなく、世界の食糧事情や一次産品そのものに関する知識も深めさせてくれるような講義であった。
  会場は70名を越える参加者で満員だった。

 


加納啓良教授 最終研究発表会「水田とプランテーションから見たインドネシア現代史」が開催されました

加納啓良教授 最終研究発表会「水田とプランテーションから見たインドネシア現代史」が開催されました

加納啓良教授 最終研究発表会「水田とプランテーションから見たインドネシア現代史」が開催されました

加納啓良教授 最終研究発表会「水田とプランテーションから見たインドネシア現代史」が開催されました

加納啓良教授 最終研究発表会「水田とプランテーションから見たインドネシア現代史」が開催されました

加納啓良教授 最終研究発表会「水田とプランテーションから見たインドネシア現代史」が開催されました

加納啓良教授 最終研究発表会「水田とプランテーションから見たインドネシア現代史」が開催されました

加納啓良教授 最終研究発表会「水田とプランテーションから見たインドネシア現代史」が開催されました

加納啓良教授 最終研究発表会「水田とプランテーションから見たインドネシア現代史」が開催されました

加納啓良教授 最終研究発表会「水田とプランテーションから見たインドネシア現代史」が開催されました



登録種別:研究活動記録
登録日時:WedMar2115:23:062012
登録者 :高橋・秋山・野久保(撮影)・藤岡
掲載期間:20120315 - 20120615
当日期間:20120315 - 20120315