News

東文研セミナー「第8回コプト・イスラーム物質文化研究会 」のご案内

日時: 2016年6月25日(土) 午後2時~5時

場所: 東京大学東洋文化研究所3階第1会議室


発表題目:

「ガイビー工房再考:ブルジー・マムルーク朝期(1390~1517)の釉下彩陶史再構築の試み」
神田惟(東京大学大学院博士課程、日本学術振興会特別研究員)

「京都大学総合博物館におけるコプト織物」
横山操(京都大学 総合博物館/農学研究科 研究員)


発表要旨:

「ガイビー工房再考:ブルジー・マムルーク朝期(1390~1517)の釉下彩陶史再構築の試み」
神田惟(東京大学大学院、日本学術振興会特別研究員)

 15世紀のカイロで製作されたと考えられるいわゆる「ガイビー」工房の釉下彩陶器は、その底部にアラビア文字によるサインを有しているがために、コレクターたちの関心を集め、早くも19世紀末からフスタートにおいて表採が行われた。しかしながら、今日に至るまで、完品の形で残存する作例が知られていないために、従来のイスラーム陶器史においては等閑視されてきた。
 本発表では、約200点の館蔵品および発掘品(アレクサンドリアおよびフスタート)からなるデータベースを元に、『ガイビー』を含むエジプト内の工房同士の関係、および工房内部の構造の再構築を試みる。同時に、カイロおよびダマスクスの宗教建築物(聖人廟およびモスク)に設置された「ガイビー」銘を含むアラビア語碑文入りタイルに着目し、いかなる社会的・宗教的コンテクストにおいて、「ガイビー」工房のタイルへの需要が生じたのかを考察する。

「京都大学総合博物館におけるコプト織物」
横山操(京都大学 総合博物館/農学研究科 研究員)

 京都大学総合博物館には、エジプト考古資料としてコプト織物約20点を所蔵している。これらの資料群は、京都大学文学部初代考古学教授・濱田青陵博士と英国、フリンダース・ペトリ博士との学術交流によって、京都大学にもたらされたものである。著者は、2011年総合博物館開館10周年特別展“埃及考古展”の準備段階より、これらの資料群の調査に関わってきた。
 本発表では、これらのコプト織物資料群を対象とした自然科学的調査ーすなわち、分光的手法による染料分析、放射性炭素年代法による年代測定、繊維分析ーを通じて得られた知見について報告する。
 そして、従来の織物研究における文様に基づく編年に対して、自然科学的な調査研究によって加えられた新たな視点について紹介するとともに、世界各地の博物館に所蔵されるコプト織物に関する情報共有において、これらの研究成果がいかなる役割を果たしうるか、今後の展開について述べたい。


共催:
国士舘大学イラク古代文化研究所
早稲田大学イスラーム地域研究機構
日本学術振興会科学研究費基盤研究(B)「イスラーム地域における物質文化史の比較研究~イベリア半島から中央アジアまで~」
東京大学東洋文化研究所班研究「イスラーム美術の諸相」

問い合わせ先:masuya(at)ioc.u-tokyo.ac.jp

担当;桝屋



登録種別:研究会関連
登録日時:Wed Jun 8 10:58:57 2016
登録者 :桝屋・藤岡
掲載期間:20160608 - 20160625
当日期間:20160625 - 20160625