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東文研セミナー(「上座仏教徒社会ミャンマーにおける僧院運営の実態」)のご案内

東文研セミナーを以下の要領で開催いたします。

日時:7月2日(木)15:30 〜 18:00
場所:東京大学東洋文化研究所 第2会議室

報告者:藏本龍介氏(東京大学総合文化研究科博士課程)
コメンテーター:名和克郎氏(東京大学東洋文化研究所准教授)

題名:上座仏教徒社会ミャンマーにおける僧院運営の実態
    —サンガの経済基盤についての一考察—

要旨:
 本発表の目的は、第一に、ミャンマー(ビルマ)における上座仏教の僧院運営の特徴を明らかにすること、そして第二に、サンガ(出家者集団)はどのように存続しているのかという問題を、経済的観点から考察することである。
 人間の集団が存続するためには、つまり社会で活動し、集団を再生産していくためには、お金にはじまる財が必要である。それは宗教の教義や修行方法を担う宗教集団も例外ではない。しかし宗教集団においては、教義や宗教的理想との折り合いから、財の獲得方法に関して様々な制限があることが多い。
 上座仏教の場合、サンガは一切の経済活動・生産活動を戒律で禁じられている。つまり自ら財を獲得することができない。したがってサンガの経済基盤は、在家者からの布施に依拠している。
 しかし布施というのは在家者の自発的な善意に基づくものであるため、財源としては不安定なものである。そのような布施に依拠しつつ、サンガの存続はどのように可能になっているのだろうか。
 本発表では、この問題を僧院レベルから検討する。サンガを構成する出家者たちは、現実的にはそれぞれの僧院に分かれて居住している。したがってお金をやりくりして活動する具体的な単位は、サンガではなく個々の僧院だからである。つまり、布施に依拠した僧院運営の実態を明らかにすることが中心的な作業となる。
 扱う事例はミャンマー都市部が中心であるが、各種統計資料を参照することによって、村落部の状況についても言及する。こうした分析を通じて、ミャンマーにおいてサンガの存続を可能にしている経済的な仕組みの一端を浮かび上がらせてみたい。

(連絡先)高橋 昭雄 takahashi(_at_)ioc.u-tokyo.ac.jp
登録種別:研究会関連
登録日時:Wed Jul 1 11:11:26 2009
登録者 :髙橋昭雄
掲載期間:20090602 - 20090702
当日期間:20090702 - 20090702