News

平成18年度第4回定例研究会のご案内

「インターナショナリストとしてナショナリズムの時代を生きる:
 二人のユダヤ教徒エジプト人共産主義者とパレスチナ問題」

日 時:10月12日(木)午後2時〜4時
場 所:東京大学工学部8号館7階会議室

報告者:長沢 栄治(東洋文化研究所西アジア研究部門)
司 会:鈴木  董(東洋文化研究所西アジア研究部門)
討論者:臼杵  陽(日本女子大学文学部教授)

【報告要旨】ヘンリ・クリエル(1914-1978年)とアハマド・サーディク・サアド(1919-88年)は、ともにカイロのユダヤ教徒の家庭に生まれ、ファシズムが迫る時代環境の中でマルクス主義に出会い、やがて運動の主導権を争う二つの組織の指導者となった。しかし、その後の二人が進む道は、第一次中東戦争(1948年)やエジプト7月革命(1952年)がもたらすナショナリズムの激流の中で、大きく分岐していった。クリエルは、エジプト政府から国外追放措置を受け、さらに自らが育て上げた組織からも絶縁された後、アルジェリア独立闘争をはじめとして第三世界の解放運動を支援する活動を続けたが、暗殺によって人生の幕を閉じる。一方のサアドは、高揚するアラブ・ナショナリズムの潮流に中に身を投じ、イスラム教に改宗してエジプトの地に留まり、長い投獄生活を経た後、晩年に多くの著作を残し、研究者としての大輪の花を咲かせた。二人が相異なる道を歩んだ背景には、数々の偶然の積み重ねが生んだ境遇の違い、政治家あるいは思想家としての本来的な資質の相違もあったであろうが、パレスチナ問題との関わりが決定的に大きな影響を与えたことは間違いがない。本報告では、近年数多く出版されている証言集・回顧録を参照しつつ、激しいナショナリズムの時代を生きた二人の個人史とパレスチナ問題への対応について考察してみたい。


平成18年9月19日
東京大学東洋文化研究所
研究企画委員会


登録種別:研究会関連
登録日時:Tue Sep 19 09:45:23 2006
登録者 :研究協力係
掲載期間:20060919 - 20061012
当日期間:20061012 - 20061012