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東文研セミナー(「東アジアにおける「民俗学」の方法的課題」)のご案内(2010年1月23日)

1.セミナー・シンポジウム等題目:班研究「東アジアにおける「民俗学」の方法的課題」研究会
2.日時:2010年1月23日(土) 13:00~
3.開催場所:東京大学東洋文化研究所3階大会議室
4.報告者氏名:ドロシー・ノイズ(Dorothy Noyes)
所属:オハイオ州立大学准教授、同大学民俗学研究センター(Center for Folklore Studies)センター長)
報告題目:“Necessity and Freedom in the Tradition Process”
5.セミナー内容
 日本の民俗学が取り扱う「民俗」という言葉には、連綿と継承される「伝統性―実在的、かつ構築的な過去からの歴史的性格―」という含意が、未だ拭いがたく埋め込まれています。また、私たち日本で民俗学を研究するものが、そのような「民俗」観に若干なりとも拘束されていることも事実です。しかし、一方で、現代社会における「民俗」を考えた場合、継続された「伝統性」が、その意味内容を変化させてきたことにも、すでに私たちは気がついています。
 かつて民俗学の初発の時代に、私たちが「民俗」として画定し、対象化した文化は、その時代の社会的、政治的、経済的な状況に強く束縛されるものでした。その頃の時代と大きく変化し、束縛から解放されたように思われる現代という時代においても、さらに、過去とは異質の新しい束縛が再生し、「民俗」を縛っています。
すなわち、「民俗」は現代まで連綿と継承されてきたと見えても、その意味内容や人びとに作用する力は大きく変容しているわけです。このように「民俗」をとらえると、それを取り巻く「伝統性」と「現代性」を単純に腑分けする二項対立が、かなり怪しげな単純思考であることが理解できます。
 本講演では、アメリカ民俗学の気鋭の研究者であるドロシー・ノイズさんに、"Living Folklore(生きている民俗)"という考え方を深めるため、17世紀にヨーロッパで起こった「伝統性」/「現代性」という対置思考を拒絶し、"Living Folklore"というコンセプトを構築してきた20世紀のアメリカ民俗学者の方法を、まずレビューしていただきます。そして、「必要(necessity)」と「自由(freedom)」というキー・ワードをもとに、「民俗」の生成や継承に関わる重要な社会状況や、そのなかで意味内容をシフトさせた「民俗」について解説いただき、その両者のダイナミズムに注意を払うことによって、現在進行している世界状況のなかで、私たちが「民俗学」を新しく今日性を帯びた研究分野として再生できることについて、アメリカ民俗学者の立場から提言していただきます。
6.担当者:菅豊
7.公開
8.参加者人数:40名
9.使用する言語:英語、日本語(講演、質疑応答には通訳がつきます)
10. 共催:現代民俗学会、日本民俗学会

登録種別:研究会関連
登録日時:Tue Dec 22 13:49:46 2009
登録者 :研究支援担当
掲載期間:20091222 - 20100123
当日期間:20100123 - 20100123