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東文研セミナー「ECFAが台湾経済に与える影響―中台サービス貿易協定締結を踏まえて―」(日本台湾学会定例研究会(歴史・政治・経済部会)第85回)が開催されました。

東文研セミナー/第85回日本台湾学会定例研究会(歴史・政治・経済部会)

科学研究費基盤B:和解なき安定――民主成熟期台湾の国際政治経済学(代表:松田康博)

3者共催研究会

「ECFAが台湾経済に与える影響――中台サービス貿易協定締結を踏まえて」

 が開催されました。


【日時】2013年10月15日(火) 18:30~20:00(台風接近中のため終了30分切り上げ)

【会場】東京大学東洋文化研究所3階大会議室(参加者:14名)

【講師】伊藤信悟氏(みずほ総合研究所)

【司会】松田康博(東京大学東洋文化研究所)

【報告】

ECFAは2010年9月12日に発効した中台間の経済協力枠組み協定である。その具体的な内容を拡充するものとして、2013年6月21日に中台サービス貿易協定が締結された。本研究会では、日中・日台間の経済関係研究の第一人者である伊藤信悟氏(みずほ総合研究所アジア調査部中国室長)を講師にお迎えし、同協定の内容および台湾経済への影響、その効果に対する馬英九政権の説明、台湾社会における批判・懸念についてご解説いただいた。サービス貿易協定においては、2011年元旦以降実施されてきた物品・サービス貿易アーリーハーベスト(少数の品目・業種の先行的自由化)同様、中国の開放業種数が台湾のそれを上回っている。その効果は中国側にとっても台湾側にとっても限定的であるが、馬英九政権は定量的な効果より定性的な成果を訴えている。同政権に対し台湾社会からは、民意の不尊重、雇用や安全保障、言論・政治の自由、個人情報保護への悪影響など、さまざまな議論が噴出している。ただしこれらの中には、基礎的な法律があるにも拘らず、それにメンションせずに批判している事例も見受けられる。モニタリングによって悪影響を防げるか否かを検討する手前で水掛け論をするのではなく、台湾社会がモニタリングのコストを払えるのかなどについて議論を深めることが望まれる。質疑応答においては、中国はWTO加盟国であり、通常は最恵国待遇を与えられるべきところ、台湾はそれを無視して中国のみ差別待遇している問題について、大陸サイドは台湾との問題を国際機関において処理したくないので提訴しないという込み入った事情について解説がなされた。フロアからは、台湾の新聞報道からは本質をつかみ難い同協定をめぐる問題について、明快な整理と分析がなされた本報告への謝意を示す声が上がった。(記録:家永真幸)

担当:松田



登録種別:研究活動記録
登録日時:ThuOct2413:23:572013
登録者 :松田、秋山
掲載期間:20131024 - 20140124
当日期間:20131024 - 20131024