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第5回東洋文化研究所定例研究会

報告者:長澤榮治(東洋文化研究所)
題目:アラブ主義の現在
司会:鈴木董(東洋文化研究所)
討論者:加藤博(一橋大学経済学部)
日時:12月9日(木)午後2時ー4時
会場:東洋文化研究所3階大会議室

 アラブの近代史は、敗北の連続からなる敗者の歴史だという自虐的な表現も可能かもしれない。繰り返される敗北の記憶は、たとえば被害妄想的な陰謀史観のような、屈折した心情にもとづく歴史観を生みだしてきた。さて、これら数多い敗北の記憶の中で、今なお生々しい痛みを伴って思い出されるのが、第三次中東戦争(1967年)と、湾岸戦争(1991年)であろう。その理由は、この二つの戦争において「敗北」したのが、アラブ主義という思想、さらにはアラブという民族概念そのものだったことにある。この二回の敗北によって、アラブ統一の旗は血と泥でまみれ、アラブ主義にはさまざまな自虐的な批判と容赦のない侮蔑の声が浴びせられることになった。
報告者は、このようなアラブ主義に対する批判の潮流を整理し、今日の視点からこの思想が地域システムの形成においた果たした歴史的な機能を見直してみたいと考えている。報告の構成は、以下のとおりである。
1.はじめに−地域の時代としての現代
2.アラブ民族主義批判の構図
3.内戦後レバノンの歴史叙述
4.アラブ諸国システム論
5.むすびにかえて−パレスチナ・イスラエル問題の現在



登録種別:研究会関連
登録日時:Thu Nov 25 14:32:41 1999
登録者 :研究交流委
掲載期間:19991125 - 19991209
当日期間:19991209 - 19991209