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平成12年度第1回定例研究会

日時 6月22日午後2時 
 場所 東洋文化研究所 大会議室(三階)
報告者   菅豊(東洋文化研究所助教授)

題目    動物利用からみた中国漢人の自然観
司会    松井 健(東洋文化研究所教授)
討論者   篠原 徹(国立歴史民俗博物館)
発表要旨
 広大な国土をもつ中国は、気候、風土の変移に富み、多くの植物相を
保持している。中国の人々はこのような多様な自然環境のなか、動物を
人為的な管理のもとに内部化する家畜技術など、さまざまな動物利用の
技術、知識を発達させてきた。この動物利用の技術、知識の体系から、
中国・漢人とっての自然のあり方を垣間見ることが、本発表の目的であ
る。
 本発表では、江南のヒツジ(湖羊)と、コオロギ(闘蟋蟀)について
解説する。両者とも、その存在する社会において、飼育者の企図すると
ころから、過剰とも思われるアクセスを受ける。それらは、あるがまま
の生き物としてではなく、人の手によって作りあげ、完成されるべき生
き者として扱われているのである。そのような積極的人為は、望ましい
ものとして理解され、管理は徹底されている。人間による「自然」への
干渉、介入が本来的に否定されるものではなく、支配し、管理すること
がむしろ望ましい」とすらいえるであろう。そして、そこに創出された
「自然」は、「あるべき自然」がデザインされたものであって、「ある
がままの自然」とか、「文化」に対置して実存できるような「自然」と
は大きく異なるのである。


登録種別:研究会関連
登録日時:Thu May 18 15:38:04 2000
登録者 :研究協力委員会
掲載期間:20000512 - 20000622
当日期間:20000622 - 20000622