1979年以来、東アジア研究部門の助手、助教授、教授として(1982年~87年、東北大に赴任された5年を除けば)35年にわたって東京大学東洋文化研究所に勤められた小川裕充先生が3月末をもって退職されるに当たり、最終研究発表会「郭煕筆 早春図」が行われた。
研究発表会の会場は一階ロビー、中央に北宋・郭煕「早春図」(台北故宮博物院)の原寸複製が掲げられた。発表会では、画軸を前にしつつ、11世紀後半に活躍した郭煕の生きた時代、郭煕自身の伝を紹介され、郭煕の唯一の真作である「早春図」を細部にわたるまで説明された。また、中国絵画を研究対象に選ばれた動機、研究の出発点となった本図との邂逅、台北故宮博物院での特別見学の際の様々なエピソードを交え、自らの研究生活を回顧された。最後に東アジア美術研究室が継続的に進めている『中国絵画総合図録』三編がこの三月から刊行が開始されることを紹介され、初編以来の調査でのエピソード、中国絵画史研究における『総合図録』の意義を語られた。
会場は100名に及ぶ参加者で大変な盛況であった。
日 時: 3月14日(木) 16:00 - 17:30
会 場: 東京大学東洋文化研究所 1階 ロビー
題 目: 郭熙筆 早春図
発表者: 小川 裕充 (東洋文化研究所・教授)
司 会: 板倉 聖哲 (東洋文化研究所・教授)
担 当: 小川 裕充