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東文研・ASNET共催セミナー(張馨元助教着任セミナー)「食糧産業から見る中国経済」が開催されました

東文研・ASNET共催セミナー(張馨元助教着任セミナー)「食糧産業から見る中国経済」が開催されました

日時 : 2014年2月20日(木)午後2:00〜3:30

会場 : 東京大学 東洋文化研究所 3階 大会議室

題目 : 食糧産業から見る中国経済

報告者 :張 馨元 (東洋文化研究所・助教)

司会 : 大木 康 (東洋文化研究所・教授)

担当:  張 馨元

 


【報告】
 中国経済は工業部門の発展に牽引され、急速な成長を遂げていると理解できるものの、経済の底辺にいる人たちはほとんど農業部門、とりわけ食糧作物の生産、流通と加工に携わっている事実は無視できない。中国は一つの経済的集合ではなく、中国経済はChinese economiesというように、複数の経済圏によって構成され、中国経済を説明するには地域別または産業別の分析が不可欠である。
 張氏の報告は、中国において生産規模が最も大きい農作物であるトウモロコシとその競合作物である豆類に注目し、これらの作物に関わる食糧産業の発展または衰退のメカニズムを分析した。トウモロコシ産業は生産、流通、加工、政策の4部門を含む産業である。それぞれの部門に生産農家、仲買人、加工企業、地方政府などのアクターが活動し、トウモロコシに関わる経済的活動を行っている。2004年以降、各部門間に「政策的連関」と「市場的連関」が同時に成立したことにより、同産業が急速に成長し、食糧主産地の地域経済の発展に本格的に貢献できるようになったと指摘された。
 豆類産業に関して、張氏は小豆と緑豆の生産、流通、貿易状況を説明した。そして、生産農家には「代替案を選択する自由」がほとんどなく、生産者と消費者の間に顕著な情報の非対称性が存在しており、生産農家は市場経済がもたらす価格変動のリスクを背負っているが、価格上昇がもたらす利益を享受できない立場にあると指摘した。
 報告後、約15名の参加者が中国の農家金融と地域経済、1980年代以降の食糧流通と1930年代満州の特産物流通との相違点、種子産業の発展などに関して、活発な議論が行われた。


東文研・ASNET共催セミナー(張馨元助教着任セミナー)「食糧産業から見る中国経済」

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登録種別:研究活動記録
登録日時:ThuFeb2716:48:452014
登録者 :張・山下・野久保(画像補正)・藤岡
掲載期間:20140220 - 20140520
当日期間:20140220 - 20140220