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東文研セミナー「質的研究としての会話研究 ―その原理・方法・応用/漢字統一 会について――東アジアにおける漢字擁護の位相」のお知らせ

東文研班研究「アジアにおける多言語状況と言語政策史の比較研究」では、多言語社会研究会との共催により、下記の通り東文研セミナーを開催致します。事前の出席連絡等は必要ありません。奮って御参加下さい。


日時: 4月25日(土)午後2時〜6時

場所: 東京大学東洋文化研究所 3階大会議室


報告1: 吉田達彦(ドイツ語学博士)

題目: 質的研究としての会話研究 ―その原理・方法・応用

報告概要:
  会話研究には種々の展開方向性があり,各々の方向ごとに独自の発展経緯が見られる。私は,ドイツのDEPPERMANNの言う「エスノグラフィを指向した会話研究」(ethnographische Gesprächsforschung)を主題としたい。
  この理論の特徴は,人々の日常生活における社会的現実性の構築様態を探るため,事象を,体系的に基準化された会話分析法によって客観化した上で,参入観察としての人間の解釈によって記述し,統合的理解を図ろうとする点にある。この学術指向性は,原理的に社会学者GARFINKELによるエスノメソドロジー(EM)の考え方とも軸を一にする。EMとは,「質的研究」の体系における一つの方法論である。そこでは,ある(言語)コミュニティーにおける社会性の構築様態を解明するため,そのメンバー(ethnos)の日常的行為構築の方法性(method)の記述的解明が主題となる。
  私は,こうした理論的枠組みを伴う「質的研究としての会話研究」を,(1)原理,(2)方法(GAT2トランスクリプト法),および(3)応用(会話分析的ポライトネス研究)の各水準において概説し,この観点からの社会言語学的問題性に対する一つの接近可能性を紹介したい。

キーワード:
(エスノグラフィーを指向した)会話研究、エスノメソドロジー、質的研究、会話分析的トランスクリプト法(GAT2: GesprächsanalytischesTranskriptionssystem Version2)、会話分析的ポライトネス研究


報告2: 劉鮮花(一橋大学大学院言語社会研究科大学院生)

題目: 漢字統一会について――東アジアにおける漢字擁護の位相

報告概要:
  20世紀初頭前後の東アジアでは、近代化の波をうけて、漢字をどのように扱っていくのか、という問題が言論の場において大きな位置をしめるようになっていた。脱漢字のあり方は各「国語」の文脈において異なってくるのであるが、脱漢字への反論は、各「国語」の文脈をこえて、東アジア的に共有されることもあった。本報告でとりあげる漢字統一会はそのひとつの事例である。   本報告では、日中両国の文字言語改革の歴史をふまえ、関係者である伊沢修二、張之洞と章太炎の視点から漢字統一会を多角的に論じ、「漢字統一」の動きの実体を明らかにしたい。従来は伊沢の視点が重視されてきたが、漢字統一会発足時の中国側の関与をより明確にし、さまざまな反応を示していたことを指摘する。そして、朝鮮側は距離をおこうとしていたこともあわせて指摘する。

キーワード:
漢字擁護 漢字統一会 伊沢修二 張之洞 章太炎


主催:多言語社会研究会
共催:東文研班研究「アジアにおける多言語状況と言語政策史の比較研究」

問い合わせ nawa[at]ioc.u-tokyo.ac.jp

担当:名和



登録種別:研究会関連
登録日時:ThuApr1615:39:322015
登録者 :名和・藤岡
掲載期間:20150416 - 20150425
当日期間:20150425 - 20150425