1991年以来、南アジア研究部門の助教授、教授(1994年より)として、22年間にわたり東京大学東洋文化研究所につとめられた永ノ尾信悟先生が3月末をもって退職されるにあたり、最終研究発表会、「CARD: ヒンドゥー儀礼研究のための基礎資料」が行なわれた。
研究発表会の前半では、もともとインド哲学に関心をもっていて、ウパニシャッドの研究にはヴェーダ儀礼の理解が不可欠であることを知って、インドの儀礼研究へ進んでいったという自身の研究生活の出発点を回顧した。さらに、インドでのフィールドワークで寺院や祭礼を見て、寺院や神像の有無、神の祭り方がヴェーダの記述と全く違うことに衝撃を受けて、ヴェーダ期の神祭りから現在に至るまでの儀礼の歴史に問題意識をもち、ヴェーダ期からポストヴェーダ期の間の神祭りの変容を研究するようになった経緯を説明された。
研究発表会の後半では、長年蓄積されてきたデータベースを東文研のウェブサイトで公開されたことを紹介し、データベースの利用方法を紹介された。このデータベースは英語で公開されており、今後、世界中のインド学者に利用されることとなるであろう(http://card.ioc.u-tokyo.ac.jp/)。
会場は100名を超える参加者で立ち見が出るほどの盛況であった。
日 時: 3月14日(木) 14:00 - 15:30
会 場: 東京大学東洋文化研究所 3階 大会議室
題 目: CARD:ヒンドゥー儀礼研究のための基礎資料
発表者: 永ノ尾 信悟 (東洋文化研究所・教授)
司 会: 馬場 紀寿 (東洋文化研究所・准教授)
担 当: 永ノ尾 信悟