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東文研セミナー「ろう学校の存在意義/マリ語(ウラル系)に将来はあるか?」のお知らせ

 東文研班研究「アジアにおける多言語状況と言語政策史の比較研究」では、多言語社会研究会との共催により、下記の通り東文研セミナーを開催致します。事前の出席連絡等は必要ありません。奮って御参加下さい。


日時:2018年4月21日(土)午後2時〜6時

場所:東京大学東洋文化研究所三階第一会議室


報告者1: 中島武史(大阪府立中央聴覚支援学校教諭)

題目: ろう学校の存在意義‐ろう児にとって、日本社会にとって‐

要旨:
 本発表では、ろう学校(聴覚特別支援学校)の存在意義について、①ろう児にとって、②日本社会にとって、という2点から考えてみたい。ろう学校は、教育制度上の枠組みでは「聴覚の面で特別な支援が必要な学校」、つまり「聴覚障害児のための学校」というかつての障害児教育の系譜に位置する学校として一般的には知られている。近年では、インクルーシブ(包含)教育理念によって、聴覚障害児が聴覚特別支援学校ではなく地域学校園への入学または転出をする傾向が強まり、聴覚特別支援学校の在籍数は減少傾向にある。また、多種の特別支援学校と統廃合される兆候がある。しかし、聴覚特別支援学校を手話という日本語とは異なる言語を中核に運営される学校という捉え方をした場合には、ろう学校という場は、種々の課題はあるものの、ろう児にとって必須の教育機関である(①)だけでなく、ろう学校とそこで学ぶろう児の存在が日本社会内部の多言語性を地域の学校園に通う聴児とその保護者、地域の学校園の教育関係者らに認識させる社会的機能を発揮する可能性(②)があると考えられる。発表時には、主に②の点を中心に著者の経験からまとめたい。


報告者2: 田中孝史(東京外国語大学)

題目: マリ語(ウラル系)に将来はあるか?

要旨:
 ロシア固有のウラル系民族であるマリ人の言語、マリ語について、主に以下の3つに関して報告を行う。1)マリ語使用の現状について。マリ語そのものの紹介も含め、現在の言語使用の実態を、報告者が初めてマリを訪れた1992年からの25年間の変遷や、言語景観の紹介も交えて報告する。2)マリ語の維持に関する展望について。連邦政府による知事の任命や土地の文化と無関係な記念碑などの建設といった昨今のロシア連邦の政治的動向や、「合理化」の名を借りた民族語教育の中止、縮小などに触れつつ、今後のマリ語の維持について考察する。3)マリ語の「主要な」方言の一つである、北西方言の復興について、過去10年程度の現地の活動家が行ったことについて、マリ語が公的な地位を持つマリエル共和国外で話されている方言の復興に関わる困難について報告する。

キーワード:マリ語、ウラル系、言語の復興、言語の維持、言語景観


主催:多言語社会研究会

共催:東文研班研究「アジアにおける多言語状況と言語政策史の比較研究」

問い合わせ nawa[at]ioc.u-tokyo.ac.jp

担当:名和



登録種別:研究会関連
登録日時:MonApr1618:44:012018
登録者 :名和・藤岡
掲載期間:20180416 - 20180421
当日期間:20180421 - 20180421