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自己点検評価セミナー(第5回定例研究会)「通貨と信用の代替性と補完性―中、日、英の比較史より(貨幣史研究の軌跡)」(黒田教授)のご案内

日時:12月13日(木) 14-16時

場所:東京大学・東洋文化研究所、大会議室

報告者:黒田明伸 東京大学東洋文化研究所 教授

題目:通貨と信用の代替性と補完性―中、日、英の比較史より(貨幣史研究の軌跡と展望)

コメンテーター:
斎藤修 一橋大学 名誉教授
園田茂人 東京大学東洋文化研究所 教授

司会:大木康 東京大学東洋文化研究所 教授/所長

要旨
黒田のこれまでの東アジアを軸とした世界貨幣史・貨幣研究を振り返った上で、その現到達点として下記の論点を提示する。
通貨の効用は取引に匿名性を与えることにあり、販売(購買)者は通貨によって高い自由度をもって購買(販売)者を選ぶことができる。しかしその効用ゆえにこそ通貨は拡散しやすいが回収しにくいという特性をもつ。存在する量にかかわらず、通貨供給の非弾力性により、通貨に依存した取引は不断に通貨不足をまねき、現場的対応手段として現れては消える様々な現地通貨によって人類史はおおわれてきた。同じ貨幣単位を用いながら、信用による取引は二者間の指名性を礎に行われる。その指名性が空間を共有する取引者の間で多角化されると、互換性をもった信用はある部分の通貨の機能を代替することになるが、指名性を基礎とするがゆえに通貨ほどの自由度を交易に与えることはない。あらゆる取引の中で、匿名的な通貨を用いた取引と、指名的な信用がどのように組み合わされているかは、まさしくその社会の諸関係を反映する。交易のあり方と人々の社会的関係は相互依存的である、ということを、工業化前(ないし初期)の中国、日本、英国を事例として提示する。


(当報告は研究所教授会メンバーの研究の自己点検・評価の一環として行われるものであり、第2回目の自己点検・評価セミナーとなる)



登録種別:研究会関連
登録日時:FriNov3005:34:002012
登録者 :黒田・藤岡・秋山
掲載期間:20121130 - 20121213
当日期間:20121213 - 20121213