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(2010/12/18)東文研セミナー「中国市民社会論の現状(中国法理学の立場から)」が開催されました

題目:中国市民社会論の現状(中国法理学の立場から)

講演者:馬 長山 華東政法大学・法律学院・教授、東京大学・東洋文化研究所
                  ・訪問研究員(2010年7月1日~2011年6月30日)

日時:2010年12月18日(土)午後3時半から5時半
場所:東京大学・東洋文化研究所・3階・大会議室

主催(共催)科学研究費補助金基盤研究(B)「世紀交代期中国の文化転形に関する
言説的研究」(代表 砂山 幸夫愛知大学・現代中国学部・教授)、東京大学・東洋
文化研究所・班研究「世紀交代期中国における文化転形」(主任 尾崎 文昭東京大
学・東洋文化研究所・教授)、同「中国法研究における固有法史研究、近代法史研究
及び現代法研究の総合の試み」(主任 高見澤 磨東京大学・東洋文化研究所・教
授)

報告:講演者のほか14名が参加して行われた。高見澤が司会をつとめた。報告の概要
は以下のとおり。

 1980年代以降欧米の政治思想が紹介され、また、旧ソ連・東欧での変化があり、中
国でも一定の民主化が進み、とくに1992年以降市場メカニズムが全面的に導入される
と、「私人の領域」及び「民間組織」という概念が注目されるようになった。政治思
想面ではマルクス主義流の市民社会理論の検討、「市民社会」・「公民社会」概念の
検討、歴史学においては、清末以来の近代史における市民社会的観点からの研究、現
実生活における「民間組織」の活動や「公民権利」意識にもとづく行動などが見られ
るようになった。北京大学・清華大学・中国社会科学院・浙江大学などでも研究が組
織的に行われるようになり、国際的な学術フォーラムも開催されるようになった。

 これらは、非公有型企業の増加(旧国有企業も株式化されていればこれに含まれ
る)、出版の多様化、『中国宗教信仰自由状況白書』に見られる信徒数(1億人)な
どの現実を背景とするものであもあった。

 これにともない、法学における「法治」研究も重要な分野となった。

 インターネットによる意見表明や意見交換は、市民の道具ともなるが、他面では非
理性的側面も有している。

 将来的には都市と農村との一体化、私人の領域の確立、体制内民主の確立、メディ
ア産業の民営化、中産階級の出現といったことが展望される。

 講演後の討論においては、日本における「任意団体」概念と中国における未登記の
団体との取り扱われ方の比較などについて意見が交わされた。 


登録種別:研究活動記録
登録日時:Fri Jan 28 14:18:38 2011
登録者 :研究支援担当
掲載期間:20110128 - 20110228
当日期間:20110127 - 20110127