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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ソ連・ヴィエトナム友好協力条約

[場所] モスクワ
[年月日] 1978年11月3日
[出典] わが外交の近況(外交青書)23号,445‐447頁.
[備考] 外務省仮訳
[全文]

 ソヴィエト社会主義共和国連邦及びヴィエトナム社会主義共和国は、

 両国間に存在する全面的協力の緊密な兄弟的関係、マルクス・レーニン主義及び社会主義的国際主義の原則に立つゆるぎない友好と団結に立脚し、

 ソヴィエト社会主義共和国連邦とヴィエトナム社会主義共和国の間の団結と友好の全面的強化は、両国人民の根本的利益にかなうものであり、社会主義共同体諸国の兄弟的団結と統一の一層の強化に役立つものであると強く確信し、

 社会主義的対外政策の諸原則と目的、社会主義と共産主義建設のための最も良い条件を確保しようとの意欲を指針とし、

 双方は、両国人民の英雄的努力と無私の労働によつて達成された社会主義の成果の強化と防衛について相互に援助することをその国際主義的義務とみなし、

 平和、民族独立、民主主義及び社会進歩のために闘うすべての勢力の団結を強く支持し、

 アジアと全世界の平和の強化を促進し、異なる社会体制を有する諸国間の良好な関係と互恵的協力の発展に貢献するとの固い決意を表明し、

 両国間の全面的協力の発展と完成の継続に努め、

 両国関係の条約的・法的基礎の一層の発展と強化を重視し、

 国連憲章の目的と原則に従つて、

 この友好・協力条約の締結を決意し、次のとおり合意した。

第1条 両締約国は、社会主義国際主義の諸原則に基づき、今後ともゆるぎない友好、連帯及び兄弟的相互援助の関係を強化するであろう。両国は、国家の主権と独立の相互尊重、平等及び相互の内政不干渉を基盤とする政治関係を不断に発達させ、全面的協力を深め、相互にあらゆる支持を与える。

第2条 両締約国は社会主義及び共産主義の建設の促進及び両国国民の物質的文化的生活水準の不断の向上のために、互恵的な経済及び科学・技術協力の強化と拡大のために協力する。両国は、国民経済計画の長期的調整を継続し、経済、科学及び技術の最も重要な分野の発展に関する将来にわたる処置を調和させ、社会主義及び共産主義の建設において蓄積された知識と経験を交換する。

第3条 両締約国は、国家権力機関及び公共団体の間の協力を促進し、科学及び文化、教育、文学及び芸術、出版、ラジオ及びテレビ、保健、環境保全、観光、体育とスポーツ、その他の分野における広範な交流を発展させる。両国は、両国の労働者の接触の発展を促進する。

第4条 両締約国はあらゆる手段をつくし、首尾一貫してマルクス・レーニン主義と社会主義国際主義の基礎に基づき社会主義諸国間の兄弟的関係、統一と連帯の一層の強化のために戦うものである。

 両締約国は、世界的社会主義体制の強化のために全力をつくし、社会主義の成果の発展と擁護のために積極的な貢献をなすであろう。

第5条 両締約国は、今後とも国際平和と諸国民の安全の擁護のためあらゆる努力をし、帝国主義及び反動勢力のあらゆる陰謀と奸計に積極的に対決し、あらゆる形態と表現における植民地主義と人種差別主義の最終的根絶に対する正当な闘争を支持し、非同盟諸国と、アジア、アフリカ、及びラテン・アメリカ諸国民の帝国主義、植民地主義及び新植民地主義反対闘争、独立強化、主権擁護、自己の天然資源を自由に処理する権利、不平等、専制及び搾取から解放された国際経済関係の確立のための闘争に支援を与え、東南アジア諸国民の平和、独立及び彼等の間の協力への意欲を支持する。

 両締約国は、平和共存の原則に基づく社会体制の異なる諸国間の関係の発展、国際関係における緊張緩和の過程の拡大と深化、平和と民族独立、民主主義と社会主義のため諸国民の生活からの侵略と侵略戦争の最終的排除に一貫して賛成する。

第6条 両締約国は、両国の利益に関係するすべての重要な国際問題につき、互いに協議するものとする。一方の締約国が攻撃あるいは攻撃の脅威の対象となつた場合には、両締約国は、かかる脅威を除去し、両国の平和と安全を保障する適切な効果的措置をとるため、遅滞なく相互協議を始めることとする。

第7条 本条約は、両国が参加して締結された現行の2国間及び多国間協定にもとづく双方の権利と義務を害するものではなく、また如何なる第三国に対するものでもない。

第8条 本条約は批准されなければならず、できる限りすみやかにハノイ市で行われる批准書交換の日に効力を生ずる。

第9条 本条約は、25年の期間につき締結され、一方の締約国が当該期間の満了する12カ月前に通告をもつてその効力を停止する旨の意思を言明しない場合には自動的にその都度10年の期間延長される。

 1978年11月3日にモスクワでひとしく正文であるロシア語とヴィエトナム語により本書2通を作成した。